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【わたしの推し本】正直者の上司から「近年稀に見るすごい傑作」と言われた原稿が進化して、この本が誕生しました。(編集部 志摩)

7月20日より全国の書店さまにてご展開いただいている「編集者の推し本フェア」。
この記事では、店頭POPよりももっと熱い「推しポイント」を、各書籍の担当編集者がお届けします。

「楽しい時間の過ごし方」を探しているすべての人へ

初めまして、編集部の志摩と申します。
新卒で編集プロダクションに入社。その後、老舗ビジネス書出版社で5年ほどお世話になり、2019年にディスカヴァーに入社しました。「心の居場所になる本」「何かに人生を捧げている人の本」をテーマに編集をしています。

今回の投稿では、『「名著」の読み方』をご紹介させていただきます。

本書では、「100分de名著」(NHK Eテレ)のプロデューサー・秋満吉彦(あきみつ・よしひこ)さんが提案する「本を味わい尽くす読書術」を紹介しています。実は奥が深い「薄い本・定番の名著」から、読破が困難な「分厚い本・難解な本」まで、「いつか読もう」と思いつつ、積ん読になったり、読みっぱなしになったりしていた本の「読み方」と「楽しみ方」が同時にわかります。

本には、いろんな楽しみ方がありますが、本書で紹介しているのは、名著や古典を通して「自分だけの読書」を楽しむ方法です。 

きっかけは、「読書を楽しめていないかも」と思ったこと

この本は、あるSNSで「秋満さんの好きな本のお話」を伺ったことがきっかけで生まれました。秋満さんは、アランの『幸福論』について、各出版社の翻訳の違いや読みやすさについて楽しそうにお話しされていました。

一方私は、たとえば『星の王子さま』の感想を「目に見えないものって大切だよね、ね?」と言う程度。そのため、秋満さんのお話しはドキッとするものでした。「私は本を楽しめていないかも。楽しむにはどう読めばいいんだっけ?」、こう思ったのが企画のスタート地点でした。

取材中の臨場感もつめこみました

その後、社内での企画決裁を経て、正式に出版が決まりました。
この本の編集で印象的だったのは、「取材楽しかった〜!」ということ。なぜなら、著者の秋満さんがとても楽しそうに「名著や読書のこと」を語られていたからです。

名著に関連して、お仕事(「100分de名著」のプロデューサー業)のお話も伺えたのですが、こちらもとにかく楽しそう。もちろん、お仕事でのご苦労や大変なことは尽きないかと思いますが、それを超える「本が好き」「読書って楽しいんですよ」という気持ちも言葉の端々から伝わってきました。

この「本への愛」は、本文からにじみ出ていますので、ぜひそちらもお楽しみいただければと思います。

また、そんな秋満さんを拝見して、「私もこんな50代になりたい」「おもちゃに夢中な子どものように、黙々と楽しめる何かを持っていたい。そんな大人はかっこいい」そう思わせていただく時間でもありました。 

時間や社会にしばられない「心の自由」を楽しもう

取材が終わりに迫ったころ、秋満さんへ「この本で一番伝えたいことはなんですか?」と質問したら、とてもシンプルな答えが返ってきました。
それは、本書の「あとがき」にある次の一節です。 

ぼくの願いは、とてもシンプル。
ここまで読んでくださった皆さんが、読書を好きになってくれること。
そして、1冊でも多くの素敵な名著に出会い、豊かな人生を送ってくれること。

『「名著」の読み方』 P229

この3行は、私のとくに好きな一節で、本を読むことの楽しさを思い出させてくれるメッセージだと感じています。
 
本は娯楽だけではなく、たくさんの学びも授けてくれます。
そのため、とくにビジネスパーソンの方は、「勉強としての読書」が多くなっているのではないでしょうか?
もちろん学びとしての読書も大切ですが、「ちょっと力を抜きたい」といった瞬間が訪れたら、ぜひ「自分だけの読書」を楽しんでみてください。時間や社会から自由になれるような感覚がきっと味わえると思います。
 
そしてこの本は、「本好きのためだけの本」ではありません。
秋満さんは、もともとは「読書が嫌いな少年」でした。そんな秋満さんが読書家になるまでの過程も紹介していて、そこにも「読書を楽しむヒント」がつまっています。
 
本書は、読書術だけではなく、著者の人柄も感じられる1冊にできました。
試しに、「読書が大事なのはわかってるんだけどさ〜」と軽く話しかけるような気分で、ページをめくってみてください。秋満さんの「だよね、それで読めたら苦労しないよね」といった相づちを感じながら、読み進めていただけると思います。

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