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大人のERs情報室 ラインとスライド編

はじめに

お久しぶりです、DiNAです。最近は剣盾のランクマッチさんと試験勉強のおかげで寝不足な上に寒いので練習不足です。拙い文章ですが、対戦よろしくお願いいたします。



昨年末にジャグリングアドベントカレンダー企画さんにて、「大人のERs情報室 テルノルド編」と題した怪しい記事を書かせていただきました。正直、取り上げた技がマイナーすぎて伝わる方はかなり少なかったかなと思いますが、少しでも僕のエイトリングへのアプローチに共感してくれたら嬉しいなという想いを込めました。届きましたか?

さて、転じて単刀直入に申し上げますと、今回から「大人のERs情報室」をシリーズ化することにしました。それは、以下の理由からです。
・記事にまとめる作業を通して、自分のエイトリングに対する思考を整理したい。
・昔の自分のような若いエイトリンガーさん方と、情報室には書かれていないような3年目の今だからわかることを共有したい。
・ジャグリングの大会等でのエイトリングの技術に対する評価の妥当性を高めるために、一般のジャグラーさんのエイトリングテック的なリテラシーを引き上げたい。

というわけで、これからは「大人のERs情報室 △△△編」と題しまして、不定期で、特定のエイトリングのテーマをじっくり解説するという記事を書いていきます。一応はそれなりに一般的で興味を持っていただきやすいテーマを選ぶように心がけますので、よろしければお付き合いください。また、取り上げて欲しいテーマがあったら、ご連絡ください。

「ライン」と「スライド」

前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。今回は「ラインとスライド編」なわけですが、「ライン」と「スライド」が何を指すのかわからない方も多いと思います。ですが、個人的にはかなり重要な考え方だと思うので、様々な方に理解していただきたいと思って今回のテーマとしました。

では早速その具体例から見ていきたいと思います。例によって練習方法よりも技の理解に重きを置きたいので、具体的な練習の仕方等は情報室さん等を参考にしてください。


2枚と3枚について、それぞれ前半が「ライン式」で後半が「スライド式」です。2枚の方は一般的な技術群にも組み込まれていますので、見かけることは多いと思います。また、これ以外にも例えば、「ワンハンドノービート」の別名の「ロングラインフープ」の中に「ライン」という言葉が出てきたりと、エイトリング界ではまずまずの頻度で見かける考え方です。

「ライン式」と「スライド式」は、簡単に言うと、「複数枚を片手で扱うフープにおける、握り直しのときの処理方法の分類」です。ライン式では、すべてのエイトリングを握り直し時に手から離すのに対して、スライド式では、1枚のエイトリングだけを離して、残りのエイトリングは握ったままで、離した方を握り直します。なお、「離す」とは「握っていない状態にする」という意味です。


この動画の通り、1枚のエイトリングをフープで扱うときには、「握ったまま回して、持ち替えのためにいったん離して手の甲を転がすようにして握り直す」の繰り返しでエイトリングを回しています。個人的には、この回転方向の「離して握り直す」操作は、エイトリングをリバースペンギンで投げてから手首を返してキャッチしている感覚だと思うのですが、とりあえず今はこの「離す」操作の存在を確認していただければ充分です。


さて、最初の動画の2枚と3枚を、それぞれ技構造が把握しやすいように色付けしてみました。見てのとおり、「ライン式」ではすべてのエイトリングが「離す」動作の対象になっており、「スライド式」では一部のエイトリング(白)は「離す」対象にはならずに、握り直しの操作中には手と一体化していることがわかります。

また、両方式の名前の由来ですが、「ライン式」は、常にエイトリングの線が合わさって1つの線(ライン)をつくっていること、「スライド式」では、握り直し時の操作の感覚が、手と一体化したエイトリングと手の塊に対して、離す対象のエイトリングが滑っていくようであること、から名付けられたのではないかと思います。(ライン式の命名は僕ですが、スライド式の方は違うので正確にはわかりません。)

さて、これで「ライン式」と「スライド式」についてある程度はご理解いただけたと思いますので、次は両者について、それぞれの性質を見ていきたいと思います。

性質と適応

まずは「ライン式」から参ります。

「ライン式」では、名称の由来のとおり、全てのエイトリングが常に線を形成してひとつの塊として動きます。そのため、1枚で好まれるアイソレーションやアンチスピン等の数種類の軌道を2枚に移植したときの見え方が比較的単純になるので、それらの美しさを中心に見せる型等との親和性が高いです。それは例えば、利き手2枚利かない手1枚の3枚の技等です。

このシーケンスでは、右手での3枚と2枚の操作において、ライン式を中心としたフープ系のTechが採用されています。そのため、エイトリングのツートンカラーや3種類の古典軌道の組み合わせを素朴に見せることができています。

また、複数のエイトリングを同時に離して握り直すことから、「スライド式」に比して難しく、ジャグリングの大会等では、「スライド式」よりも優先して採用するのが良いかなという印象です。まあ、ジャグリングの大会の審査員方にエイトリングについての理解を求めるのは難しいですが、評価されなかったときに「ふん、わかってねーな」と思う材料の1つにでもしてください。

次は「スライド式」です。


「スライド式」では、「離されたエイトリング」のアイソレーションが「手と握られたエイトリングの複合体」によって強調されるので、アイソレーションを強調したい場面では優先度が高いです。アイソレーションの本質である「静と動の対比」について、「動」の成分が「離されたエイトリングの静止円でない方の円」に加えて、軌道破壊的に動く「手に握られたままのエイトリング」で強化されるために、静止円が際立つのだと思います。

また、離すエイトリングが1枚に限定されるので、比較的難易度が低く、わりと簡単に習得できます。そのため、とりあえず両手での4枚の技や逆回転の技をしたいという方にはおすすめできます。逆に、ジャグリングの大会等の技術力を見せる場において「スライド式」を多用している方は、「『ライン式』は難しいから避けてるのかな?」という残念な印象を持たれる気がします。

また、主にジャグラーじゃない方に向けて演技する場面においてですが、「ライン式」のみの採用とすると「複数枚のエイトリングが貼り付けてあるんでしょ?」という印象を持たれてしまうので、どこかに「スライド式」を採用することによって、「張り付いてないものが一体のように動いている(た)!?」という驚きを残せる気がします。


ついでになんですが、これは、私が昨年思い付いた(らしい、言われるまで忘れてた)「スライド式」ならではの臨床像です。黄色のエイトリングについて、手に対して常に固定されていながら、逆の手のAntispinに呼応したような動きを半周では見せるのが面白いです。動画ではいまひとつの精度ですが、きっと実臨床を想定して磨いでいけば、ある程度は綺麗になると思います。


おわりに

ここまでお読みくださった方、お疲れさまでした。今回は、片手で2枚以上を握って扱うTech(2hや3h等)における基本的な考え方である「ライン」と「スライド」についてお話ししました。ぜひ、ここでの学びを、練習や審査等に役立てください。

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