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千葉県 白子町の玉ねぎは 生でも食べられる驚きの甘さ‼

こんにちは、イシイの「地域と旬」の取り組み担当のスタッフです。
今回は白子町(しらこまち)の玉葱出荷組合の組合長である大矢さんにお話を伺ってきました。

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(組合長の大矢さん)

千葉県の九十九里浜沿いに白子町はあります。
その町で収穫される玉ねぎが美味しい! ということに気付き一緒に商品開発するようになりました。
そして、その白子町のたまねぎで作ったハンバーグが世に出て今年で5年目を迎えます。

---改めて、白子町の玉ねぎならではの特徴についてお話聞かせてください。

「玉ねぎと言えばどこが思い浮かびますか?」という質問をして、出て来る答えに千葉はあがらないかもしれません。
よく皆さんの食卓にのぼるのは、北海道などの有名な産地かと思います
ただ年間通して保存が効く玉ねぎということは、水分が少なく腐りづらいということです。そういった品種の玉ねぎは肉が薄く、固くて小ぶりだったり、辛みが強くなることもあります。

私たち白子町の農家もそのような品種を作っていたこともあります。しかし、たくさんの農家さんが作っている品種で戦うよりも独自の特徴を持った玉ねぎを作りたいと思いました。
その想いから、白子町では、水分が多くて肉厚、生で食べても甘くて美味しい玉ねぎを生産するようになったのです。

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---一般的に玉ねぎの旬というのは本州だと3〜5月くらいと聞いたことがありますが、、、

白子町では5月の初旬から、遅くとも5月いっぱいで収穫します。ソニックという品種を生産しているのですが、この品種にはこの時期が最適なようです。白子町ではいつもこの時期になると、白子玉ねぎのお祭りも開催されます。昨年はコロナウイルスの影響で中止になりましたが。

---白子町の土地についての特徴も教えていただけますでしょうか。

海岸線から外房線が走っている場所までの約10kmにもおよぶエリアが、約6,000年かけて砂が集積したことできたと言われている大地です。
4〜5メートル土を掘ったら砂地で、元々は海だった場所です。
玉ねぎなどの葱類の農作物の生産には「塩分」が甘さに大きく関わるので、このような土地の特徴が玉ねぎの味にもたらす影響は大きいです。

--- 砂地だと玉ねぎにどういった影響があるのでしょうか?

砂地の地域は、土が水をずっと保っていられません。地下水があるところまで、さっと水が引いてしまうのでとても水捌けが良いんです。だから成長も早くなる。
逆に粘度が高い土の地域は水捌けが悪く、玉ねぎは成長が遅くなります。
私が持っている畑の中でも、区画によって土が少し異なるので、成長速度が違いますよ。

また、白子町はいわゆる「田舎」です。ちゃんと夜の「暗さ」がある場所なんです。
そういった場所では夜の時間に地表に水蒸気が溜まります。
それが「朝露」となって野菜の表面に付着するんです。

朝露というのは野菜にとって恵みです。夏の暑い時期に枯れずに夏野菜がしっかり育つことを考えてみてください。どうやって干からびずに野菜が出来上がるかというと、葉に着いた朝露から水分を補給しているのです。

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--- 農業は人間生活と密接な関係があるのですね。

「身土不二(しんどふじ)」という言葉があります。身と土は二つのものではなく一つのものであるということ、つまり人間生活と人間が暮らす環境は一体で、切っても切れない関係にあるということです。最近では「地産地消」のような意味合いでも使われる言葉ですが、私自身もこの土地で生活しながらこの土地で生産された野菜を食べ、朝露がおりるような空気のきれいな場所で暮らすことが大切だと感じています。

この土地で農業を営むようになって15年目ですが、現在はお米と玉ねぎを作っています。玉ねぎの収穫が終わったら、今度は田植え。うまくローテーションしながらこの土地と付き合っています。

---大矢さんが組合長をされている玉葱出荷組合についてもお話を聞かせてください。

この組合は昭和51年に、現在白子町の町長を務めている林さんが立ち上げた組合です。現在は100名ほどの農家さんが所属しています。
設立当時は組合全体で 200ha ほどの畑がありました。当時は今ほど白子町の玉ねぎの商品価値が高くなく、薄利多売状態でした。
そこから、より魅力を高めていくために組合の活動は始まりました。

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どこの地域の農家の方も同様かもしれませんが、現在白子町でも後継者問題や農地の減少という課題と向き合っています。
農地についてはピーク時の約1/10である 20ha 程まで減りました。
組合員の100名というのも初期の半分の人数です。

白子町の玉ねぎの美味しさが少しずつ消費者のみなさんに伝わってきている今、V字回復を目指して、組合一丸となって頑張ろうと思っているところです。

--- イシイとして様々な地域で農家さんのお話を聞きますが、どこも後継者問題については頭を抱えられています。

そうですね、どこの地域も一緒だと思います。戦後まもなく、日本の農地は地主さんから分配される形で農地をもらい、農作物の生産を始めています。そのために一軒あたりの農家の持っている面積が小さかったんです。
それにもかかわらず農作物の価格が安くなって行ったり、グローバル化によって海外からも農作物が輸入されたりと、うまく利益を出せる農家が少なくなって行ったのでしょう。農業で生計を立てることが難しい環境がしばらく続きました。

私自身も農家の長男ですが、農家をすぐには継がずに違う職業に就いていました。
全国的にも「専業農家」が減っています。
その理由は農家を続けにくい環境があります。
今、農作物の生産にかけた原価は、価格に反映されませんが、
今後は原価が担保されるような仕組みづくりもなども必要だと考えています。

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---他にはどういった環境の変化が必要になると思いますか?

玉ねぎを市場に出す時は形がある程度揃っていることが必要です。そのため、味は全く劣らないのに大きくなりすぎたものや小さすぎるもの、また「トウ立ち」と言われる、花の蕾が上がってきてしまって芯ができたものは売れませんでした。
しかし、イシイさんは加工を前提としているのでそんな玉ねぎも買いとってくれる。
今まで食べられるのに廃棄になっていたものに価値がついたのは変化です。

農産物とお客さんが出会える仕組みができることはとても嬉しいことです。

農家というのは農作物を作ることそのものに喜びを感じます。だからこそ、今まではたくさんの人に食べていただくための努力が少し足りない部分もありました。そこはぜひイシイさんと協力して取り組んでいければと思っています。

--- ご一緒させていただいて5年になりますが変化はありましたか?

反響がしっかりとありました。
私自身も地元のスーパーで、ハンバーグを手に取った方から直接お声を聞いたりするんですよ(笑)みんな美味しいと言ってくれています。玉ねぎを使ったスープなど、商品展開も広がって、他の組合員と盛り上がりを喜んでいますよ。

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---旬の時期に玉ねぎを食べることについて、組合長さんとして伝えたいことはありますか?

当たり前ですが、スイカやトマトは色がしっかり赤くて熟している方が美味しいですよね。それは見た目で誰でもわかると思います。

しかし、玉ねぎというものは、色が変わるものではないので旬の時期がわかりづらい。
玉ねぎは、葉の青い部分に糖分が入っており、徐々に可食部である球根のところに当分が戻っていきます。そのため、農家は葉の状態を見て旬を判断しています。八割以上の葉っぱがしおれてきたら玉ねぎとしては食べごろです。

食べごろの玉ねぎは年輪のように重なっている芯のところがギュっとしまります。これ以上栄養分が逃げ出さないようにと引き締めるのです。お金をいただいて販売する以上、この最高に美味しい状態を見極めて出荷していますので、そこはぜひ私たちを信じてください。
たまに白子町以外の玉ねぎに浮気するお客さんもいらっしゃいますが(笑)やっぱり白子町の玉ねぎに戻ってきてくれるんですよ。

--- 最後に白子町の玉ねぎを食べてくださるみなさんにメッセージをお願いします。

今年は1月に、台風のような風が吹き、玉ねぎたちもいじめられました。しかしそこからまた農家が手塩にかけて守り抜いたことで元気な玉ねぎになりました。予定通り5月に美味しい玉ねぎを皆さんにお届けできますので、ぜひご賞味ください。

--- 大矢さん、本当にありがとうございました!

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6/6で白子玉ねぎとハンバーグセット、玉ねぎ5kgセットが締切となります。
コロナ禍状況の中で、頑張ってつくってくださった農家さんの応援をよろしくお願いします。

(オンラインストアで購入できます↑)

(大矢さんのインタビュー&ハンバーグの動画はこちら↑)

ちなみに石井食品素材開発部の関口さんに開発秘話も聞いて来ました。

最後に少しだけご紹介いたします。

「ハンバーグを作るうえで普通は玉ねぎを小さくします。ただ、この白子玉ねぎは甘味を感じてもらいたいので、厚さの限界に挑戦しました。
当初は3.3ミリの大きさに切っていた玉ねぎが最終製品では6.4ミリという、およそ倍になっています。是非玉ねぎのふっくら加減を感じてもらいたい商品です」

とのことでした。
どうぞ皆さん、旬のうちにお召し上がりください!