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何故コロナ禍でも同人誌は通販で売れないのか

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※この記事ではわかりやすさを優先して、頒布を「売る」と表現しています。

1.イベントも新刊もない日々 
 ―半年で半減した同人誌発行部数

とうとう、今年はコミケのない1年になってしまいました。
一部の同人イベントは徐々に開催を再開していますが、参加できるサークルも一般参加者も制限されている状態です。

そして今、コロナ禍やオリンピックを前にして同人業界が潰れてしまうのではないかと危ぶまれています。

https://www.j-cast.com/2020/07/29390934.html?in=news.yahoo.co.jp
https://www.j-cast.com/2020/07/06389465.html?in=news.yahoo.co.jp

イベントを開催するにできない(つまり、収入がのぞめない)イベンターはもちろんのこと、同人誌を作るうえで欠かせない印刷所も危機的な状況です。

https://www.j-cast.com/2020/07/28390931.html

こちらの記事によると「年内の6カ月間は良くて(例年比)売上50%、最悪時期は20%程度の売上が予想される」とあります。
実際Twitter上でも「新刊が出なくなった」という声は数多くあり、真実味を帯びています。

…でも、どうして?

エアイベントや同人誌通販サイトの支援が様々にあるのに
新刊を出さないと・買わないと、このまま同人業界が潰れてしまう!と連日声が上がっているのに

同人誌、通販だと売れないんです
※現状を知りたい方は、ぜひTwitterで「同人誌 通販 売れない」で検索

同人誌、売れないと中々作れないんです
※平均して新刊を1種類作るのに数万円かかるので、売れないと印刷費貯めるのに時間がかかる

そこで、まさに通販だと売れなくて新刊出せない一サークルが下記のアンケートをTwitter上で行いました
※note上での身バレを防ぐため、スクショ&垢消ししてます

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おかげさまで、4万件を超える投票&200件近いご意見をいただけました。
こちらの内容を基に、どうやったら「新刊が売れない⇔出ない」の負のスパイラルを今のうちに断ち切れるか模索していきたいと思います。


※元々個人の興味で始めたアンケートだったので、意見収集方法のツメが甘々です。
※筆者は仕事でユーザーの行動分析をしていますが、専門家ではないので色々ご容赦ください。

2.データ集計で見えてきたもの
 ―イベントでないと買う気がしない

まずは、改めてアンケートの結果をご覧ください

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まず4万人近くの人が「同人誌は通販では買いにくい」と思っていることにも驚きですが、
さらに過半数つまり2万人以上が「値段が高い」からと回答しています。
ちなみに、この件に関してよせられた多くのご意見から、同人誌本体というよりは「送料や手数料がかさむ」ことがネックだとわかっています。


…でも、ちょっと待ってください

コミケをはじめ、同人イベントには会場から遠く離れた人も遠征してきます。(なんなら国外からも!)
その交通費や宿泊費は一万円を超えることもざらにあるはず。それよりも送料や手数料がかさむとはちょっと考えにくい。

さらに追加で寄せられたご意見を集計すると、もう一つ大事な要因が見えてきました。

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※複数要因を一度に上げられたケースが多かったため、これを分解・分類後に集計
※「電子書籍だったら買う」という意見がありましたが、大多数を占める二次創作同人誌には不向きなので割愛

約3割が「そもそもイベントがないと本を買う気にならない」と回答
さらに約2割が「通販では本命の本しか買う気にならない(=イベントのようにたまたま見かけた本を買うことはしない)」と回答
つまり、半数が「イベントで買うからこそ、その同人誌に価値があった」というのです

3.同人誌は「夏祭りの金魚」? 
 ―買いたいのは本ではなく想い出

「イベントだと正気を失ってたくさん買いたくなるけど、通販だと我に返ってしまう」

このようなご意見が実のところ大半でした。
イベントであれば気にならない予算も、通販だととたんに気になるというのです。

「どうせなら作家さんのスペースで直接買いたい」
「イベント中の一期一会は大事にしたいけど、通販だと本命を買うのに精一杯」

こういった声も多くありました。
その中で一際(サークルとして)ぐさりときたのが、以下のようなご意見です。

「縁日の商品は、お祭りの最中なら欲しいと思っても後日Amazonで買おうとは思わない。同人誌も同じ」

確かに、人はあとで使うためではなく「買いもの自体が楽しいから」モノを買う時があります。
この時、人はモノではなく「買いものが楽しかった」想い出にお金を払っているのです。

朝早起きして、気合入れておしゃれして。
友達だったり憧れの作家さんだったり、イベントじゃないと会えない人と会う楽しみ。
なんならイベントが終わった後にご飯食べに行くのもの楽しみで、そのためなら交通費も宿泊費も苦にならない…

今回のアンケートで見えてきたのは、多くの人にとって買いたいのは「同人誌」ではなく「イベントで同人誌を買った」想い出であること。
そのような人にとって、通販で買う同人誌というのは「価値は半減・価格は倍増」といっても過言ではないのでしょう。
確かに、これでは買われないのにも納得がいきます。


4.買えるものなら本当は買いたい ―何が通販購入を阻んでいるのか

とはいえ、残り半数の人は「イベントがなくても本を買いたい、でも買えない」ようです。
では、いったい何が原因で買いたくても買えないのでしょうか。

ひとつ明らかなのは「人気のあるサークルは通販でも注文が殺到して速攻売り切れている」ことですが、
それでは身もふたもないのでもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

まず、同人誌を買うまでの流れを4ステップにわけてみました。
どこの段階で本を買うのをあきらめてしまうのか、つまづきポイントを探ります。

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さらに、アンケでわかった「通販では買わない理由」をこの4ステップに当てはめてみます。

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※アンケ項目をきちんと設計できてなかったので、どうしても重複してるものがあります

すると、下記のような結果となりました。

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「悩む」段階で買うのをあきらめている人が一番多いのですが、これは一般的な通販サイトでも同じこと。
個人的に注目すべきは、全体の1/4を占めている「知る」段階でつまづいているパターンです。
同人のように熱狂的なファンの多い分野において、この段階でつまづくのは非常にレアケース。
一体、何が起きているのでしょうか? 詳しく見ていきます。

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僅差とはいえ、最も多かったのは「新刊の情報に気がつけなかった」人たちです。「うまく情報を探せなかった」人たちを含めると、7割にのぼります。

「仕事中にいつの間にか通販開始されていて、気が付いた時には完売」
「作家さんが全然告知宣伝してくれない」

「イベントがある時は、何もしなくてもTwitterやPixivに参加情報やサンプルを一度に確認できた。今は何もかもバラバラで探すのも難しい

このような意見もたくさんありました。
確かに「いつどこで何が買えるのかわからない。その情報をいつどこで探せばいいかもわからない」状態はかなりのストレスです。

「だから、イベントがないと新刊情報を探しにいく気にもならない」という人まででてくるのもうなづけます。

「Pixivにちゃんとサンプル載せているんだから、検索すればわかるはず」
「探しにこないのは、本当は興味ないからでしょ」
といいたくなるサークルさんも多いでしょう。

しかし、今は「欲しい情報は検索しない」のが当たり前な世の中になりつつあるんです。


5.情報は「探す」のではなく「流れてくる」もの
 ―告知なき新刊は、出ない新刊と同じ

少し話が逸れますが、10~30代はキーワード検索をしなくなってきています。
SNSでTLを眺めながら気になるハッシュタグをおいかける「タグ検索」が主流です。
https://ascii.jp/elem/000/001/864/1864045/

実は、同人誌の買い手はほとんどがこの年代(正確には20~40代)


「気になる作家さんをフォローして、最新情報をTLでちゃんと追ってるよ。
 サンプル上がってたらもちろん見にいく。見逃してなければ…だけど。
 あとは好きなジャンルやCPのタグを、気が向いたときに巡回するくらいかな」


情報収集をこんな感じで済ませている人、多いのではないでしょうか?
(少なくとも私はこのタイプ)

となると、まずはSNSに情報を流さないと買い手は誰も気づいてくれません
同人ならTwitterかPixivでの告知は必須でしょう(もちろん、両方がベスト)
またフォロワーの生活パターンも色々でしょうから、一度ならず何度か告知を流すことも重要になってきます。

当たり前ですが、人は存在を知らないものを買いたいとは思えません

リアルのイベントでは、買い手が会場を回っている間に知らなかったサークル・本を見つけてくれることがありました。
一方で、SNSはフォローやタグなどの手掛かりがないかぎり、非常に発見してもらいにくいのです。
また、告知しても各サークルで発表や販売時期がバラバラだと買い手が把握するのが大変で、かえって購入意欲を削いでしまうこともわかりました。


6.それでもイベントのない今同人誌を買ってもらうには 

さて、やっと「イベントのない今、同人誌を買ってもらうためにできること」が見えてきました。
残念ながら、通販では「同人誌をイベントで買う楽しみ」を再現することはできません。
ですから、せめて「買おうとしてくれている人」のためにできることを考えていきます。

その1.きちんと新刊情報を告知・宣伝する
一部のジャンルをのぞき、TwitterとPixivの両方に新刊情報を載せます。
それぞれ掲載できる情報量と特性が違うので、下記のように使い分けるといいでしょう。

▼Twitter向け

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 ・新刊表紙(必ず1枚目に設定)
 ・本文1(導入シーンがおすすめ)
 ・本文2(クライマックス直前がおすすめ)
 ※サイズ調整のため、4枚目は絶対に登録しないこと

 ・タイトル
 ・ジャンル CP名
 ・成人向などの注意事項
 ・販売開始日もしくは参加するエアイベント名
 ・サンプルURLもしくは通販ページURL
 ・あらすじ(字数が足りないようであれば、リプツリにつなげる)

中編・長編作品の場合、キリのいところまで全ページ掲載するというのも効果があるそうです。
※その際は、最後に上のような告知情報をもってくることが多いよう。

▼Pixiv向け
 Twitterと同様に、下記の内容を必ず「作品説明」部分に入れます
 ・タイトル
 ・成人向などの注意事項
 ・ジャンル CP名
 ・販売開始日もしくは参加するエアイベント名
 ・通販ページURL
 ・あらすじ
 
 このうち、下記はタグ登録も忘れずに行います
 ・ジャンル CP名
 ・参加するエアイベント名

 サンプルページは
 ・導入からキリのいいところまでを一括
   +
 ・クライマックスシーンの直前
  (成人向作品の場合はスケベ場面必須)
 

その2.皆で協力して新刊情報を一か所にまとめる
さらに買い手が情報を集めやすいよう、ジャンルやCPごとに告知や販売時期をまとめるとよいでしょう

 つまり「エアオンリー」です!

最近Twitterで「#[CP名]新刊」的なタグを作ってみんなで使おう!という素敵なアイデアを見かけました。
これに開催月も追加して「#[CP名]新刊_8月」といったタグにすれば、さらに本当に今買える新刊だけ集められてさらに使い勝手がよくなりそうです。
企画サイトを用意する必要もなく、気軽にエアオンリー開催できます。

もっと理想をいえば、リアルイベントのように「この日に販売開始」と揃えられるとよいでしょう。
そのためにも、エアオンリーを支援してくださる通販サイトでは一斉販売開始を徹底していただきたいものです。
(個人的には、各種割引よりも販促効果が高いと思っています)


7.最後に買い手の皆さんへお伝えしたいこと

買わなくてもいいので、少しでも気になった本の情報を見つけたらRTしてください。
買う代わりに、Twitterで「こんな本見つけたよ」って知らせてください。

今回の集計で身に染みたのが、私を含める中小規模サークルの多くが、みなさんの「勢い買い」「ついで買い」に支えられてきたことでした。
そして、こういった中小規模サークルが日本の同人サークルの8割を占め、新刊を出し続けてきたのです。

今、その大多数のサークルも同人活動が続けられない状況にあります。

冒頭でもお伝えしたとおり、印刷費の関係で出した本が売れないと中々次は作れません。
それでも、サークルとして参加したイベントの楽しさを味わいたくて、多くの人は新刊を出し続けてきました。


しかし、現状通販のみではこの楽しさは再現できない。それどころか、普通のサークル参加以上に通販処理は出品するだけで手間がかかります。
サークルにとっても、通販のみで新刊を出すことは「価値は半減・コストは倍増」なのです。

今のサークルにとって「通販で買ってもらう」ことは新刊を出すモチベーションに直結します。
そのためにも、より多くの同じものが好きな人たちにまずは新刊があることを知ってもらう必要があるのです。

イベントがない今ならではの「同人誌との一期一会」、一緒に作っていきませんか。

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気がついたら、Webサイトを作り続けて20年。同人文化にどっぷり浸かって20年。今もサークル参加している現役のオタクです。 原稿の合間に、エアオンリーとか同人系のWebサービスを個人開発でチマチマやっています

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コメント (23)
さぶそんさん

私も電子書籍に関しては気になったので、知人に同人活動している人がいるので聞いてみました。
同人誌は表向きは分布とか配布という形になっているそうです。
ただそれだとお金をもらうことは出来ないので、印刷代ということにしてるとか。
二次創作に関して言えば、大っぴらに販売してると言っちゃうと、それこそ本屋さんに並んでるアンソロジーコミックのように許可を取らないといけないんだとか。
だから電子書籍にすると、もし「印刷してないのになんでお金取るの?」と突っ込まれたら言い訳出来なくなるらしいです。だから本にして売ってると。

更に言えば、本当はもっと安くしたいとのことですが、価格はページ数に応じて相場が決まっていて、それより極端に安くすると、周りの目が…とか同調圧力的な…とか言ってました。

複数人に聞いたわけではないのでこれで全てだとは言えませんが、そういう側面もあるとだけ。
ひぐまりのーとさん

その解釈ですと、結局はお金のためってことになりませんか?
じゃあやはり同人活動というのは、趣味ではなく商売ということですよね。
企業はそれでいいと思います。それは仕事でもあるでしょうし、仕事なら利益を求めるのは当然ですから。そもそも企業なら二次創作的なものにしても、きちんと関係各所に許可を得た上でやってるでしょうし。
ただ個人で活動してて、趣味でやってると言ってるのに見返りを求めることがどうも納得いってなかったのです。
でもそういうことなら分かります。有難う御座いました。
いい消費者に『かってもらいたい』ってんなら、やっぱり商売として考えてるってことじゃねえか。
にも関わらず版権元から無許可で二次創作の本を作って利益を得てるけど、それを商売だって大々的に言うと問題があるから趣味ってことにしてるだけだろ。
一次創作はコミティアがあるんだし、そっちで頑張っていけばいい。有能な新人発掘とかもそこでやっていけばいいだけ。
あとな、一部作品は許可を出してるって言ってるけどな、本心から「どうぞどうぞ」なんて言ってるわけないだろ。
本当のことを言わせてもらうとな、全部駆逐したいんだよ。全面禁止にしたいんだよ。
ただそうするとメインターゲットであるオタク層があーだこーだ文句言ってきて面倒だし、OKにしておけばここはオタクに理解があるみたいな感じで逆に好感度上がるだろ?チョロいから。
だから敢えてOKにしてんの。ウチも含めて二次創作を全面支持してるメーカーなんて実際は皆無なんだよ。任天堂さんやコナミさん見てれば分かるだろ
フィラデルフィアさん

展示会にしてもすべてのイベントお祭りにしても趣味、好きなこととお金の複合体、です。マネー絡む以上経済は発生する。支援があって成り立つ。
好きなこと(趣味)とお金はだれにとっても分離はできるもんじゃない。それを分かってて参加するという感じですかね。
お金絡むから楽しいひとは楽しいしひとによっては楽しくないかもしれませんが、やりがいがあると感じている。そういうもんです。

返信ここまで。

今年はコミケないので、やたらタイムラインでも静かすぎてやはり違和感ありありです。コロナ収束を願いつつ。
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