実際にタイヤが道路に触れる場所

English version.

この言葉は、私のお気に入りのポッドキャスト、Developing Leadership エピソード#2からの引用です。Jason Warner(元GitHub CTO)は:

この業界の汚い小さな秘密は、CTOが実は会社の他の誰よりも10倍優先順位を付けていることです。それは実際タイヤが道路に触れる場所だからです。

Episode 2 | The Growing Pains of Company Culture | Developing Leadership | The Podcast for Engineering Leaders

という表現を使って、実際に仕事が進むのはエンジニア組織であることを言っています。IT企業には当てはまることは直感的にもすぐ分かりますが、近年より多くの企業がソフトウェアに依存するようになるにつれ、他の企業にも当てはまるようになってきています。会議などで議論を重ねてもエンジニアが動かなければ実際には何も進みません。 Jasonはこのフレーズを他のエピソードでも何度か使っていることから、それがどれほど重要かがわかります。

なぜ、どう重要なのか

自分もこのフレーズと同意見で、エンジニア組織を持つ企業で働く人達も意識するべきだと考えています。
しかし、それは少し抽象的なので、なぜそうなのか、どのようにそうなのかを探求したいと思います。

1. 少ない時間では少ない価値しか生まれない

まず、当たり前なことですがエンジニアは実際にソフトウェアを開発している人たちです。コードを書いて、テストして、デプロイして、メンテナンスしています。彼らがいなければ、ソフトウェアはありません。先程のフレーズでいうと、エンジニアがタイヤです。そのため、エンジニアから時間を奪うと、価値が低下します。その理由はいろいろありますが、一例を上げると…

  • 新機能や製品に関するミーティング

  • ソフトウェアについての問い合わせ

  • 進捗状況に関する問い合わせ

これらは一見「仕事」のように見えますが、必ずしも価値を生み出しているとは限らずエンジニアが「実際の」仕事をしていた方が費用対効果が高いことも多々あります。

2. エンジニアは現実と直面している

もう1つの当てはまる理由は、エンジニアの言うことはしっかり聞く必要があるからです。エンジニアはモノを実際に作る立場のため、常に、ソフトウェアが動く、動かないという現実に直面しており、何ができて何ができないかについてより現実的です。したがって、彼らが主張することは基本的に事実に基づいていて、しっかり考え抜かれていることが多いです。周りの人はエンジニアの主張に耳を傾け、軽視しないようにしないといけません

また、エンジニアとは別にドメインエキスパートが別でいる場合に、エンジニアは現実(「業務」と置き換えると分かりやすいかもしれません)を知らないと感じることがあるかもしれません。開発始めの頃はそうかもしれませんが、時間が経つにつれて、エンジニアは開発していく中で、そのドメインの知識を多く獲得していきます。更に日々開発していく中で現実に直面しているため、細かいところまで深く理解していることが多いです(でないと開発できないからです)。

エンジニアのマネジメント層も意識するべき

書いてきたことは非エンジニアの人のためのように見えてしまったかもしれませんが、エンジニアでマネジメントへシフトしていく方々も意識する必要があります。コードを書くことから人をマネジメントすることにシフトすると、実際の仕事がどう進んでいるかを忘れてしまいがちです。自分が過去の経験を元に正解を知っていると思い込んでしまい、現実に基づかない決定をしたり、チームからのフィードバックを無視したりすることにつながります。
簡単に言うと、マネージャーはもはや「タイヤが道路に触れる場所」ではないのです(少なくとも前ほどではありません)。そのことを意識し、チームからのフィードバックを受け入れるようにする必要があります。

いろいろと書きましたが、みなさんがエンジニアと一緒に働くことが少しでもスムーズになれば何よりです。

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