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マエケンチェンジでモデルチェンジした前田健太投手

前田健太投手絶好調です。9月16日時点で5勝1敗防御率2.43と素晴らしい成績。多くの方は前田健太投手と言えば日本時代のストレートとスライダーで勝負しているイメージがあると思いますが現在の前田健太投手は全くの別人です。ですので元からマエケンはこれくらい活躍出来たのにドジャースの起用法がクソだったのでツインズに来て大正解っていう意見は前田健太投手の進化を正当に評価していないことになります(まあ確かにあの契約はクソでしたが)。今回は前田健太投手の活躍は知ってるけど投球内容までは知らないって方への記事になります。

投球内容の変遷

まず年度ごとの球種別の割合から。

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メジャー初年の2016年は4シームとスライダーを中心に投球を組み立て、そこにカーブ、ツーシーム、チェンジアップを混ぜていく投球スタイル。日本で投げていた時の投球スタイルと同じですね。2017年はカッターを加えたり、2018年は2シームが減り4シームを増やしたりと多少の変化はありますが投球の基本は4シームとスライダーというのは変わらず。特にシーズン後半中継ぎで投げていた時はリミッター解除して力いっぱい4シームを投げ込んでいたイメージがあります。

しかし2019年に大きな変化が見られます。これまで10~15%程度の割合だったチェンジアップの割合が初めて20%を超えました。特に左打者には顕著で全投球の41%がチェンジアップに。この変化には2018年からチェンジアップの握りを変えたことでボールがよく落ちるようになり被打率が下がったことが自信になったことがあると推測されます。何でも2018年MLBで最も攻略しづらかったチェンジアップだったそう(xwOBA .164)。

この年は右打者にはスライダーと4シーム、左打者にはチェンジアップと4シームを軸に投球を組み立てていました。

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そして今年は更にモデルチェンジを推し進めチェンジアップが全体の約30%となり4シームが初めて20%以下となっています。面白いのは左打者にはチェンジアップが38%なのは昨年とほぼ同じですが今迄左打者には余り投げていなかったスライダーを30%程投げていることです。昨年は左打者へのスライダーは11%だったので大幅に増えています。

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この変遷からどれだけ前田健太投手が変化・進化してきているのが分かります。

対左打者対策

ここまで見てきたモデルチェンジの根底には対左打者対策があったと思われます。右投げの前田健太投手は左打者を苦手としており更なる飛躍には左打者をどう抑えるかが課題でした。以下が右打者と左打者の年度別打率です。

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ご覧のように毎年右打者よりも左打者の打率が高くなっています。今年もその傾向は変わりませんが左打者の打率が2割以下になっていることから、今年は左打者をしっかり抑えていることが分ります。

これは右打者と左打者の年度別奪三振数ですが、去年までは右打者からの奪三振数が圧倒的に多かったのですが、今年は左打者からの奪三振数が多くなっています。そして左打者からの奪三振は6割以上がチェンジアップからでした。

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チェンジアップ

現在の前田健太投手の投球を支えているチェンジアップの球質を検証してみます。

前田健太投手ご本人のYouTubeチャンネルで解説されていますが2018年からそれまでのサークルチェンジからスプリットチェンジに握りを変えています。前田健太投手はこれはフォーク・スプリットとチェンジアップの中間の球だと言っています。

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これはもうほぼスプリットですね。

そして以下が変化量になります。

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変化量の数値から2018以降縦の変化量が大きく増加したのが明らかで今年は更に落差が増しています。そしてMLBの他の投手の変化量との対平均%を見ても2018年以降は前田健太投手のチェンジアップは平均よりも大きく落ちていることが分ります。ピッチバリューも2.86に。

参考のために田中投手、山口投手、平野投手のフォーク・スプリットと変化量と球速を比較してみました。

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全然負けてないです。球速が速いほど変化量は小さくなるので変化量だけを比較することは出来ませんがほぼ球速が同じ山口投手のフォークボールよりも落ちています。横の変化量(シュートしていく)もあり左打者には外に逃げながら落ちていくのでバットに当てるのが非常に難しい球になっているようです。

これはスライダーとチェンジアップの映像。素晴らしい変化量でコースもばっちり決まっています。


まとめ

以上見てきたように現在の前田健太投手はスプリット並みに落ちるチェンジアップと従来の武器のスライダーを中心に投球を組み立てる投手にモデルチェンジしていました。実際に試合の映像を見ていない方は前田健太投手は日本時代と同じように4シームとスライダーで勝負していると思っている方が多いと思いますが、実は全く違うということがお分かりになったと思います。活躍の裏には途轍もない努力があるのではないでしょうか。

ツインズはこのままいけばプレーオフ進出間違いなしなので、プレーオフでも前田健太投手の快投を期待しています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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