Wrapinknot Wool Wear POPUP ②

2024年6月16日 16:16

この6月も記録的な暑さだそうで。

もはやこれは異常ではなく平常であって、この暑さ（将来的には下手すればこれ以上の暑さ）がデフォルトなのだ、という覚悟と備えを持って生きていく時代なのかもしれない。

その暑さの中で如何に快適に過ごすかを考えた時、やはりシンプルに身に付けるものの役割、比重は大きい。

どれだけ暑かろうが何も着ない訳にはいかないからだ。

もう15年も洋服屋という仕事をやっていて、この仕事で誰かに貢献したいという気持ちが少しずつ大きくなっている。

思えば店をはじめたばかりの頃はそうではなかった。

何もかも余裕が無かったから、どうすれば売り上げが増えるか、言い方は悪いが手っ取り早く売れるか、そんな風に考えていたように思う。

若かったし、必死だったのだ。

徐々に経営が安定していく中で、少しずつ先も見通せるようになり、目の前の売り上げに固執して一喜一憂する必要が無くなると、そこではじめてお客さまの様子がよく見えるようになった。

本当に気に入って買ってくださっているのか。
買って頂いたものは着てもらえているのか。
その方にとって良い買い物だったといえるのか。

それらにYESと答えられなければ、お客さまに長く通ってはもらえない。

当然の事だ。

頭では分かっているつもりでも、本当の意味でそれを理解し実践するにはあまりにも余裕が無さ過ぎた。

もちろん今だって売り上げが大事だ。

でもそれは後から付いてくるものだともう分かっているし、そう考えた方が仕事がずっと楽しいという事に気が付いた。

まずはお客さまに喜んでもらう事、みんなの生活を少しだけ豊かにする事。

それがやりたい。

綺麗ごとじゃなく割と本気でそう思っている。

暑すぎて長すぎる夏を快適に過ごしてもらう為に、我々洋服屋が提供すべきものは何か。

みんなの役に立ち、喜んでもらえるものは何だろうか。

簡単だ。誰でも分かる。
涼しい服だ。
涼しくて着心地の良い服。

しかしそれだけでは弱い。

涼しい服なんていくらでも溢れているし、極論を言ってしまえばタンクトップと短パンが一番涼しいだろう。

では何故タンクトップと短パンでは駄目なのか。

それも簡単。かっこ悪いからだ。

かっこ悪くても別に構わない、涼しければいい、という人ももちろん沢山いるだろう。

けどウチの店に来てくださる方々に限れば、絶対にかっこいい服を求めている。
そういう場所なのだから。

全員は無理だとしても、せめて自分達の店に少しでも期待してくれる人の役には立ちたいと思う。

結論。
涼しく着心地が良くて、かっこいい服。

当然だ。

Wrapinknot Wool Wear の服をはじめて見た時（その時の事はひとつ前の記事に書いています）、
「涼しい」「かっこいい」に加えて、「新しい」と感じた。

俗にサマーウール等と称されるウール原料のジャージー素材。

少し前までは冬服の素材というイメージのあったウールだが、その吸放湿性や消臭性が注目され、夏向けの機能性素材としての提案が年々増えている。

自分自身サマーウールのTEEシャツは愛用していて、もはや夏に欠かせないものになっている。

母体であるウメダニットの縫製技術によるクオリティの高さはともかくとして、アイテムとしてそこまで新しさを感じるものではない。