見出し画像

特別展「自然史のイラストレーション ~描いて伝える・描いて楽しむ~」プレス内覧会に行って来ました!

 大阪市立自然史博物館にて、2024年2月23日(金・祝)から5月26日(日)まで、特別展「自然史のイラストレーション ~描いて伝える・描いて楽しむ~」が開催されます。
 私自身、古生物イラスレーターとして活動していることもあり、タイトルを聞いた瞬間、これは行かねば!と元々楽しみにしていた本展ですが、ブロガー招待という広報企画をされていらっしゃるようで、当選すればブログ、SNSなどで広報に協力することを条件に、開幕前日のプレス内覧会に招待していただけるそうです。
 これは!とウッキウキで応募してみた結果…当選!僭越ながら公式に本展の広報にご協力させていただくことになりましたので、張り切って記事を書いていきたいと思います!!

プレス内覧会の様子。学芸員さんによる解説が行われている所

第1部 博物図譜の時代

「本草書に描かれてきた日本の動植物」ゾーン

 会場に入ってすぐに右手に並ぶのは、日本の動植物が描かれた歴史的な博物図譜の数々です。
 こちらは紀州藩の薬園を管理していた本草学者の畔田翠山(くろだすいざん)のさく葉帳の展示で、19世紀初頭の資料とのこと…。おし葉標本も綺麗に残っています。

畔田翠山腊葉資料

ペリーの日本遠征記

ペリーの「日本遠征記」ゾーン

 本展の目玉展示の一つである「ペリー日本遠征記」の図譜です。「ペリー日本遠征記」とは、まさに日本開国をせまるために派遣されたペリー艦隊がアメリカ帰国後に出版した記録で、全3巻にわたります。日本の植物、鳥類、魚類、貝類などが報告されており、鳥類ではヤマドリ、魚類ではイトウなど、様々な種が図譜と共に掲載されています。中でもイトウは遠征記の中でSalmo perryi(※現在は属が変わってParahucho perryi)という学名で新種記載されたそうで、もちろん種小名のperryiはペリーへの献名となっています。
 意外なことに、ペリー自身が科学調査に精力的だったようで、標本収集の指示なども行い、同時に画家にスケッチを描かせたので、結果的にこのような素晴らしい図譜と報告が残されたのだそうです。

「ペリー日本遠征記」第2巻に描かれている「イトウ」(上)
遠征記の中でジェイムズ・ブレヴォード(James Carson Brevoort)により新種記載された。

博物図譜の技法の発達史

 ここでは、18世紀から19世紀の博物図譜を見ながら、“研究の対象として生き物を描く技法”の発達史というテーマの展示がされています。解説してくださった学芸員さんによると、右から左にかけて本が新しくなる構成とのことで、最も古い右端の本は280年も前のものだそうです。印刷技術の向上などもあり、よく観察してみると段々と絵が上手になっているとか。

「博物図譜の技法の発達史」ゾーン

 ちなみに、先ほどからお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、ガラスケース内の照明が点いておらず、若干暗くなっています。決して点け忘れているわけではなく、展示物の保護のためなのだそうです。

照明を暗くしていることを示すパネル。チョウチンアンコウのデザインがギャワィイ

第2部 記載と図鑑

「新種の記載」ゾーン

 ここからは、自然史をかじっている現代人の読者様からすれば馴染み深い、「記載」にまつわる展示ゾーンが始まります。早速展示されているのは新潟大学准教授の志賀隆さんが2006年に新種記載されたシモツケコウホネの記載論文で用いられた原図です。
 筆者は植物については全くの素人なのですが、論文に使われた図の原図が見れる機会なんてそう無いと思いますので、こちらも必見ポイントかもしれません!
 なお、こちらの記載論文はJ-STAGEでオープンアクセスになっているため、興味のある方はぜひ論文もチェックしてみてください。

シモツケコウホネ記載用の図の下書き(左)と原図(右)

★シモツケコウホネの記載論文
Shiga, T., Ishii, J., Isagi, Y., & Kadono, Y. (2006). Nuphar submersa (Nymphaeaceae), a new species from central Japan. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica, 57(2), 113-122.

化石の記載とスケッチ

 早速、化石に関するゾーンです!こちらには、植物学者である故・三木茂さんが記載された化石種のマツの球果であるオオミツバマツの実際に記載に用いられた標本と、またしても、記載論文に掲載されている図の原図が展示されています。

オオミツバマツの展示
記載論文(右)と掲載された図の原図(左)

 実物化石を見ただけでは分かりにくい箇所も、構造を描写することで形態の理解がしやすいよう工夫されているのが分かります。

ウミウシの色彩を残す

「ウミウシの色彩を残す」ゾーン

 こちらでは、生涯で2新属、22新種のウミウシを記載したという故・濱谷巖さんによるウミウシのスケッチと、記載論文に用いられた原図が展示されています。もう既に感覚が麻痺してきましたが、大事なことなのでもう一度言います。原図です(迫真)
 ウミウシの標本は液浸標本として保存されますが、色抜けが発生するため、色彩のスケッチを残す必要がありました。近年では写真が多用されていますが、やはりスケッチも有効な手段だそうです。

カサノリタマナウミウシの原図、スケッチと参考標本

線画の図鑑大集合

「線画の図鑑大集合」ゾーン

 こちらのゾーンでは大阪自然史博物館植物研究室の学芸員である長谷川匡弘さんが厳選したオススメの線画の図鑑が展示されています。なお、モロ本の中身のためSNS投稿禁止…。気になる方はぜひ会場で確認してみてください!

本郷次雄の菌類図譜

「本郷次雄の菌類図譜」ゾーン

 展示のフォーカスは「図鑑」に移り、ここでは菌類学者である故・本郷次雄さんの菌類図譜が展示されています。保育社『原色日本新菌類図鑑』では、本郷さん自ら本文と図版の両方を担当されており、研究者、画家の共同作業で作られた他の図鑑と比べてひときわ異彩を放っています。これには、“絵を描くことできのこの特徴を理解する”という本郷さんの研究スタイルがあったとのこと。確かに、模写で得られる知見は相当なものですよね…。

新菌類図鑑Ⅰに用いられたササクレフウセンタケの図(中央)

清水大典の冬虫夏草図譜

「清水大典の冬虫夏草図譜」ゾーン

 「本郷次雄の菌類図譜」ゾーンのすぐ左隣りには、冬虫夏草研究者として知られる故・清水大典さんの冬虫夏草図譜が展示されています。今でも全国のアマチュア冬虫夏草研究者に影響を与えている有名な方で、保育社『冬虫夏草図譜』で知られています。アリタケ、セミタケ、ヤンマタケなど、様々な冬虫夏草の緻密な肉筆原画が展示されており、冬虫夏草マニアにはたまらないラインナップでの原画展示です!!

コブガタアリタケ(左)、スズキセミタケ(右)の肉筆原画
シュイロヤンマタケの肉筆原図(左)とキアシオオセミタケの標本(右)

 また、上段には石田大成社『冬虫夏草の文化誌』で知られる奥沢康正さんによる肉筆画が展示されており、私的にはこちらのオサムシタケがお気に入りです。

奥沢康正さんによるオサムシタケの肉筆画

八木沼健夫のクモ図鑑

「八木沼健夫のクモ図鑑」ゾーン

 こちらには、クモの研究者として知られる故・八木沼健夫さんの展示があります。解説担当の学芸員さん曰く、“クモ界の牧野富太郎”のような方だそうで、保育社『原色日本蜘蛛類大図鑑』では自らが精密なスケッチを描き、最終的にはそれを画家に仕上げてもらうかたちで図版を制作されたのだそうです。ものによれば画家に直接標本を送ることもあったそうで、書かれたメモを見てみると「生きているうちに」や「瓶から出さないで」などと書いてあったりして面白いのだそう。
 保育社『原色日本クモ類図鑑』では画家さんが変わり、少しタッチが違う点も見所だそうです。

八木沼健夫さんによるスケッチ

日本産魚類検索の線画

「日本産魚類検索の線画」ゾーン

 こちらは、魚屋の読者様ならご存知「日本産魚類検索」のゾーンです。東海大学出版会『日本産魚類検索 全種の同定』は1993年に初版が刊行され、現在では第三版までが発刊されています。今でも日本産魚類の同定に用いられる本書ですが、ここでは図版に実際に使われた原画と、そのスケッチが展示されています。これらの線画は大阪市立自然史博物館の元学芸員である波戸岡清峰さんによるもので、描画には製図ペンを使われたそうです。魚屋さんには外せない必見ポイントですね!

『日本産魚類検索 全種の同定』で実際に用いられたアナゴの原画(波戸岡清峰 作)。右端は鉛筆でのスケッチ。
その他の原画(波戸岡清峰 作)

復元画の役割

「復元画の役割」ゾーン

 待 っ て ま し た。待望の復元画ゾーンです。ここでは今までのイラストレーションとは異なり、“実際に見ることの出来ないものを描く”という点をテーマに構成されています。まず右端に展示されているのが、1994年出版、富田林市石川化石発掘調査団『富田林の足跡化石』に掲載された復元画の実際の原画と下書きで、約100万年前の大阪層群の様子が描かれています。アケボノゾウやカズサノジカ、メタセコイヤなどが見られ、当時の景観が丁寧に再現されています。
 復元画に登場するアケボノゾウの下顎骨のレプリカ(標本番号: OMNH QV 5055)の展示もありました。

『富田林の足跡化石』に掲載された復元画の原画
アケボノゾウの下顎骨のレプリカ(標本番号: OMNH QV 5055)

 打って変わって、中央に展示されている大きな復元画は10万年前の上町台地が描かれたものです。一見すると先程の復元画との違いが分かりにくいですが、描かれているのはナウマンゾウ、ヤベオオツノジカで、アケボノゾウやカズサノジカの姿はありません。また、アカマツやカキツバタなど多様な植物の生育が表現されているそうです。大阪市立自然史博物館友の会の元評議員である山下裕子さんが制作されました。
 また、その下にはナウマンゾウの右上第3臼歯の実物(標本番号: OMNH QV 4838)が展示されています。

10万年前の上町台地の復元画(山下裕子 作)
ナウマンゾウの右上第3臼歯の実物(標本番号: OMNH QV 4838)

 左側には「コノドント化石の復元」ゾーンが設置されています。大阪市立自然史博物館地史研究室の学芸員である前川匠さんによる展示で、前川さんはコノドントの研究者です!古生物に詳しい読者様なら既にご存知かと思いますが、コノドントとは、地層から見つかる数mmほどの小さな“歯のような化石”に付けられた名称で、100年以上その正体について議論がなされてきました。近年では原始的な無顎類の“歯”であることが有力視されているコノドントですが、ここではその復元の歴史についての展示がされています。本展の公式図録では前川さんによるコノドントについての詳しい解説文も掲載されていますので、興味のある方は是非確認してみてください!

「コノドント化石の復元」ゾーン
コノドントの発見〜復元の流れについての解説パネル
コノドントの復元画

第3部 伝える・楽しむイラストレーション

「わかりやすく魅力的に描く」ゾーン

日浦勇のイラストレーション

「日浦勇のイラストレーション」ゾーン

 展示のフォーカスは「わかりやすく魅力的に描く」、いわゆるサイエンスコミュニケーションを重視した事例に移ります。故・日浦勇さんは大阪市立自然史博物館、初代昆虫担当学芸員で、様々な普及行事や展示に尽力された方です。ここでは日浦さんによる、「身近なカマキリの見分け方」や「虫のつかまえ方」など、物事を“分かりやすく伝えるため”に作られたイラストが展示されています。直感的に理解できるものばかりで、とっても親しみやすい作品です。また、同じく日浦さんによる昆虫の緻密な全形図と、「絵解き検索」の原画が展示されています。

アシブトハナカメムシの全形図
大阪付近のシデムシの絵解き検索

線画を用いた害虫の識別

「線画を用いた害虫の識別」ゾーン

 こちらでは、林業などにおける害虫防除で活躍するイラストレーションが展示されています。左側の展示はシイタケの大害虫であるシイタケオオヒロズコガ属各種の標本と交尾器形態の線画、および元となった論文で、この論文の筆頭著書であり、こちらのコーナーの展示を担当された大阪市立自然史博物館昆虫研究室の学芸員である長田庸平さんによると、種によって防除の際の対応が異なるのにも関わらず、一目見ただけでは見分けがつかない害虫のため、研究者でなくとも同定出来るような資料が必要だったとのこと。確かに展示されている標本を見比べても違いが全く分かりません…。
 また、論文に掲載されている交尾器形態の線画も長田さんが描かれたそうで、実際の原画も展示されていました!

シイタケオオヒロズコガ属5種の標本。正確な同定には交尾器形態の観察が不可欠。
シイタケオオヒロズコガ属各種の交尾器形態。左側がオス、右側がメス交尾器。
シイタケオオヒロズコガ属の原著記載論文
長田さんによるウスリーシイタケオオヒロズコガの雄交尾器線画

 ちなみに、シイタケオオヒロズコガ属の識別法を和文で示した論文はJ-STAGEでオープンアクセスになっているため、興味のある方はぜひ論文もチェックしてみてください。

★シイタケオオヒロズコガ属の識別法を和文で示した論文
長田庸平・吉松慎一. (2017). シイタケ (ハラタケ目: キシメジ科) を食害する日本産シイタケオオヒロズコガ属 (チョウ目: ヒロズコガ科) 各種成虫の識別法. 日本応用動物昆虫学会誌, 61(2), 138-144.

標本に基づいた精緻な絵

「標本に基づいた精緻な絵」ゾーン

 ここでは、大阪市立自然史博物館友の会の会員である弘岡知樹さんの細密画が展示されています。弘岡さんは第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」のポスターイラストも担当されており、ここには実際にポスターに使われたガザミ、エリザハンミョウ、タイの他に、チョウ類や鳥類の緻密なイラストとその標本が展示されています。

「瀬戸内海の自然を楽しむ」に使われたガザミ
「瀬戸内海の自然を楽しむ」に使われたエリザハンミョウ
「瀬戸内海の自然を楽しむ」に使われたタイ
アカショウビンのイラストと標本
チョウ類の標本とイラスト。コンパスで実際の標本を計測しながらほぼ実物大で描かれている。

『Nature Study』のイラストレーションたち

「『Nature Study』のイラストレーションたち」ゾーン

 『Nature Study』は大阪市立自然史博物館友の会の会誌で、私も地元の昆虫相についての短報を投稿したことがあります。こちらでは今までに本誌で登場した様々なイラストが展示されており、解説してくださった大阪市立自然史博物館植物研究室の学芸員である横川昌史さんによると、『Nature Study』は今月号で835号となるそうで、今回の展示に向け、800冊以上読み直したのだそうですが、やはり写真の普及でイラストの活用事例が減っているのだそうです。しかし、まだ根強く残っている側面もあり、ここでもイラストレーションの重要性が伺えます。

「表紙で活躍したイラストレーションたち」。横川さんはこういう表紙のNature Studyが届いたら楽しいとおっしゃってしていましたが、めちゃくちゃ同意です!

瀬戸内海展のゆる?キャラ「おいすたー」誕生秘話

 こちらには、以前博物館の展示か何かで一度見かけて、密かに、なんだこれは(困惑)だったゆる?キャラ「オイスターくん」の誕生秘話についての展示です。やっと謎が解ける…。なんと!最近退職記念論文集が発刊された、大阪市立自然史博物館の元学芸員、初宿成彦さん考案だそうで、瀬戸内海の特産物「カキ」のキャラクターで、まだ若い「老いスタークン」だったようです。実はプレス内覧会には初宿さんも参加されていて、本人は「こんなの飾ってて恥ずかしい」とおっしゃっていましたが、解説担当の横川さんは「こんなデザイン思い浮かばない」と絶賛していました。

「まだ若いオイスターくん」誕生時の貴重な原画。相方の「はまぼう」も誕生し、本格始動が始まる。
ぬいぐるみと化したおいすたーとはまぼう

博物館をマンガで楽しむ 

「博物館をマンガで楽しむ」ゾーン

 こちらでは友の会会員の皆様ならご存知、『Nature Study』発送用封筒の裏面に描かれている漫画の原画展示のコーナーです。大阪市立自然史博物館友の会の評議員である西澤真樹子さんによるもので、学芸員の仕事の様子なども楽しく伝えており、とっても楽しい漫画となっています。西澤さんは「なにわホネホネ団」の団長など多方面でも活躍されている方で、大阪自然史センターの職員をされています。

封筒コラムの原画

特別展のポスターたち

「特別展のポスターたち」ゾーン

 こちらでは、大阪市立自然史博物館で開催された今までの特別展ポスターが展示されています。右上あたりに飾られている色の主張の激しいポスターは初代のもので、恐らく、印刷技術の観点などから少ない色数で表現した結果とのこと。解説担当の学芸員さんは、中でも「5億年の歴史」のポスターに対して、なんでピンクの背景に青の文字!?見にく!!とツッコミを入れていました。

初代のポスター。明らかに色の主張が激しい。
「5億年の歴史」ポスター
「瀬戸内海の自然を楽しむ」ポスター。「標本に基づいた精緻な絵」の展示にあった弘岡さんによるガザミ、エリザハンミョウ、タイが使われている。

氷河時代展ポスターができるまで

「氷河時代展ポスターができるまで」ゾーン

 こちらでは、大阪市立自然史博物館の第47回特別展「氷河時代」展のポスタービジュアル制作秘話についての展示がされています。イラストは友の会評議員である橘高佳奈子さんによるもので、中央のナウマンゾウだけでなく、背景の山を含め学芸員さんの監修が入っているため、“ポスターであり、復元画でもある”作品となっています。本展の公式図録には橘高さんのインタビュー記事も掲載されていますので、気になった方はぜひ確認してみてください。

ラフ画と学芸員のやりとりのメモ
背景の山。森林は左側が氷期、右側が間氷期となっており、ナウマンゾウの生きた時代の流れを再現している。

ミュージアムグッズのイラスト

「ミュージアムグッズのイラスト」ゾーン

 こちらでは、大阪市立自然史博物館のミュージアムグッズの展示がされています。ガラスケース内に展開されているのは博物館が外部イベントなどに出展する際の「出張ショップ」で使われるセットで、ここでは出張ショップ風に歴代のミュージアムグッズを見ることができます。解説担当の学芸員さんによると、“博物館グッズは教育普及の延長”とのことで、しっかり誤りのないグッズ制作が心掛けられているそうです。
 また、左端には小田隆さんによる「ズールとゴルゴサウルス」の原画が展示されており、恐竜オタク必見ゾーンです!

「ズールとゴルゴサウルス」の原画(小田隆 作)

イラストレーション管理の悩み

「イラストレーション管理の悩み」ゾーン

 早くも展示は最終ゾーン。ここでは、自然史博物館が抱える「イラストレーション管理の悩み」についての展示がされています。大阪市立自然史博物館では絵や図の体系的な管理方法がいまだ模索中で、最近ではいきなり博物館の一角から「ネクイハムシの絵解き検索」の原画が見つかったりと、管理の問題がますます浮き彫りとなっているそうです。このような問題は本展の裏テーマでもあるそうで、学芸員さんがより良い形を模索中です。

ネクイハムシの絵解き検索の原画

絵がヘタでもだいじょうぶ!万能投影機

万能投影機

 最後に、大人気キャラクターおいすたーくんによってマンガ解説されていたのは、こちらの「万能投影機」です。対象物を拡大してガラスに映し出してくれるそうで、トレーシングペーパーを重ねてなぞるだけで精密な図版が描けるのだとか。ボタンを押すと稼働します。

おいすたーくんによる解説4コマ
実際に稼働している様子

最後に

 以上、特別展「自然史のイラストレーション ~描いて伝える・描いて楽しむ~」プレス内覧会レポートでした!もちろん、この記事だけでは語りきれていない部分や、紹介していない部分も沢山ありますので、興味のある方はぜひ実際に足を運んでみてください。(SNS投稿禁止エリアも胸熱でした…)
 学芸員さんいわく、本展には普段自然史博物館に来たことがない方にも興味を持ってもらうという策略もあるそうで、特に絵が好きな方!この機会、まんまと自然史博物館の策略に引っかかってみてください(・∀・)。絶対に楽しめると思います!保証します。
 長い記事でしたが、最後までついて来てくださった読者の皆様、本当にありがとうございました!
 また、本記事の制作にあたり、プレス内覧会で展示解説してくださった学芸員の皆様、大変ありがとうございました!!

参考文献

・大阪市立自然史博物館(担当:長谷川匡弘)(編). (2024). 『大阪市立自然史博物館第54回特別展「自然史のイラストレーション展 ~描いて伝える・描いて楽しむ~」解説書 自然史のイラスト集』. 大阪市立自然史博物館.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?