2022年上半期のお気に入り曲
上半期とか言いながら、もう8月ですね。
去年のベスト9枚!とか書きたくて、下書きまで作ってたんですけど、なんか投稿するほどのものでもないな〜と、半年以上もほたっていました。
このままではmyspaceよろしく、私のnoteもネット廃墟となってしまう!と思い徒然なるままに書き込みを始めました。
記事と呼べるような代物でもございませんが、気が向いたら見ていってください🙇♂️
C.O.S.A - 5PM(feat.田我流)
先ずはこの人、今年の初めにこのアルバムが出た時は「初っ端で年間ベスト決まってしまったね…😅」と溜め息が出てしまいました。
C.O.S.A.氏渾身のフルレングス「Cool Kids」は様々な彼の一面を垣間見ることが出来ますが、なかでも田我流が参加したこの曲は、その日その日を生きることに精一杯だった若い時代から、守るものが出来たことで移り変わっていく心を夕暮れを思わせるようなメロウなビートと共に情感たっぷりに描いています。
「Ah 昔から嫌いだった夕陽
今は保育園 迎えに行き 手を握り
Woo uh woo とか口ずさむ
悪くないね こんな夕時」
個人的に「夕陽嫌いな人なんておるんや…🥺」と驚きましたが、この部分の描写とても好きです。
参加している田我流のバースの中で
「今の俺は野原ひろし
家族持てば同じ気持ち
まずは健康第一
R1飲む毎日」
というリリックがあるのですが、聴こえようによっては陳腐になってしまう固有名詞をコミカルになりすぎず、シリアスなムードの中で、的確に子供を持つ親としての心情を描くためにチョイスするのは本当に凄すぎる…。
まさに日本が誇るリリシストの共演と言えると思います。
(同作に収録されている「Blue」とどちらにするか迷いましたが、個人的に悲しい思い出を思い出すのでこちらを選出させていただきました、THE私的感情!)
Awich - Queendom
今年3月、遂に武道館を踏破し、名実共に"女王"となった彼女のアルバム「Queendom」、そのタイトルトラック。
シリアスなイントロから尻上がりにアッパーになっていき、キャッチーなフックも存在していて、アルバムの一曲目としてもライブの一曲目としても持ってこいな曲ですね。
でも、そこは重要なことじゃなくて。
彼女の楽曲の中で、今は亡き彼女の旦那さんにまつわる曲は何個か存在するんですけど、この曲もそれに当たります。
この曲の凄味は、今なお米軍の統治下に置かれている沖縄、その過去の戦争の歴史。
それと銃弾に倒れた旦那さんを絡めて、暴力や理不尽な力に支配されない彼女の理想郷を歌ってる所にあります。
「極東の女王 イタミはNo more 支配するこの理想郷」
「次世代に残さないカルマ 今開く栄光のChapter」
そして、悲しみから立ち上がり夢を掴みにいくとこまで全てのストーリーが繋がっている…。脱帽です。本当にすごい…。
毎回、涙が出てしまうのでここぞと言う時にしか聴けないのですが本当に大好きな曲です。CLASSIC🥺
Inclination - Thoughts and Prayers
最近めっきりハードコアを聴く機会が減ってしまった私ですが、このバンドは本当にかっこいい。
ケンタッキー出身のストレートエッジニュースクール、Inclinationの新曲です。
イントロから16分の刻みで圧死させられますが、この手のジャンルのバンドってノリが重たくて、聴いていても身体が動かないバンドが多いんですが、このバンドはすごくダンサンブルなんですよね。
knocked looseのギターもメンバーにいて、あの低音グロウルが良い味出してます。かっこいい。
最後の落としとか、めちゃ悪い顔してモッシュしてしまいそう。下手くそな回し蹴りしかできないけど。
あと何よりライブが最高です。このライブの冒頭のMCもストレートエッジとしてのアイデンティティにプライド持っててかっこいいな〜。
今年アルバムも出るみたいなので楽しみ。
OMSB - 大衆
今年はSUMMIT勢が大活躍な一年ですね。
HIPHOP史に残るであろう名盤「Think Good」から7年越しに届けられた新作からの一曲。
前作はストイックなブーンバップのビートが占めている印象でしたが、先行シングルの「Nowhere」ではポップな一面を発揮。切ない雰囲気も染みました。
そして、この曲。すごくシンプルでゆるい雰囲気のあるビート。ベースにOKAMOTO'Sのハマオカモト氏が参加しています。
ドトールで人を待っている内に、自分の出自を振り返るリリックなんですけど、この曲を聴いた時に全員食らうだろう部分があります。
「友達 単純にクエスチョン なんで黒いの?
シンプルな一小節 今もよく覚えてる
根に持っちゃないよ 覚えてるだけ
何故みんなと違う 何故みんなと違う」
いやぁ…子供の純粋さというのは怖いですね😂
ここ聴くだけで、一発で脳裏に気まずい場面が流れてきます。
歌う人によっては160kmの豪速球にもなるリリックだと思うんですけど、それをゆるーいビートに乗せて、気持ちよく歌える所が好きだし、何より
「根に持ってないよ、覚えてるだけ」
っていう一節が本当に重要で、こんな風に許せる彼の人柄と現在の充実ぶりが窺えるようですね。
アルバム全体としても、フローの面白さは勿論のこと。彼のリリシストとしての側面が強く打ち出されたアルバムになっていると思います。
今年の6月に行われた渋谷WWW Xでのリリースワンマンにも行きましたが、ゆるいとこはゆるく、かます所はぶちかましまくる最高のライブで笑ったり泣いたり忙しかった😂
MCの中でも来てくれたお客さんに何度も感謝していた謙虚な姿勢と実力に裏打ちされた自信満々な部分が見え隠れするようで、彼の事が一層好きになる、そんなライブでした。
今まで行ったHIPHOPのライブの中で一番良かった。また行きたいです。
(あとデイタイムにやってくれるのがとても嬉しい!
徹夜でクラブに居るの無理だから…家で寝たい😂)
明日の叙景 - 歌姫とそこにあれ
日本のブラックメタルバンド、2枚目のフルアルバムからの一曲。
ボーカルの布くんとは大学の同級生で社会人になってからも交流が続いてるんですが、私はいつも明日の叙景の新作をずっと楽しみにしていて、良く新作はまだか?とか、次はどんなの出すの?とか色々質問しています。
そろそろ今年はアルバム出すよ、とは聴いていたのですがリリースされて驚きました。
なんだこの可愛い女の子のジャケットは…
Lo-Fi HIPHOPかなんかになっちまったのか…?
るーみっくわーるどなのか…?
と戦々恐々としましたが、Deftonesを思わせるヘビーなイントロの一曲目の「臨界」から深い夜の匂いとジメジメした暗い部屋の雰囲気を感じ、一安心。
しかし、今作は夏をテーマにした作品らしくブラックメタルの定型を軽々と飛び越えていくような自由な雰囲気を纏っています。
その最たる例が、この曲「歌姫とそこにあれ」です。これは最早問題作であります。
イントロから、一夏のボーイミーツガールと世界の命運をかけた大冒険が始まりそうなアニメのOP曲か?
と思うぐらいキラキラしたメロディと四つ打ちをベースにして進行していきます。
ブラックメタルで四つ打ちてなんだよ、ってなるかも知れませんが、彼らは既に去年発表した先行シングル「キメラ」の中でも大胆に四つ打ちをブラックメタルの中に取り入れています。
そして、素晴らしいのはそれだけに留まらず詩世界の部分でも卓越した才能を見せてくれます。
「人形が照らされ 影絵が紡ぐ
それは普遍的ストーリーのパロディ
僕だけに歌われた歌じゃないからこそ
ここにいてもいいんだと思わせる
誰かと分かち合う呪いとなる
決して一人ではない」
「全てを覆すほどの雫のタクトが振るわれる
100万人のための彼女がフロアに微笑めば
誰一人の孤独も諦めない
寄り添うおとぎ話が加速するはずさ」
一気に大観衆の前で歌うディーバの情景が広がりますよね、雫のタクトってなんだよ…美しすぎるだろ…。
おとぎ話が加速するはずさ、胸がキュンキュンしてしまいそうです!
(注意:ブラックメタルです)
Twitterで見たレビューの中であまりに的確なものがありましたので以下に載せておきます。
もし彼らを聴いて、気に入った方是非に歌詞を読みながら聴いてみて欲しいです。
とりあえずこの夏のサウンドトラックは決まったな…。
ZORN - いたいのとんでけ
葛飾区レペゼン、等身大のスタイルでシーンの頂点に君臨するラッパー待望の新曲。
本当に遅ればせながら、つい最近この人の格好良さに気づき大好きになりました。
ZORN氏の楽曲は固い韻をバチバチに踏んでいくオールドスクールなスタイルなものが多く、リリックも時にハードです。
なのに…全部キャッチーなんですよね、天才的にキャッチーだと思います。久しぶりに聞いても全部そらで暗唱できるくらいに強烈に頭に残るフレーズばかり。
彼の代名詞とも言える「洗濯物干すのHIPHOP」(My lifeの一節)というラインも、そこだけ聴くと意味がわかりませんが忘れられないフレーズだと思います。
そんな彼の待望の新曲は、広く傷ついた人の心に寄り添うものでした。
「起きれない朝に眠れない夜
途切れない悩みで失せた気力」
もう初っ端からガチガチに踏んでくる感じ好きです。
しかも踏むために意味合い的に無理な単語を持って来ないところがまた素晴らしい。
「ゆっくり ゆっくり
そのまんまで充分いい
クソッタレの誉れ高い生
命ってかお前が大切」
命をダメにする行為が…とかじゃなくて、ストレートにお前が大切ってストレートだけど沁みますよね。
普段ナンパなこと歌ってる人じゃないからこその優しさに目頭が熱くなります。
これ以外にも時計の針が止まった状態とDJがレコードに落とす針の部分を繋げたりとか、沢山言葉遊びが詰め込まれています。
↑大体この人の解説で言われてる。
Youtubeのコメントで、喫茶店で見かけたZORN氏に声をかけたところ鬱病の人に向けた曲を作っているという話を聞いた…という書き込みがありました。
ラジオでZORN氏は一日中喫茶店でリリックを書いているという話をしていたので、この書き込みはなかなか信憑性が高い。と勝手に思っております。
曲の中でもかつての仲間に対する言葉を送っていますが、
「そう言えばLIVEがある
まぁ大したサイズじゃない
気が向いたら会場で
お前がこの曲針落とせ」
これ多分11月のさいたまスーパーアリーナでのライブのこと言ってますよね?
ライブ見たいな〜、さいたまスーパーアリーナでもチケット取れなそうなんですが…かくなる上はファンクラブ入会でしょうか。生で見たいです。
(あと今年アルバムとか出ねえかな…)
18scott - 街風
ほんとうは2021年リリースなんですけど、暮れも暮れのリリースだったので、今年に入れちゃいたいと思います。
神奈川県藤沢レペゼンのラッパー、18scottのEPからの一曲。
これまでに現在日本が誇るポストロックバンド、downyに加入した(聞いた時マジで驚いた!)ビートメイカーSUNNOVAとの共作でアルバムを2枚出していますが、今回はソロ名義では初となる纏まった音源となってます。(そちらもとてもかっこいいので聞いてほしい。)
前2作は攻撃的な内容の楽曲が多かったイメージなのですが、今作のEPは彼の地元の藤沢にまつわる話だったり、家族のことを想うような本当にありふれた、誰にでも当てはまるようなことを歌っています。
なんですけど、不思議と何回聴いても飽きが来ないんですね。毎日でも聴けちゃうような気持ちよさがある。
恐らく、それは彼の変幻自在のフローによるところが大きいと思います。
上にあげた「街風」はスローなテンポで優しく歌い上げるような曲なんですが、同作に収録されている「湘南新宿ライン Freestyle」では超高速ラップを披露しています。
頭振っちゃうわ、これは。
単純にラップがめちゃくちゃ上手い人なんだと思います、且つ殆どの曲にキャッチーなフックが入っていて、頭に残りやすいんですよね。切ないラブソングである「KATASEYAMA」も大好きな曲です。
18scott、「Northside Love」もっと沢山の人に聞いて欲しいですね。新しいEPもかっこいいよ。
DIR EN GREY - 御伽
今年は驚くべきことが起こりました。
DIR EN GREYの楽曲がサブスクリプションで解禁されることになったのです。初回限定盤などにしか収録されてない一部の楽曲などを除いては、ほぼ全ての楽曲が配信されています。これはすごいことです。今までRadio Edit ver.とかいう中途半端な形でしか配信してなかったコスいやり方を改めたのは英断ですね。偉い偉い。褒めてあげたい。
勿論、私はアルバムはCDで持っていますけど、新規のファンを獲得する絶好の機会ですよ、これは。
CDインポートするのもめんどくさいですしね。
そんな、新規獲得にも意欲的な我らが御大DIR EN GREYも通算11作目のアルバムをリリースしました。
その名も「PHALARIS」。
ファラリスの雄牛です、らしい名前だな〜と思います。アレです、牛の中に入れられてモーッッ🐮っつって鳴くやつです。それです。
前作「Insulated world」では、一種ヤケクソと言えるほどの疾走感を感じさせる楽曲が大半を占めていましたが、今回はどうでしょうか。
正直に言って、未だ全容を掴めていないほど深く暗く重いアルバムになっていると思います。
質感としては8th「DUM SPIRO SPERO」に通じるような重苦しさがありますが、濃い瘴気のようなものが全編に漂っており、ある種密教的な雰囲気さえあります。
先ず、1曲目の「schadenfreude」から9分あります。
(これも曲名見た時、DIRらしい名前だな〜と思いました。)
そして、今作のラスト2を飾る「御伽」「カムイ」に関しては6分と7分、合わせて13分のミドルテンポ絵巻を味わうことになります…。
あ、あれ…?新規ファン獲得は…?😅
まあ、冗談は置いておいてですね。
上にあげた「御伽」は今作の中では、最も歌謡的なクサいメロディのある曲なのですが、トライバル調のリズムセクションとうねりをあげる入り組んだリフ構成が安易にバラードと呼ぶことを拒否しているような、そんな印象を受けます。
この曲の好きな部分として、Bメロとサビのメロディが近似しているものを使っているところ。
「多陀阿伽陀 御伽 深い谷へと」
(これ、ただあかどと読みます。仏教においての如来、悟りを開き、真理に達した人のことなのだそうです。)
ここと
「嗚呼 ソレが示す 涙捨てて行かねば 生きられぬ世界」
ここなんですが、近しいメロディをリフレインすることで、強く印象を残すことに成功していると思います。
「嗚呼 夢を溶いて 送り人 寡黙な 空へと行かん」
こと、この部分に置いては歌詞も相まって本当に天へと昇っていくかのようなイメージが浮かびます。
ただ、キラキラとした光に照らされながら…というよりは、地獄に垂らされる蜘蛛の糸を辿るような泥々の道のりと言った感じですが…。
ここまで、話しておいて本当に好きな曲なの?と言った感じですが…やはりDIR EN GREYはこうでないといけない。
苦しみに捥く禅問答の末、ラストには
「痛みからの解放」
と歌われています。
カタルシスですね、何をもって痛みから解放されるのかは、敢えて言及しませんが、この人たちの詩世界においては、それすらも救いとされるような気がします。
そして、最後の曲「カムイ」へと繋がっていきます。
もし、このレビューを見て聴いてみたいと思った奇特な方は是非それも合わせて聴いてみて欲しいですね…。
あとは他にも
以上こんな感じの曲をたくさん聞いてました。
書いてて思ったんですけど、私の好きな曲って等身大な内容を歌ってる曲ばっかですね。やっぱりバチバチにセルフボーストやフレックスでギラギラみたいなのって性に合わないんだろうな〜自分がそうではないし。
あとHIPHOPのライブもっと行ってみたいんですけど
「あ、このメンツ見てみたい!日程も行けそう!ん?」
「START 22:00」
「………」
「やめとこ」
みたいな事が多くて…本当に個人的な理由なのでしょうがないですけど、日を割る時間帯までに終わってくれたら行きやすいのにな、とか思ってしまいます。
(そういうパーティーの文化だから、こんな事言ったってただのワガママなんだけどね😭)
下半期もたくさんいい音楽と出会いたいですね。
C.O.S.A.氏も新しくもう一枚出すみたいなこと言ってたし楽しみだな〜。
ここまで読んでくれた方ありがとうございました😊
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