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ex01:「m HOLD'EM」を考える

※当記事はオープンベータテスト時代に執筆した内容になります。正式版とは異なる部分があること。予めご了承ください。(2021.07.20)

前置きは今回省略で。話題性のあるうちに。
(6/14 一部修正)

・新たな企業主導のゲーム

2021/06/09に、サミー株式会社はテキサスホールデムを中心としたエンタテイメント事業「m」を開始、テキサスホールデムのアプリケーション「m HOLD'EM」の事前登録とオープンβがスタートしました。

グループ会社のセガサミーホールディングスは、カジノを含む統合型リゾート事業、いわゆるIR事業を既に韓国で行っており、日本国内でのIRオペレーター(運営企業)としても名乗りを上げています。コロナ禍で国内IR事業の進展が見込めない中、カジノの中心となりうるテキサスホールデムに関する国内事業でサミーが先行する形になったと考えられます。

テキサスホールデムを中心としたエンタメテイメント事業とは言っても、現時点では「m HOLD'EM」とその販促動画してのルール講座や初心者ステップアップ連載企画のみであるため、これからどのように拡大していくか気になるところです。

・m H'OLDEMの基本情報

βテスト時点でのモードはランクマッチとトーナメントの2種類です。トーナメントは現在sit&go形式のみですが、いずれMTT(マルチテーブルトーナメント)が開催されるようになると思います。

ランクマッチの仕様としては以下の通りです。
・プレイヤーのランクによって部屋分けが存在する
・初期スタックは3000、上位部屋は5000(シルバー)、15000(ゴールド)
・上位の部屋でマッチングしなかった場合、下位の部屋になることがある?(シルバー帯でゴールドを確認)
・テーブルは6人上限
・ブラインドSB100/BB200、アンティなし
・開始してからスタックが無くなるまでは継続してプレイが可能
・所持スタックの上限はなし(プレイしている範囲では)
・スタックが無くなるか、自分で退出処理をしたらゲーム終了でランクポイントが清算される
・ランクポイント変動値は「退出時スタック」-「初期スタック」+「プレイハンド数ボーナス」+「完成役ボーナス」

・ブロンズランクでは1万ポイントで次のランクへ昇格
・シルバー1ランクでは2万ポイントで次のランクへ昇格(以降は1ランクごとに必要ポイントが増える)
・ランクポイントが減ると降格もある(ランク変動ラインは昇格時と同じ)

だいたいこんなところです。情報が不確実なところは?を入れてます。
プレイしたことがある人ならわかると思いますが、ブロンズ~シルバーは「ポーカースタジアム」の初期スタックを少なくしたようなイメージです。アンティがないので初期スタックのM値で見ればこちらのほうが長く遊べることにはなります。アンティなしなのでタイトプレイが運営の想定したプレイスタイルになるかと思います。


・実際に遊んでみて

ここからは一切忖度なしで、遊んでみての所感を並べていきます。なお、当方アーケードゲーム「ポーカースタジアム」のプレイヤーのため、ポーカースタジアムとの比較を多用しますのでご了承ください。

また、全体的なプレイヤーレベルに関しては今回考慮しません。あくまでシステムの範囲で語っていきます。

あと、sit&go関係も割愛します。

①ポップな雰囲気(good)
とりあえず最初に起動して、これまでのポーカー系アプリ(キャッシュゲームができるものを含む)と比較して、全体的にポップな仕上がりになっているなと思いました。どうしてもギャンブルのイメージが先行してしまうせいかスタイリッシュ≒暗めなデザインのアプリが多い中、スタイリッシュさを残しつつもポップに仕上げたのは好印象が持てます。

②ゲームとしての世界観(bad)
このゲームにはプレイアブルキャラが10種類いて、それぞれにポーカーを知ったキッカケ等の背景ストーリーが設定されていますが、そのストーリーが全く意味を為していません。何のために今ポーカーしてるのかよくわからないです。キャラデザも雰囲気がバラバラなので、同じテーブルを囲んでいるイメージが湧きにくいです。

対比としてポーカースタジアムの設定は、テキサスホールデムがショービジネスまで昇格していて、そこに挑む理由がキャラごとにストーリーとして用意されています。

③ランクマッチのシステム(超bad)
ポーカースタジアムとシステムが似ているのですが、大きく分けて3つの問題を抱えています。

1つ目が開始スタックの低さです。特に初心者がルールを覚えようっていう序盤でビッグブラインド15回分しかスタックがないので、押し引きを考えるより先にオールインになってしまいます。

2つ目がスタック上限がないことです。ポーカースタジアムでは初期に対して2.5倍以上のスタックを築いた時点で勝ち抜けとなりますが、m HOLD'EMはいつまでも居座ることができます。こうなるとビッグスタック持ちが有象無象の初期スタック勢をハエたたきのごとく蹂躙していき、どんどん肥大化してしまいます。これが1つ目の押し引きできなくなる理由のにもなっています。

そして3つ目がランクポイント変動です。スタック増加量がそのままランクポイントに反映されるので、先の通り長時間居座って大量にスタックを獲得すると、ランクポイントも一気に増えます。
また、ハンド数ボーナスも存在するため、長時間のプレイがそのままポイントにボーナスされますし、これらのポイントはランクアップ上限もないので、ブロンズからゴールドまで飛び級することも可能です。一応同卓した限りでは、ブロンズで初期スタックの20倍の60000を持ってプレイしている人がいました。これだけでブロンズ1からシルバー2まで上がれます。ブロンズ帯だけ殴ってゴールドいけるってどうなのよ、といったところです。

以上が問題点ですが、ぶっちゃけ2つ目が解決すれば3つ目は大したことにはならないかと思います。どうしてもスタック上限を設けないなら、1回あたりのハンド数を50までにするとか、そういったアプローチでもいいので何らかの制限を入れてほしいところです。スタックは上位クラスになれば多少増えるようなので、今後に期待というところです。


④ユーザインタフェース(soso)
デフォルトでプリフロップの2BB/3BB/4BBボタンとフロップ以降のポットに対して×1/3、×1/2、×1のボタンがあることは評価したいのですが、定額以外のレイズが非常に操作しずらいスライダー式になっています。特にブラインドもしくはポットに対して高額なベット/レイズをしようとすると、スライダーの幅で選択できない額が発生するため、プラスマイナスボタンくらいはあってもいいのではないかと思います。

⑤キャラクターボイス(bad)
私自身別に声優でもなんでもないので批判するのもおこがましいのですが、「声優が10人もいて何でこんなに平坦なんだ……?」と思ってしまいました。おそらくですが、各キャラのスタンプボイスはともかく、通常のアクションに対するボイステンションが、フォールドもオールインも大差なく聞こえます。おそらく声優の方々はテキサスホールデムなんてプレイしたことないでしょうから、そのセリフが示すアクションがどんな局面で使われるものか、という部分がぼやけているのではないかと思います。仮にそうなら声優側ではなく依頼側の配慮不足だと思いますが。

⑥ポーカーのルール(bad)
ブラインド関係の挙動が本来のルールに則っていないです。自分のレイズに対してミニマムに達していないレイズオールイン→コールに重ねて自分がオールインなんてアクションができてしまいますし、スモールポジションやボタンから参加できるのも基本を知らないのでは?と思うところです。

もう1つ話したいことがありますが、それは次の章で。


・ポーカーを踏み台にしているのではないか

さて、ここからが本題です。
m HOLD'EM最大の特徴といえば、これです。

     ↑これです。


そう、「ゲームプレイ中の広告表示」です。
この広告が表示されるのは、現状だと「プリフロップでフォールドした場合、次ラウンド開始時まで表示」という設定になっています。一応右上に✕ボタンがあるので、途中で表示を止めることもできます。

確かに、テキサスホールデムはフォールドしてしまうと暇な時間が生まれますし、その時間に広告を見せるというのは理にかなっているのかもしれません。

ただ、プレイに支障をきたす広告はまずいのではないかと思います。というのも、この広告を押してしまうとブラウザリンクしてしまい、場合によってはGoogle PlayやAppStoreの画面が開きます。そうなると、プレイ中にテーブルから一時的とはいえ離れてしまうのです。復帰時にテーブル再接続処理が行われていることからも、うっかり触れてしまった場合などに切断状態を誘発する広告を置くのはよろしくないと考えます。現にこれが起因でsit&goのテーブル追放バグが発生しているわけですし。

でも別に自分で消せるしプリフロップフォールド時くらいなら別にいいでしょー

と思った方もいると思います。ですが、最初の方で書いたことを思い出してもらいたいのです。

アンティなしなのでタイトプレイが運営の想定したプレイスタイルになるかと思います。

序盤でこう書きましたが、広告仕様を考えると、タイトプレイがスタンダードとしたいのではなく、広告を見せる頻度を上げるためにハンド厳選ができるアンティなしを採用しているのでは、とも考えられるのです。

いや、どっちにしたって自分で消せるし別にいいでしょ。深読みしすぎだって。


私もそう思います。


↓これを見ていなければな!↓




これは、特許出願の情報になります。

つまり、ゲーム中に広告表示させるシステムを「特許」として申請しているのです。

この特許の詳細を確認すると、現時点のm HOLD'EMにおける広告の仕組みと若干異なる点があります。それが、広告の「開始条件」「終了条件」です。

添付された図面にはデータベースに広告条件テーブルが存在していて、表示開始条件は「フォールドしたとき」、終了条件は「次のゲームのプレイヤカードを配るタイミングが到来した場合」となっています。つまりは、特許申請時点ではフロップ以降のフォールドでも広告が出ることを含め想定していたわけですし、広告表示の✕ボタンも設置しない想定だったかもしれません。(あくまで想像上の話です)

また、この特許に関する記述を読んでいくと、こんな内容もあります。(以下簡略)

「プレイヤーのプレイスタイル(ルース、タイト、パッシブ、アグレッシブ)から最適な広告を選択する」
「プレイヤーの性別、年齢、家族構成、住所、連絡先、勤務先、年収、趣味などを考慮の上、広告を選択してもよい」

特に後者は個人情報を利用する方針が特許に盛り込まれているわけですから、今後正式版の利用規約は相当読まないと大変なことになるかもしれません。

また、広告視聴数に応じて特典が発生するというのも特許に盛り込まれています。現状だと「1視聴でsit&goの初期スタック増加」がこれに該当しますが、今後MTTなどに盛り込まれると面倒だなとは思います。スタック影響を考えると実質強制なので。


この特許における主軸は「ポーカーに関するシステム」ではなく、「広告を見せるシステム」なのです。つまりはこの特許を成立させるためにポーカーが土壌とされており、そうなると「果たしてポーカーとしてこのゲームは伸びしろがあるのか?」と思ってしまうのです。

例えば、特許資料では自身のハンド確認の方法がめくり方式(ポーカースタジアムで実装されているやつ)で表現されていますが、現状はカード2枚がただ表向きで配られるだけです。先程ポーカーのルールが成立していない話も書きましたが、こういったところからも、ポーカーとしてこのゲームを良いものにするつもりないのではないかなと思うのです。


なので、現時点での私の印象としては「ポーカースタジアムに似ているゲーム」というより「広告を見せるためにポーカースタジアムを真似たゲーム」といったところです。別に「テキサスホールデム」は既製品なわけですから、ある程度のシステムさえあればゲームとしての枠組みはできるわけで、そのシステムのサンプルがおあつらえむきにリリースされたから出てきたのではないかなと思うのです。究極のマインドスポーツって文言とか、ポーカースタジアムのホームページにもありますし。特許タイミングも見てから出したように感じます。

あくまで推測、もとい邪推なので悪しからず。


・「広告」努力は素晴らしい

ここまでかなり強めのディスになってしまいましたが、最後に1点素晴らしいと思ったことを書いておきます。

それが、広告です。



ゲーム中のやつではないです。

「m Portal」というサイト内にyoutube動画が上がっていますが、オープンβの時点でこういった芸能人起用のルール解説や、プロを混じえた企画物を始動させている点は非常に好印象です。こういうのが初めからあると、今後のゲスト企画なども期待できます。
特にファーストイベントで近藤真彦氏の起用は相当パンチあるなと思いました。絶対記者が記事にしますし。

惜しいのはyoutubeチャンネルで動画が検索に引っかからないことですかね。チャンネル概要とかもないのでサミーとかでも引っかからないので。

広告力が弱いゲームをプレイしていると、こういったインパクトのある広告は評価せざるを得ません。何のゲームのことかは察してください。




ということでm HOLD'EMに関しての個人的な考察でした。
まだオープンβですから改善点などが多いのは当然だとは思いますが、どことなく昨今のハイパーカジュアルゲームに近いものを感じます。消費されゆく「某ゲーム」にならずに伸びていけるでしょうか。
賞金付き大会なども今後開かれるようなので、ある程度は期待しております。後は正式版で課金要素が解禁されてから考える部分になりますかね。広告非表示のサブスクとかやりそうだなと思ってます。

プリフロップバージョンっていうのは少しだけシャレてると思いました。ではでは。

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