粗大ゴミ収集がスマホでネット予約可能に!
デジテック for YAMAGUCHI 運営事務局のアナログ担当です。
昨年度の「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI」の取組紹介 第2弾です。
第2弾のレポートは、山口市 デジタル推進課・清掃事務所の課題「スマホで完結!粗大ごみ申込の市民負担を減らすツールの開発」に取り組んだ記録です。
課題解決に向けてサポートしていただいたコミュニティリンクの高山秋帆さん(プロジェクトマネージャー)と一緒にまとめました。
山口市の粗大ごみ収集は利用者にとって負担の大きい仕組みだった
今回の実証実験の舞台は山口市です。山口市の場合、一般家庭から排出される「指定収集袋に入らない燃やせるごみ」などは、市役所が利用者から収集の申込みを受けて、指定された収集日に個別収集を行ってきました。
山口市は1000平方キロメートルを超える広大な市域で、年間2000件以上の収集申込みを受けているので、処理件数の多い業務のひとつとなっています。
粗大ゴミ収集は利用者、清掃事務所、行政窓口の手数が多く、特に利用者は開庁時間内に電話で申込みする必要があり、収集手数料も行政窓口でしか支払えないため、申込みにくい状況が続いていました。
そこで「デジタル技術を活用してスムーズな仕組みを」と、事務局とともに「シビックテック チャレンジ YAMAGUCHI」で模索しました。
エコビジネスに取り組む、株式会社G-place
山口市の課題解決に手を挙げた企業が株式会社G-placeの大阪支店です。G-Placeは1968年に「自治体に紙のゴミ袋を販売する会社」としてスタートし、現在はエコビジネスを中心に、社会や人々の暮らしのさまざまな課題を解決する総合商社です。
G-Placeは粗大ごみ受付管理システム「ソダイシス」を開発しています。ソダイシスとは粗大ごみの収集受付や、回収業務を行っている自治体・企業・団体を支援するためのクラウドシステムです。
実証内容
2021年9月に株式会社G-placeが採択され、山口市とメールやExcelファイルを使って密な情報交換、システム開発を行いました。
特に、現在の粗大ごみ収集のスキームを整理してからどうシステム化に落とすか、市民が必要な情報や使いやすさ、ボタンの位置など事細かに調整を行いました。打ち合わせ時にはG-Place側の担当者がアジェンダやタスク管理を着実に進めながら、毎回活発な意見交換が行われていました。
また、粗大ごみの収集申込を受付する手順を実際に確認するため、清掃事務所まで足を運び顔を合わせて打ち合わせを行いました。G-Placeの担当者は、なんと大阪から車で!
2021年12月1日から実証実験をスタートさせました。
スマートフォンから申し込む場合、利用者はインターネットの専門サイトから粗大ごみの収集場所や品目、収集日などを入力して収集を申し込むと、手数料がクレジットカードで決済されるため、すべての手続きがインターネット上で完結する仕組みになっています。
電話受付の場合は、利用者と話しながら、または電話が終わった後に専用の画面で申し込み情報を入力します。
収集物は、収集連絡個票などで品目や粗大ごみシールが貼られているかを確認します。
そして収集物をパッカー車に詰め込む流れです。
実際にオンライン申し込みは実証実験終了時で359件中70件(約20%)の申込みがありました。そのうち土日祝は22件です。
業務時間は清掃事務所でのFAX送信作業の時間が短縮されました。行政窓口はシステム立ち上げから必要書類の印刷までの時間が延長されました。
市民からは今後も使いたいという内容が多数ありました。また、品目を選ぶ際にどれを選択すればいいか迷った、という声もありました。
NHKニュースや、読売新聞、中日新聞、ローカルメディアなどに多く取り上げられました。
システム開発の要望が100件以上ある中、G-Placeさんはひとつひとつ丁寧に対処され、さらに清掃事務所の担当職員の意気込みもあり、毎回の打ち合わせでは意見が活発すぎて議事録が追いつかなくなったことも。例えばたくさんある地区の区分け方法など、さまざまなアイデアが生まれました。どちらか一方だけが手を動かしているだけでは本実証実験は成功しなかったと思います。まさに「協働」の二文字を体現するプロジェクトでした。