道徳的思考・倫理的思考

 人間は思考するとき、それはある種類に必ず属している。ちょっと前から考えていたことだが文章にしたことがなかったのでここにメモしてみたい。その種類とは道徳・倫理の2種類である。
 道徳的思考とは「~すべき」とか「~しないといけない」という価値判断を含む思考である。「講義中は静かにしておくべきだ」「会話をするときは人の目を見て話すべきだ」といった(主観的な)価値判断を含み、そして大半の人にとってその遵守が肯定されるのがこの思考の特徴である。また、ここにはおのずと憲法・法律を遵守する態度もついてくる。例えば「人を殺してはいけない」とか「人のものは盗んではいけない」と言ったことは殺人罪や窃盗罪として刑法に書いているからだ。そしてこの思考が要求することを守る人は「良い人」であり「常識のある人」であり「マジョリティ」である。嘘をつかない人は「良い人」で時間通りに待ち合わせができる人は「常識のある人」である。したがってそのような人は「マジョリティ」だといえる。
 そして倫理である。これは法的思考が要求する遵法性及び道徳的思考が要求する「良い人」「常識的な人」「マジョリティ」から逸脱する、いわば「悪い」「反常識的」「マイノリティ」の思考である。そして漢字を区別して言い換えるならば、この思考は「善い」思考である。

ここから先は

1,084字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?