ゴールデンルーキー佐藤輝明と鳥谷敬の違い

「ゴールデンルーキー」この表現を目にして耳にするという状況は阪神を応援する人にとってはとても多いことだろう。
しかし、今年のルーキー、佐藤輝明に期待をかける人はとても多い。オープン戦の活躍を見る限り、「とんでもない選手を獲得した(してしまった)」と同時に「この選手を決して潰してはならない」とも思った。

このような騒ぎはいつ以来だろうか…と思ったが、毎年のように期待をかけられる選手が多く入団するので冷静に考えてみることにした。
すると、鳥谷敬がルーキーの時を思い出した。

2003年シーズンオフのドラフト会議で自由獲得枠で入団した鳥谷敬は2004年の開幕戦から出場し、遊撃手として出場する機会を多く与えられた。当時の岡田監督はタイガースのスター選手とならなければならない鳥谷を起用し、翌年は正遊撃手としてレギュラーで起用し続けリーグ優勝した。

佐藤輝明の起用の是非について問題となるわけだが、2004年と2021年におけるチームの事情の違いがあるのではないかと考える。

2004年はリーグ優勝の翌年であったため、左翼に金本、中堅に赤星、右翼に桧山、捕手に現監督の矢野と、脂が乗り活躍をしているレギュラーを多く抱えていた。その中で、試合に出場させながら育てるという精神的余裕があったように感じられる。

しかし、今年は前年度に大山がタイトル争いをしたものの絶対的レギュラーと言える選手は数少ない。さらに、優勝経験者の選手も全くいなくなり発展途上のチームである。また昨年リーグで巨人に次ぐ2位であったことや以前のリーグ優勝から16年経過しておりどうしても優勝してほしいという願望がかなり強くなっているのが事実である。
そのため、勝つためには同じレベルの選手がいれば調子が良い選手を使わざるを得ないだろう。
現在の外野では、左翼サンズ、中堅近本は固定で起用している。そうなると、右翼となるわけだが、陽川、糸井、佐藤、板山、中谷、高山で一枠を争う。
佐藤を使い続けたいが、他の右翼候補の調子であったり、他ポジションの選手の調子により起用が左右される。おそらくだが、もっと他ポジションの選手の調子が良ければ佐藤はスターティングメンバーで起用されていただろう。
現在の阪神であるが故にスタメンから外れたのだろう。

巨人の岡本和真やヤクルトの山田哲人、村上宗隆のように、我慢強く起用してほしい、というのはオープン戦の佐藤の打撃を見たからなのだろう。一軍のグラウンドで暴れまわる佐藤輝明の姿が多く見られることを期待している。(敬称略)


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