小話:ゼロサムゲームとハンドレビュー

※私自身はプレイヤーとして未熟なので、あくまで客観的に見た話をします。予めご了承ください。


そこそこ長いこと「ポーカープレイヤー」というのを見てきましたが、Twitter上において悩んだハンドでどうすればよかったかを問う、いわゆる「ハンドレビュー」を見かけることがあります。

よくあるパターンは、相手と自分のポジション、プリフロップのレイズ回数(3betだ4betだ何だってやつ)、フロップ以降のボードとアクションの羅列、細かいケースだと相手のプレイ印象やVPIPまで書かれていたりします。プリフロオールインのケースももちろんあります。

これに対して周りの人が、自分ならこうするああすると意見を出しているわけです。場合によっては話題提供者がアンケートをくっつけているケースもあります。


このハンドレビューですが、個人的にはものすごく違和感を感じています。濁さず言うならば、

「私のやった事間違ってないよね!?」

「相手がこんなハンドでこんなプレイしてるのがおかしいよね!?」

「負けた私可哀想じゃない!!??」

というのが滲み出ていて目に余るのです。


そう思えてしまう理由としては、共通して以下の傾向が見られるからです。

・だいたい自分が負けた時のハンドの話

・自分のプレイスタイル情報は書かない

・ショーダウンされた相手側のハンドが、平均的なスターティングハンド表のレンジから乖離している

まず、ハンドレビューによく多いのが「私はコール(フォールド)したけど、皆さんならどうしますか」タイプだと思います。このタイプは結果負けているケースがほとんどで、「どれくらいのベット額ならコールさせてバリューが取れた」とか、「ここで降りられてしまったけどどうすればよかったか」といった「勝ちをより伸ばす」話はあまり見かけません。

次にこの手のハンドレビューにおいて、相手の印象は書いてあるが、VPIPを含めた自分の印象(正確には自分がその相手とのセッションにおいてどのように見えるか、あるいは見えるようプレイをしていたかという部分)を含めたものは極めて少ないです。結局双方のハンドレンジやベット額がバリューに寄るかブラフに寄るかは、そこまでの互いのプレイによって多少のブレが発生するはずです。そこを隠すとなると、「定石的なプレイ」前提でレビューするしかなく、定石的なプレイならそもそもスノーウィーだかジーティーオーだかで解析すれば済む話なのです。それをわざわざ聞いているから、「定石には沿っている」という言葉が欲しいだけなのではないかと思うのです。

最後の相手側ハンドについても似たようなもので、「定石的に打てているけど、相手がイレギュラーを仕掛けてきたから仕方ないね」と言って欲しいのではないかと思えるのです。特に、プリフロップ3bet4betからレンジ外ハンドが飛んできて負けているケース、ブラフをミドルペアあたりでコールされているケースなどはレビューでよく見るパターンです。


そもそもポーカーというゲームは胴元の取り分を除けばゼロサムゲームであるため、誰かが得をすれば誰かがその分損をします。であるならば、同じジャンルのプレイヤーが強くなると、自分の得がどこか遠くを経由してマイナスになる可能性があります。そう考えると、「相手の思考パターンを増やす」ことと「自分の思考を他者に見せてしまう」ことを同時に行ってしまうハンドレビューという行為自体が、自分の利を下げてしまうものになるのではないかと思います。

そもそも仮にフォロワーだけがレビュアだとしても実力差がある以上、ハントレビューで集まるのは玉石混合の情報になるわけです。だからこそ、最終的にはある程度の答えは本人があらかじめ持っていて、それが正しいと言ってもらいたいという部分が本質ではないでしょうか。洋服どっちが似合うに近いものを感じます。


そんなところで、ではでは。

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