見出し画像

大麻取締法改正への反応①

 大麻取締法の改正について、専門家や関係団体がどう反応したか、メモ的にまとめてみます。ネット上で何らかの反応をあげているものを集めてみましたが、思ったより少ないですね。まだまだ反応しづらいトピックだということかもしれません。

【日本てんかん協会】
 てんかんに対する社会的理解の促進、てんかん患者への社会援護活動を行っている団体です。
 法改正によって抗てんかん薬「エピディオレックスⓇ」が使えるようになったことについて、「難治てんかん治療の、また一つバリアを取り除きました!」として同協会の要望活動が実を結んだことを報告しています。
 先行する外国に比べれば、やっとだよ、なのかもしれませんが、医療使用が可能となったのはたいへんよい改正であったのだと思います。

【甲南大学名誉教授 園田寿氏】
 刑事法が専門の先生です。「大麻事犯の重罰化」に反対の意見を述べられています。
 犯罪と刑罰のことを考えるときのもっとも重要な原則に「比例原理」があり、これは、刑罰は行為が他者や社会に与える損害の重大性と釣り合っていなければならず、刑罰は個人の権利を強く制限するものだから、より緩やかな方法があるならそちらを選択しなければならない、というもの。大麻の有害性はアルコールやタバコなど合法なものより少なく、世界の潮流は非犯罪化、非刑罰化である、と主張されています。
 日本は「懲罰による抑制」という不寛容主義が薬物対策の基本となっているが、進歩的な国はオープンで幅広い議論を活性化し、公衆衛生、人権、ハームリダクションに根ざした効果的な対応を模索している。日本も新たな薬物管理体制にシフトすべきで、消費者の健康と安全を守り、効能、品質、アクセスを厳格に管理するサプライチェーンを国家が構築すべき、とのことです。
 本ブログで紹介した「大麻の社会学」と同様の視点からの反対意見ですね。オープンで幅広い議論の活性化、進めていきたいものです。

【株式会社ワンインチ 柴田耕佑氏】
 CBD製品を販売する企業の代表取締役の方です。CBD製品中のTHCの濃度基準に関する政令案が提示される前の記事です。
 今回の法改正でCBD製品の市場が広がる可能性はあるものの、様々なルールが定められていないために、事故が発生し規制につながってしまうことを危惧されています。
 例えば、現在は年齢、含有量、摂取上限、用法用量といったルールがなく、そのために業界では不適切な表示・説明が横行しているとのこと。
 CBDには眠くなる作用があるため、運転前に摂取すれば事故につながる可能性があります。また、CBD成分が医薬品として認められれば、医薬品としての流通が基本となり、一般製品としてのCBD製品は流通できなくなることも考えられるのだそう。
 こういったことにならないよう、業界ルールの設定、業界団体の設立などを提案されています。
 たしかに現在のCBD製品は、「嗜好用」の効果を強調したものが少なくなく、何となく怪しい、快楽のためのドラッグ、といったイメージを持たれてしまいやすいと感じます。政令改正案で示された厳しいTHC基準がどう影響するかわかりませんが、健全な業界の発展を期待したいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?