老いるとは、バグが溜まっていくことなんじゃないかと思う話
ずいぶん前に前歯がちょっと欠けちゃったんですよ。せんべい食ってるんだったかお皿かじっちゃったんだったか。
でね、ちょっとだけどしみたりなんたりするもんで、歯医者で相談したんですね。埋めたりできんかなと。そしたら小さすぎてできない、やってもすぐとれると思う、と。
まじかよ…おばちゃん、現代の医術もう少し信じていたぜ…
まあ日本の医学、そろそろヤバイようなんですけども。まあねえ、経済的に後れを取っていくと、ようは「後進国」になるので、最先端医療とか受けられなくなるわけですねえ。これは一番いやなことだなあ。裕福じゃないと福祉も細っていくしねえ。
そこではたと気づくわけです。おばちゃん、残りの人生、この欠けた歯でやっていくしかないんや、と。
もう生え変わらない。一生使っていくもので、壊れたら終わり。
いや、歯ってさ。生え変わり早すぎない?寿命も延びたし、後半もう一回くらい生え変わってくれてもよくない??みんなも虫歯とか多くなってくるでしょ。
しかしまあよく考えてみたら、体ってなんでもそうなんですよね。若いうちはケガしても治るし疲れても寝れば回復するし、みたいなところあって、回復力の高さを過信していたんだけども。
20代で左肩を脱臼してから、左肩は何かと痛んだり弱くなったりします。ケガももう何か月もかかっても傷跡が残ったり治りきれなかったり。風邪も長引きますねえ。咳なんか1年近く患ってます。
イボもできたら終わりですね。白髪もそう。
割とびっくりしたのは、爪の甘皮が爪にほつれるようになったことです。これも一回なったら戻らなかった。
体は時々バグを起こし、それを飲み込んで修復したりするわけですが、長く生きれば生きるほど当然バグも溜まっていくんだなあと。
老いて何かできなくなることは例えば筋トレで予防なり遅らせることなりできたりしますが、バグはねえ。だから能力の衰えよりバグが溜まることのほうが、より強く老いを感じるように思います。
一度やっちゃうと完全に元に戻すことはできない。
精神障害なんかもそうですね。おばちゃんも鬱だかパニックだかたぶんやったんですけど、もう4年たつけどいまだに脳みそがおかしいな、疲れやすいしめまいを起こしたりするのでとっても困っています。病気のせいなのか薬のせいなのかはわかりませんが。
一回やっちゃうと怖くなっちゃうのもありますね。
子どもは怖いもの知らずだなあって良く思う。よくそんなくるくる回れるな!めまい怖くないんだね!!昔はおばちゃんもそうだったのになあ。
「なおった、もう大丈夫、元通り」そう思えるような治療なんてごくまれで、医療はアフターケアをほぼしないので本当に回復することなんてまずないですね。
小さなバグがちょっとずつ積み重なって、シミになったりシワになったりイボになったり痛みになったり疲れになったり、どんどん負債が溜まっていく。
ちょっと動けば腰が痛むし、寝たら寝たで肩が痛む。
寝ても治るどころか、寝てるだけでどこか痛める。いやー運動不足ですかねえ。寝具のせいかしら。
おばちゃんはなぞに左を向いて眠るとめまいが起こる体になったので右ばっかり向いて寝ています。欠けた歯は自分で少しは再生してくれたのか摩滅して死んでしまったのか、痛みなどはなくなりました。
少しずつの老いより、日々のバグに気を付けていきたいなあと思う次第です。老いはいきなりがくんとくるなんて言うけど、それたぶんでかいバグ(大きい病気とか)起きたときなんじゃないかな。