シニア向けデジタルデビューセミナー~スマホで『楽しく』『簡単』『便利』に健康管理~
「デジテック for YAMAGUCHI」運営事務局 兼 「Y-BASE」スタッフのハラマルです。丸いお腹の私でも、さすがに寒さに震えるようになりましたが、着られる(お腹が入る)スーツが限られるので、夏用の薄いスーツで耐える日々です。早く、痩せるか新しいスーツを買わないと、凍えてしまうのではないかと心配になってきました。
今回はY-BASEで開催された「シニア向けデジタルデビューセミナー」の様子をご報告します。これまでの「やまぐちデジタルマンスリー」企画とはちょっと趣が違っていて、対象は「60代以上のシニア世代で、スマートフォンの初心者やこれから使ってみたい方など」です。
最近は、国の事業を活用して、携帯ショップで同じようなセミナーも開催されているようですが、これ、決して、シニア世代にスマートフォンを持ってもらうことが目的ではありません。(携帯ショップで開催されると、どうしても、そういうイメージが強くなっちゃいますね。)世の中、デジタルという言葉が多くなり、苦手意識を持つシニア世代の方が取り残されてしまうのではないか?という社会問題が起きていますが、高齢者の割合が多い山口県では深刻な問題です。
私の両親の場合、スマートフォンは使っています。使いこなすようなレベルではありませんが、ネットを使った調べ物や、写真送付、近況報告などはできます。(時々、何が映っているのか分からない写真を送ってくるのは御愛嬌)。ですが、先般の新型コロナ対策のワクチン接種では、ネットで予約を取ろうとすると、文字入力に時間がかかっている間に受付終了になる日が続き、「自分の能力ではこの競争に勝てる気がしない。ワクチンを打ってもらえないかもしれない。」と、相当落ち込んでいました。(注:その後、かかりつけ医でのワクチン接種ができました。)
抽選という仕組みであればこうならなかったかもしれませんが、先着順となると、同じような思いをされた方も多いかもしれません。ワクチンの場合は、希望する者全員に投与してもらえましたが、「デジタル機器の操作が苦手なこと」によって、不利益を被るような社会になってはいけません。
そのためには、サービスを提供する側として、デジタル機器の操作が苦手な方もいらっしゃることを前提として設計していく考えが必要です。また、希望する方には、デジタル機器の操作が不安なくできるようになるサポートも必要です。
前者の方は、特に行政にはしっかり考えてもらいたいです!今回は、後者の方の対策として、デジタルに興味はあるけれど、機器の利活用に不安のある方などに対して、スマートフォンで健康管理を簡単・便利に行う方法を楽しく学べるセミナーを体験いただき、安心して高齢者がデジタルデビューできる機運醸成を図ることを目的として実施したものです。
講師は、山口市出身で、株式会社プレサスの臺野(だいの)さんです。ロボットカーを使った親子プログラミング体験では、とてもかわいい資料を作っていただき、参加者の皆さんからも高評価をいただいたので、今回も期待大です!
セミナーで印象的だったのは、まず最初にスマホ操作の練習、かと思いきや、そうではありません!最初は「フレイル予防」についてです。フレイルとは、 健康状態と要介護状態の中間の状態のことです。後から調べたところによると、具体的には、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことですが、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があるとされています。
え、これ、何のセミナーだったっけ?と思われた方もいらっしゃったと思いますが、いや、これが良いんです!「フレイル予防をしていくためには、栄養や運動、社会参加が必要です。これを楽しく継続的にやっていくために、スマホを使ってみましょう」というのが導入でした。「スマホを使ってみよう」が入口ではなく、「自分の生活に身近なことを便利に楽しくやっていくためにデジタルを使ってみましょう」という説明が、非常に分かりやすかったと思います。
そして、スマホの基本操作説明に移ります。スマホをお持ちでない方もいらっしゃったので、電源の入れ方からです。「ガラケーの場合は閉じたら画面が消えますが、スマホは閉じないので、このボタンを押してください」と、説明がガラケー起点なのはさすがです。老人クラブ連合会と連携して、シニア向けスマホ講座を実施されているそうなので、こういったシニア世代視点に立った説明も分かりやすいです。
タップは「タッチ」、スワイプは「なぞる」と分かりやすい言葉に直して少し練習したところで、いきなり脳トレにチャレンジ!です。今回の研修では、「脳にいいアプリ」を使いました。
参加者の皆さん、戸惑いもあったようですが、こういったものは、まずやってみるのが肝心。ということで、覚えたての「タッチ」を使い、オンライン上で対戦しながら、間違い探しや虫食い計算問題に取り組みました。最初は操作方法に戸惑っていたため、正しく脳年齢が評価された訳ではありませんが、こうしたアプリを楽しんで使うと、計算や注意、集中、考察などのそれぞれの力が評価され、それがデータ化されていくので、紙ベースでやっているパズルなどと比べて、自分の状態を良く知れるようになりますよ、という体験でした。
続いて、同じアプリ内の食事記録と歩数計機能の使い方です。こちらも、ほとんど「タッチ」のみで操作ができます。操作については、皆さん、だんだんと慣れてきた様子で、セミナーが進んでいきます。資料にはありませんでしたが、離れて暮らすお子さんやお孫さんともデータを共有できるので、見守り機能的にも使えますよ、という案内もありました。この辺も、デジタルならではですね。
次に、「clintal」という健康相談などができるチャットアプリの説明でした。チャットといっても、文字を入力するのではなく、選択肢から選んでいくので「タッチ」で進めることができるのですが、さすがに初めてスマホを触った方には難し過ぎたかもしれません。でも、こういった、自分の生活に身近なところで、便利なアプリがあるんだなぁと知ってもらうには良かったと思います。
最後に、「デジタルを活用することでみなさんの生活はどのように変化するでしょうか?」と、デジタルに興味を持っていただいて、さらに、それにチャレンジしてみようかなと思っていただけるようなシーンの説明がありました。今日の体験をきっかけに、皆さんがデジタルに前向きになっていただいたり、新しいチャレンジをしていただけるとうれしいです。
さて、今回のセミナー、Y-BASEにお越しいただいた参加者の方だけに向けたものではありません。こういったセミナーが、今後県内各地で実施されるように、セミナーの様子を、県内の市町の担当者にも視聴いただき、参考にしていただきました。また、定員をオーバーする申し込みもいただきましたので、第2回の開催も検討しております。今後、こういう機会がどんどん増えていって、皆さんがデジタルに楽しんで取り組んでいける環境ができるといいなぁと思います。
参加者の皆さん、ありがとうございました。個人的に心配なのは、セミナーの時には分かったつもりになったけど、家に帰ると、どうだったっけ?ということもあるかと思います。なので、参加者の方のお子さん・お孫さん、おじいちゃん・おばあちゃんからスマホ操作について聞かれたら、「タッチ」と「なぞる」で分かりやすく教えてあげてくださいね!