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5年の時を経て、続編となるニューアルバムをドロップ! Calvin Harris - Funk Wav Bounces Vol. 2 (2022)

2012年に発表されたCalvin Harris(カルヴィン・ハリス)のサード・アルバム「18 Months」は、全英アルバム・チャートで首位を獲得。そして、このアルバムから8曲がUKチャートトップ10入りを果たし、当時Michael Jacksonが持っていた最多記録を更新しました。

2017年にリリースした5枚目のアルバム「Funk Wav Bounces Vol.1」は、初めてカルヴィン・ハリスのボーカルが入っていない作品となり、「甘い!」で知られる「Slide」のほか、YouTubeで6億回再生された「Feels」などが収録され、アルバムはUKチャート、全米チャートで2位を獲得しました。

アメリカの経済雑誌「Forbes」では、2013年から2018年まで6年連続で「世界で最も稼ぐDJ」に選ばれるなど、世界を股に掛ける活躍をしています。

そんな彼が、約5年振りとなるアルバム「Funk Wav Bounces Vol. 2」(2022)をドロップ。

今作はタイトル通り「Funk Wav Bounces Vol.1」の続編で、前作に続き、豪華なゲストを多数迎えた全14曲を収録しています。

ここでは、このアルバムについて解説します。

レーベル  : Columbia Records
リリース日 : 2022年8月5日
名前    : Calvin Harris
本名    :    Calvin Harris / Adam Richard Wiles
年齢    : 38歳


出身地   :    スコットランド

アルバムリリースに至るまで

今年最初の楽曲で、アルバムのリード作となった、Dua LipaYoung Thugとのコラボシングル「Potion」(2022)を、2022年5月にリリース。
Dua Lipaとは2018年のシングル「One Kiss」以来のコラボレーションとなり、このプロセスについてカルヴィン・ハリスは次のように語っています。

俺が誰かと仕事をしたいと思うのは、その人がユニークな声を持っていたり、俺に語りかけてくるものがあって、本当に良いものが生まれるかもしれないと思うからで、彼女はその1人なんだ。
それと、スタジオで楽しい時間を過ごせるような、気の合う人というのがミックスされてるよ。
楽しい時間を過ごしたいし、ストレスや気まずさを感じるような人とは仕事をしたくない。
彼女の声は素晴らしいし、俺は彼女に使うマイクを持っているし、ちょっとしたセッティングも気に入っている。
あと「One Kiss」のボーカルは、俺にとって彼女のこれまでの声の中でベストだと思うね。
だからそれを再現したかったんだ、このアルバムのためにね。

Calvin Harris  feat. Dua Lipa & Young Thug - Potion (2022)

この『Potion』は、うねるようなファンクビートとDua Lipaのコーラス、そして脱力感のあるYoung Thugのラップが心地よい、ミッドテンポの楽曲に仕上がっています。
カルヴィン・ハリスは、Young Thugの人間性とフロウに魅了されたようで、特に彼のレコーディング・プロセスに興味を持ったようです。

この曲に参加して欲しかったのは1人だけだったよ。
彼をしばらく追いかけたんだ。
声もそうだけど、話し方もそうだし、彼はどうやってこういう事を考えるのか、こういうフローをするのか、俺が想像もつかないような方法でビートを織りなしていくんだ。
曲を作ったり、フックを考えたりするとき、誰かがそれを歌っているところを想像することはできるよね。
でも彼にビートを送ったり、彼がレコーディングしているスタジオに一緒に行って、その過程を聞いたり、彼が最終的にどこに到達するのかを知ることは、本当に「どうやって?」って感じ。
脳が別の場所にあるような、天才的な頭脳を持っているような。
それを目の当たりにできるのは素晴らしいことだし、彼と一緒に仕事ができることにとても感謝しているんだ。

また、カルヴィン・ハリスは楽曲をリリースした際に2人を絶賛し、Instagramの投稿で次のように語っています。

@dualipa は一緒に仕事をするのに最も好きな人だ。
この声、仕事に対する姿勢、会話、彼女と一緒にこの作品を作ることが出来て本当にラッキーだと思います!!

そして@thuggerthugger1は唯一無二の存在で、彼以外にこの音楽の上で浮遊することはできなかっただろう。

7月には、アルバムからセカンドシングルで、21 Savageとの初のコラボレーションとなるシングル「New Money」をリリース。
カルヴィン・ハリス単独でのプロデュースとなったこの曲は、夏っぽいビートに、21 Savageの淡々と刻むラップがクセになります。

Calvin Harris feat. 21 Savage - New Money (2022)

この曲の2週間後には、Justin TimberlakeHalseyPharrell Williamsを迎えたアップテンポなナンバー「Stay with Me」をリリースし、7月末にはNormaniTinasheOffsetとのシングル「New To You」をドロップ。

「New To You」では、Anderson .PaakSwae LeeJessie Reyezなどの現役で活躍するシンガーたちがソングライティングしており、前作のヒット曲「Slide」をどこか彷彿とさせるビートが印象的です。

Calvin Harris feat. Normani, Tinashe & Offset - New To You (2022)

収録曲について

前述の通り、リードシングルにはシンガーからラッパーまで多数豪華ゲストが参加していますが、収録曲もBusta RhymesPusha TSnoop DoggLil DurkLattoSwae Leeなどベテランから若手までの幅広いアーティストをフィーチャーしています。

中でも5曲目のミドルテンポの「Obsessed」は、Charlie Puthのコーラスとジャマイカ出身のShenseeaのラップがスパイスとなり、70年代的な雰囲気を醸し出して心地よいです。

Calvin Harris feat. Charlie Puth & Shenseea - Obsessed (2022)

また、ベテランBusta Rhymesとの初コラボ曲「Ready Or Not」では、Busta自身の作品ではあまり聴くことができない夏を感じさせるシンセと、彼独特の緩急のあるラップとのマッチが印象的です。

Calvin Harris feat. Busta Rhymes - Ready Or Not (2022)

アルバムの終盤では、DJプレイでのクローズを意識したかのようなスローナンバー「Lean On Me」のほか、Pharrell Williams節が炸裂する「Day One」Pharrellの盟友でもあるPusha Tが参加。

また、Pharrell Williamsカルヴィン・ハリス「Heatstroke」「Feels」といった過去のヒット曲でも共演しており、Pharrellは前作に続き本作でも3曲で抜擢されています。

Calvin Harris feat. Pharrell & Pusha T - Day One (2022)

おわりに

カルヴィン・ハリスは前作について「アイデアはあったけどそれを最後まで貫き通せなかった」と前作を振り返り、反省を今作に生かすことができたと話しました。

前の作品では、アイデアはあったけどそれを最後まで貫き通せなかった。
俺はビートをただひたすら作っているだけだった。
ビートを先に作って、何人かのアーティストを参加させようとしていたんだ。ダンスミュージックでは、そういうやり方をすることが多いんだ。
だから、同じようにアプローチして、ただビートを作ろうと思ってた。
けれども、今回の作品では、もっと生ドラムやギターなどを使いたいと思ったんだ。

生ドラムやギターを使い、Nu Disco、R&B、Boogieを全面に押し出しながら、アルバム全体をひとつのコンセプトにしっかりとまとめ上げるあたりは、現役DJならではの力量と言えるでしょう。

夏の終わりにぴったりな今作を聴いて、夏の思い出を振り返ってみるのも悪くないかもしれません。

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