初等整数論講義より

有理整数に関する二次の問題が二次体の問題として取り扱われるときに透明なる解釈が可能で,それを説明することが本書後半部の目標であったが,それと同様に,二次体の整数論もさらに一段の高所から見おろすときに,初めてその全景をほしいままに展望することができるのである.その展望台は,すなわち1の巾根から生ずる数体(Abel 体)の理論(現代的の「円理」!)である.われわれは明媚なる風景に魅惑せられて,いつか予定の目標を超えて,思わず深入りをしたが,このあたりでひとまず馬を返さねばなるまい.                                            (高木貞治,初等整数論講義より)


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