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DIYで自宅屋根に太陽電池を設置する(当然、売電も!)第08回 太陽電池パネル設置枚数の検討②

 前回は、「乗せよ、増やせよ。」から始まり、太陽電池発電の勉強をし、“システム”として検討した結果、260Wの太陽電池パネルを24枚乗せる計画となりました。ここに至るまでの検討を説明します。

①前回のおさらい

26枚

 前回の検討の経緯から突然、屋根が1面増え、太陽電池パネルの合計出力も6.24kWとパワーコンディショナーの出力よりも大きくなっています。前回スッ飛ばしたここまでに経緯は以下の通りです。

②2ストリングスで検討

 はじめ、260Wの太陽電池パネルを西面に3枚と南面に13枚の合計16枚、4.16kWを考えました。この太陽電池パネルの開放電圧(Voc)は33.0Vなので、1ストリングにすると528Vとなり、選定したパワーコンディショナーF-P055Kの最大入力電圧450Vを超えてしまうため、2ストリングス、つまり、8枚の直列を1ストリングとし、2つのストリングスを並列で接続することにしました。すると、開放電圧は半分の264Vになり最大入力電圧以下になります。一方、短絡電流値は2倍の20.06Aになりますが、最大入力電流38.0Aよりも十二分に低く問題ありませんでした。

③パワーコンディショナーを効率よく稼働させる

 パワーコンディショナーの仕様書には変換効率が表示されています。選定したF-P055Kの場合96%です。つまり、太陽電池パネルで発電した直流電気の96%を交流に変換することができ、売電や自家消費に利用できます。この効率は、どのような入力電圧でも常に96%変換できる訳ではなく、入力される電圧が低くても高くても効率は悪くなります。どこかのメーカー技術資料で、定格入力電圧をピークに入力電圧が上下すると数%効率が落ちるグラフを見ました。せっかく、少しでも能力の高い太陽電池パネルを設置しても、変換時のロスが大きければ、もったないことです。
 F-P005Kの定格入力電圧は310Vで、ストリングの電圧が264Vなので、定格入力電圧よりも46Vも低くなります。定格入力電圧に近づけるためには、太陽電池パネルをあと1枚か2枚直列に接続する必要があります。しかし、西面の屋根にも南面の屋根にも、もう太陽電池パネルを設置するスペースがありません。ただ、屋根は北面にもありますが、北面の屋根は発電に向かなもとの思い込んでいました

④北面の日射量を調べる

 北面の屋根でどれくらいの発電が見込めるか、その日射量を調べました。調べるの用いたサイトは、
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の日射量データベース閲覧システムです。

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日本全国の市町村の日射量のデータベースが閲覧できます。また、傾斜角10°刻み、方位を15°刻みで設定でき、その傾斜角と方位での日射量のデーターが表示されます。

 自宅屋根の勾配と方位の近い値を設定し、年間の日射量を調べたところ、南面を1とした場合、西面は0.94北面は0.70も日射量があることが判りました。

⑤太陽電池パネルの「日陰特性」を考慮した検討

 北面でも南面の7割の日射量が得られるのであれば、ストリングの電圧をパワーコンディショナーの定格入力電圧に近づけるための太陽電池パネル増設を北面に設置する方法が考えられます。

 しかし、太陽電池パネルは特殊な特性をもっており、パネルの一部が日陰になると、日陰部分だけの発電量低下ではなく、大幅に発電量が低下する特性があります。日陰になったセルは発電しないため、他のセルにとっては“抵抗”となり、そこに他のセルで発電した電流が流れるために発熱します。それを避けるために、パネルを3つぐらいのブロックに分け、日陰になったセルがあるブロックは、バイパスダイオードによって電流がスルーする仕組みなっています。

 増設する太陽電池パネルを、北面に設置すると、太陽の照射強度が低くいため、北面のパネルが抵抗となることが考えられます。パネル間にはバイパス回路がないので、北面のパネルの発熱や、ストリング全体の出力低下が考えられ、パネルを増設したつもりが、抵抗を付けてしまった状況になりかねなく、よろしくありません。

⑥過積載だ!

 もう、ストリングスの電圧をパワーコンディショナーの定格入力電圧に近づけるためのパネル増設は諦めました。当初の260Wのパネル16枚で4.16kWにしようと考えました。

でも、北面も南面の7割の日射量があるとは驚きです。
パワーコンディショナーの出力にもまだ余裕があります。
もたいない、もたいない・・・

そして、検索をしている時に見つけたのが、過積載です!
“過積載”と聞いて思い浮かぶのは、



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The Atlantic

こんなのではないでしょうか(笑)

確かにこれは過積載ですが、太陽電池発電システムの過積載は、パワーコンディションナーの最大出力よりも大きな出力を持った太陽電池パネルを接続することです。
 そんな事をして壊れないのか? パワーコンディショナーの仕様書には、接続できる最大の太陽電池パネル容量は書いていません。書いているのは、最大入力電圧と最大入力電流のみです。F-P055Kはそれぞれ、450Vと38.0Aです。掛けると17.1kWにもなります!交流の出力が5.5kWしかないのに、17.1kW入力することは流石にないですが(笑)
 接続する太陽電池パネルの出力をパワーコンディショナーの最大出力で割って100倍したものを過積載率と言います。この過積載率に上限を決めて保証している場合があるのですが、F-P055Kにはありません。

さて、なぜ過積載をするのかと言うと、下の図を見て下さい。

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横軸が時刻、縦軸が発電量です。そして、水色の通常ラインが5.5kWの太陽電池を接続した場合の発電量のイメージ、赤色のラインが過積載した場合のイメージです。5.5kWの黒い破線は、パワーコンディショナーの最大出力です。
 通常の場合、朝に日が照り出し、ある程度の日射になると発電を開始し、昼間の最も日射がある時間帯に最大の発電量になり、日が傾くと同時に発電量が減りやがて発電しなくなります。
 一方過積載をした場合、通常よりも早く発電が開始され、最大の日射量になる前に、5.5kWに達します。太陽電池パネルの容量ま5.5kW以上あるので、さらに発電する能力はありますが、パワーコンディショナーの能力の限界で5.5kWで高止まりし、赤色の破線の部分は変換されません。
 一見、赤色の破線部分がもったいない気がしますが、赤色のラインは、水色の通常よりも多く発電することが分かります。この様に、過積載をすると1日の間でより多くの電気を発電することが可能で、パネルの設置費用と収益増の兼ね合いで、お得になる可能性があります。

⑦過積載の効果を計算した

 では、費用をかけ太陽電池パネルを過積載してお得になるのか、簡単な計算をしました。設置する枚数は、西面3枚と南面13枚の16枚を2ストリングスに分けるので、北面に8枚設置し、合計6.24kWで過積載率113%です。

 年間の日射量は、先ほどのNEDOのサイトでデータが得られるので、南面、西面、北面に設置するパネル枚数をあてはめて、発電量と売電額を計算しました。

過積載回収計算

ご覧の通り、北面に8枚設置し過積載にすると、年間2万3千円程売電金額が増えます。5年で費用回収を目標にしているので、5年間で11万5千円の増収です。
 パネルが1枚16,500円、架台が3万5千程なので、8枚設置に係る費用は、167,000円で結構な足が出ます。ただ、固定価格買取期間の10年間で考えると十分に回収ができメリットはあります。

この様にして、爆増!! 24枚!!! 6.24kW!!!! となった訳で、太陽電池パネルの設置枚数の仮決定です。この後、周囲への影響で更に変更になりますが、それは後の記事で。

つづく

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