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390 トゥレット症候群

はじめに

街中で、突然「シネ」「バカ」と大きな声で叫ばれたらあなたはどのような行動をとるでしょうか。
嫌悪感や危険を感じてその場を離れるかもしれません。もしかすると奇声を発している人や暴言を吐いている人を見たら不審者の様に感じて身の安全を確保するように学校で教えられているかもしれません。
しかし、もしかすると今日の教育コラムを見ていただけたら、もしかするとトゥレット症候群で苦しんでいる人かもしれないということを同時に意識していただけるかと思います。

症状の特徴

トゥレット症候群についてまずはその基本情報をまとめておきたいと思います。この症状は、1年以上にわたって運動チックと音声チックの両方がみられるときに診断されます。本人の意志とは別に抑えようとしても表出してしまう動きや声のことを言っています。
例えば、首を大きく振ったり、激しくまばたきをしたり、口をパクパクさせたり、急にジャンプしたりその行動は、知らない人からしたら奇怪な行動に見えるかもしれません。
また、大きな声も発します。場に応じた声の大きさや行動を求められる社会においてこうした行動は、理解されにくく周囲の目は当事者にとって大変つらいものとなっています。
いちいち説明を周囲にしなければ変な人に見られてしまうのではないかという心理が働きがちになります。よく知っている関係の人と以外との仕事や学習をする際には、理解までに時間もかかりますし、とても気を使います。

深刻な症状

トゥレット症候群は、神経発達障害なわけですが、18歳未満に0.1~1%の割合で発症するといわれています。
音声チックや運動チックがストレスや不安を感じる出来事の後に出てしまうという経験をしたことがある人も多いかと思います。私もそうした人間の一人です。短期間でおさまるものもあれば、症状が悪化したり長期化したりするなど様々です。トゥレット症候群など強く長引く症状が出る場合は、ストレスだけではなく、遺伝的要因が関連している場合もあると考えられています。根本的な治療方法はないとも言われています。また、年齢が上がるにつれて症状がおさまっていく人もいればそうでない人もいるので一概にどのようになるとは言えないのです。

汚言症

トゥレット症の人は、人口1000人あたり3〜8人に認められ、男性のほうが女性より2〜4倍多く見られます。ですから、身近にそうした症状の人が全くいないという人も多いと思います。
そうするとかなり驚いてしまうのが、汚言症を伴った音声チックかもしれません。叫び声や汚い言葉を自分の意思とは関係なく発してしまうこの症状は、卑猥な言葉や攻撃的な言葉を発することもあります。聞いた言葉を無意識にそのまま言ってしまうという反響言語という症状もありますが、汚い言葉は人前では使わないと教育されているわけですから、そうした言葉に違和感を覚える人はほとんどだと思います。また、そうした症状があることが分からなければ不信感すら相手に抱くでしょう。
日本財団が制作した動画を次に紹介します。多様性を認める社会とは理解から始まる部分が大きいように思います。ぜひ、学校や社会で肩身の狭い思いをしている人が、もっともっとのびのびと生きていける社会が広がっていくためには、どのような教育が必要なのかを多くの人たちと共に考えていけたらと思います。


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