大人になったら
私がいきなり姿を消したら何人の人が連絡してくれるのかな。
寂しがってくれるのかな。
探してくれるのかな。
泣いてくれるのかな。
私が死んでも、みんなは泣いてくれるのかな。
みんなが求めているのは明るい私で、暗く沈んだ本来の私は要らないんだ。
明るくなれない私はみんなからしたら要らないものだから、多分見向きもされないんだろうな。
縋り付くことでしか形成できない人間関係に、エモいとか言う言葉で形容された失恋。グロテスクで歪な親子関係に、上部だけの笑顔で褒めてくれる優しい他人。
私は空っぽな人間だ。
この20年間、何を、いったい何を積み重ねてきたんだろう。
大学を卒業して、消えるつもりなんだ、私。
東京に行って夜職して、荒稼ぎして、お金は全部親に入れて、今までの恩を返し切ったら、汚れ切った体は捨てようと思う。
余計なことを言わないでおくれよ。
そんな方法で稼いだ金で親が喜ぶと思うか?
金は金だよ。力がある。金には力がある。
私の体が、1人の人間の人生と時間が、もし換金できるのなら相当な額になるでしょう。
親だけじゃない。
大好きな人たちにお金を残してから死のう。
私の愛した人が、私以外の誰かと幸せになることが耐えられないけど、死んだら何も感じなくなるはずだから。大丈夫だから。
大好きな人たちに幸せになってもらうために、私は、死にたい。
的外れなことを言っている。
自惚れたことを言っている。
口にしないでください。
何もかもわかっているから。
私はただ静かに、ゆっくりと歪んで、戻れないところまで来てしまって、気がついたら沈んでいて、溺れるだけなんだから。
私はこのまま死ぬだけよ。
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