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十一月に~その名はカフカ番外編

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長編小説『その名はカフカ』の番外編である中編『十一月に』の収納箱です。
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十一月に 4

十一月に 3 「私服の警察の人なんて、本当にいるんですねえ。私、ドラマの作り話だと思ってたんですよお、そうやって私服の刑事さんが『警察の者だが』って言ってバッジ見せるの」  興奮気味にまくしたてる若い女に内心うんざりしながらも、シモン・ストラカは無表情のまま、女が話し終わるのを待った。女は肩まで伸ばした赤い髪を揺らしながら、更に 「でも、お一人なんですね。ほら、ドラマとか映画とかって、よくペア組んでるじゃないですか、刑事さんって」 と続けた。  昨日の午前中に届け出があった

中編『十一月に』追記~鴉はやはり沼であった

蓋を開ければ「カフカの番外編」であった中編小説『十一月に』。 全六話で隔日で投稿しましたので、何だかあっという間の連載でしたが、正直、楽しんでいただけた方がいらっしゃったのか、自分では全然判断がつきません。 執筆を開始したのは『その名はカフカ』第四部Modulaceを終了した直後4月25日で、5月6日に最後まで完成させてから投稿し始めました。 もともと「カフカの連載を終えてしまった寂しさを紛らわすため」に書き始めたのですが、前々から書きたいと思っていた部分を扱ったこともあ