見出し画像

2022年9月23~24日の静岡県内での豪雨災害(第4報) 静岡市清水区・興津川流域の現地踏査から

 9月30日は、今回の豪雨による被害を受けた静岡市清水区の興津川上流域をみてきました。この地区に固有にみられることではないですが、印象に残った現場の写真をいくつかまとめておきます。

 まず、河川沿いの道路で河川側の護岸は残っているが道路部分だけが崩落したケースを下流側から撮影しています。静岡市清水区中河内地区。

静岡市清水区中河内 道路の路肩決壊

 こうしたケースで人的被害が生じた例が今回の豪雨でもあったことは、先日のnote記事でも報告しました。

 上流側からズームして撮影。昔の護岸らしきものが見えるので、拡幅した道路部分が崩落してしまったのかもしれません。これも今回の豪雨で川根本町で車が転落して行方不明者が生じた現場と類似しています。

静岡市清水区中河内 道路の路肩決壊

 崩落した付近を対岸から。護岸の下部に少し隙間が見えます。こうしたところから水が入り、道路部分の土が抜け落ちてしまった可能性が考えられそうです。

静岡市清水区中河内 道路の路肩決壊を対岸から

 静岡市清水区の山間部では、道路などに土砂が流出している現場が多数みられました。これはその一例で清水区大平。道路に堆積した土砂が片付けられた後なので流出時より高く積み上がってはいますが、周囲にも広がっておりかなりの土砂が出た印象です。

静岡市清水区大平 土砂流出

 ところでこれだけの土砂を運び出した川ですが、災害後の時点でみると幅1m程度のごく小さな「水路」と言う方がしっくりくるようなものです。しかし、一般的に土砂が流出した川の多くはこうしたごく小さな川です。

静岡市清水区大平 土砂流出した小河川

 この小さな川の背後を見上げると、山の奥まで伸びるはっきりとした谷があり、ここから流れ出ているとわかります。土砂というのは訳もわからないところから出てくるのではなく、谷筋に沿って流出してくるもので、一見小さな川でも多くの土砂を運び出してくるものだということを改めて実感しました。 ちなみにこの場所は土砂災害警戒区域(土石流)で、斜面に近いところは土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)でもあります。

静岡市清水区大平 土砂流出した小河川が流下する谷

 この写真でもわかりますが、下から見上げる限りでは斜面が大きく崩れている様子は見られません。本日みた範囲では概ね同様で、相対的にみれば大規模な斜面崩壊が多発していると状況ではないようです。それでもこれだけの土砂が出て影響を受けてしまうのがつらいところです。

 静岡市清水区清地付近。中河内川が興津川に合流する直上流部です。この写真の地点では少なくとも橋の欄干より上まで洪水が流れたことがわかります。 山間部の堤防がない河川は「洪水」と無縁な気もしそうですがそんなことはありません。山間部では低地が少ないので浸水の範囲は狭くなりますが、川の近くの低いところが洪水に見舞われ、「山地河川洪水」とも言われます。

静岡市清水区清地付近

 水は、水深が深く流速が速くなるほど大きな力を持ちます。山地河川洪水ではこうした条件が整いやすいので、水の力だけで川の近くのものが破壊されることがあります。ここは上の写真の近くの興津川沿い。カーブミラーなどが損壊していますが、平野部の川から離れた場所での洪水ではこうしたことはあまりみられません。

静岡市清水区清地付近


記事を読んでいただきありがとうございます。サポートいただけた際には、災害に関わる調査研究の費用に充てたいと思います。