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Timbalandに見出されながらも決別!?Freshman Classにも選出された、実力派のTinkとは?

イリノイ州シカゴは、CommonDa BratKanye Westなどのレジェンドや、Lil DurkJuice WRLDChance the Rapperと、枚挙に遑がないほど才能あるラッパーを輩出してきた街で知られています。

加えて、Chaka KhanQuincy JonesR. KellyJeremihJennifer Hudsonなどの実力派R&Bシンガーも世に送出し、ブラックミュージックとは切っても切れないエリアとなっています。

そのシカゴ出身で、大物プロデューサーTimbalandに見出されたシンガーTink(ティンク)が、先日4枚目のアルバム「Pillow Talk」(2022)をリリースしました。

ここでは、あまり明かされていないティンクのこれまでのキャリアに迫ります。

レーベル  : EMPIRE, Winter’s Diary
リリース日 : 2022年8月19日
名前    : Tink
本名    :    Tink / Trinity Laure'Ale Home
年齢    : 27歳


出身地   :    イリノイ州キャルメットシティ

Freshman Classに選出され、注目を浴びる

小学生の時に友人がつけたニックネームがティンクで、それ以来その名前を使い続け、シンガーとしては5歳の時に教会で歌い始めました。
16歳の時、兄と一緒にClipse「Grindin'」でフリースタイルで歌い、Facebookに動画を投稿し、地元で話題となったようです。

子供のころは教会や家の中で歌って育ったわ。
両親とも音楽が好きなの。
母は歌い、父はピアノを弾くので、いつも音楽があふれていたわ。
幼い頃から歌っていたんだけど、実はラップでバズったの。
その頃から、ちょっと転向して、ラッパーとしての技術を完成させようと思ったんだけど、いつも頭の中には歌があったんだ。
音楽をやればやるほど、両方を生かさなきゃいけないと思うようになったの。
バラードやエモーショナルな楽曲を好むファンもいれば、歌やトークを楽しむファンもいる。
その中間を保つのが好きなんだ。それが私の秘密兵器なんだ(笑)

その後、高校在学中の2012年にミックステープ「Winter's Diary」で本格的にキャリアをスタートさせます。
収録曲の「Bonnie & Clyde」は、リリックビデオでありながらYouTubeでは4000万再生を記録。

Tink - Bonnie & Clyde (2012)

その後、3枚のミックステープを発表し、続編の「Winter's Diary 2 : Forever Yours」を2014年にリリース。
このミックステープは、ローリングストーン誌の2014年のベストR&Bアルバム第8位、ビルボード誌の2014年のベストR&Bアルバム第9位に選ばれ、収録曲「Treat Me Like Somebody」はSpotifyで7000万回ストリーミングされています。

Tink - Treat Me Like Somebody (2014)

また同年、同郷のシンガーJeremihをゲストに迎えたシングル「Don't Tell Nobody」をリリースし、YouTubeでは6000万再生を記録。
翌年にはヒップホップメディア誌XXLによる「Freshman Class 2015」に選出され、全米中にその名を広めることとなりました。

Tink feat. Jeremih - Don't Tell Nobody (2014)

ティンバランドと契約を交わす

Timbaland & Tink

90年代からプロデュースワークで数々のヒット曲を生み出してきた、Timbaland(ティンバランド)は、彼女の才能に惹かれ、2014年10月にティンクは19歳の若さでティンバランドのレーベルMosley Music Groupと契約しました。

当時について、ティンクはこう回想しています。

夢のような気分だったわ。
独立するということがどういうことかを知っているからね。
長い間、私はパソコンで音楽を作り、Eメールからビートを引っ張ったりしていたんだ。
だから、ティンバランドが私のことを知って、電話をくれて、会いたいと言ってくれたときは、本当にテンションが上がったわ。
自信がついたの。
ティンバランドと一緒に仕事をするのは素晴らしいことだわ。
彼がどれだけ多くのアーティストに影響を与えたかを考えると、彼とスタジオで仕事をするときは、自分も何かを提供しなければならないと思うんだ。
私は全く怠けることができなから、必要だったの。
私はTinkに忠実でありながら、自分のサウンドを再構築する必要があり、Timはその手助けをしてくれているわ。

2015年、ティンバランドがプロデュースしたシングル「Million」をリリース。
この曲は、Aaliyahのシングル「One in a Million」(1996)をサンプリングしており、ティンクは「Aaliyahへのオマージュだった」と語っています。

オマージュを捧げたんだ。
ティンバランドとアリーヤの関係に捧げるようなものだったんだ。
ただ、リメイクをするにあたっては、そのやり方や世に出すことに敏感でありたいと思ったわ。
私が彼女の波に乗っているとか、私が次のアリーヤになろうとしているとか、そういう風に受け取られたくなかったの。
これはトリビュートであり、私は敬意を表し、彼女の遺産を守り続けているのだということを理解してもらいたいわ。

Tink - Million (2015)

Aaliyah - One in a Million (1996)

ティンクティンバランドはデビューアルバムのリリースに向けて、アルバム1枚分のレコーディングを終わらせ、この時はアルバム発売日さえも決まっていました。
しかし、発売は延期され、最終的には世に出ることなくお蔵入りとなり、彼女はティンバランドへの不満を募らせていったようです。

アルバムは実は完成していたわ。
イントロもあったし、インタールードもあったんだ。
ティンバランドはアルバムを完成させたかったんだろうけど、彼の判断で完成させなかった。
それを出さないというのはティンバランドの判断だったんだ。

レーベルからの脱退を決意

リリースを待っていた期間にも、彼女は自分でスタジオ代を払い、一緒に仕事をしたいプロデューサーを選び、レーベルからの反対にもかかわらずミックステープ「Winter's Diary 3」(2015)を、その翌年に「Winter's Diary 4」(2016)をリリース。
「Winter's Diary 4」は、ローリング・ストーン誌の「2016年のベスト・ラップ・アルバム40枚」の20位に選ばれたものの、アルバムが一向にリリースされないことに我慢の限界を迎えたティンクは、2017年についにレーベルからの脱退を表明。

この一件について、彼女はこの業界での『女性アーティスト』としての立ち回りの難しさを感じたようです。

私たちにとっては、とても難しいことなの。
正直なところ、私たちにとって、この道は男性よりもずっと厄介なものだと感じているわ。
私たちは多くの制約を受け、多くの期待をかけられているの。
でも、少なくとも10人の新人が出てきて、みんな彼らを競争相手として扱わないし、彼らの仕事を厳しく批評することもない。
男性の場合、雰囲気をつかむのは簡単だけど、女性の場合、2倍の時間をかけなければならないわ。
リスペクトされるためには、もっともっと自分のペンを押し出さなければならないわ。

またその頃、彼女の地元からChief KeefLil DurkG Herboなど次々とラッパーがブレイクし、その中の1人Chance the Rapperの言葉にティンクは救われたようです。

チャンスのようなアーティストを見ると、いつも惚れ惚れするわ。
彼は私が尊敬する1人なの。
私が契約から外れて、それを自分の中で消化しようとしていた時のことを思い出すわ。
ティンバランドとエピックとの契約を解除したことが公になった時、チャンスは最初にメールをくれて、私の様子を見て「これはすべて君の物語の一部だから、続けてくれ」と言って、インスピレーションをくれた1人なんだ。
チャンスには本当感謝しているわ。

レーベルから離れた彼女は2018年、Machine Entertainment GroupとSony REDからデビューEP「Pain & Pleasure」をリリースし、自身初の全米チャートにチャートイン。
その翌年には、TygaFireboy DMLを擁するEmpireからミックステープ「Voicemails」(2019)を発表し、2020年に待望のデビューアルバム「Hopeless Romantic」をドロップ。
アルバムに収録されたシングル「Cut It Out」は、自身初となるRIAAからゴールド認定を受け、YouTubeでは3000万再生を記録しています。

Tink - Cut It Out (2020)

続く2021年には、Kodak BlackDavidBLEUがゲスト参加したセカンドアルバム「Heat Of The Moment」をリリース。
リリース元となったEmpireはこのアルバムのために、売れっ子プロデューサー、Hitmakaをエグゼクティブプロデューサーに迎えています。
また、OG ParkerRomanoTariq Beatsなどシーンの最前線で活躍するプロデューサーがずらりと並ぶなど、レーベルから大きな期待が寄せられているのを感じます。

Tink feat. Jeremih - Rebel (2021)

おわりに

ティンクのこれまでのキャリアについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
「Freshman Class 2015」に選出され、大物プロデューサーティンバランドに見出されたものの、アルバムをリリースできないジレンマに頭を抱えたティンク
しかし、オーディエンスやメディアは彼女の実力を買い、Empireと契約してからは鬱憤を晴らすかのように毎年アルバムを発表するなど、新天地での精力的な活動に注目が集まっています。

次の記事では、待望のサードアルバム「Pillow Talk」について解説します。

次の記事


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