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会議活性化のための小さなトライ

こんにちは。アバナードのエクスペリエンスデザインチームに所属している、UI/UX デザイナーの丁(てい)です。

このブログは社内で会議活性化のために行った小さなトライについてお話しします。日々行なっている会議で感じた課題を解決するために、まずは小さく身近の人たちの会議力を上げることを目的に、『会議力向上勉強会』を企画しました。今回はこの勉強会を実施するきっかけ、背景とプログラムの構成について紹介します。

きっかけ

『会議力向上勉強会』を開催しようと思ったきっかけは、会議自体の在り方についてのモヤモヤでした。

実際にプロジェクトの定例会や社内会議、また自分が主催する会議やとりあえず出席した会議でも、感じる場面がありました。意見がまとまらなかったり、メンバーに意見を求めるとシーンと沈黙となったり、参加者全員から話を聞きたいのにいつも同じ人しか喋らなかったり、または会議をするための会議になっていたりなど、色々なモヤモヤがあります。皆さんも多少なり同じモヤモヤを抱えているのではないでしょうか。

私が思う会議は、多様な感性を持つ人が集まって、短時間で多様なアイデアを膨ませることができたり、話し合い中に打開策が見えてスピーディにアクションを定義できたりなど、実はとてもパワフルで仕事を進める上でなくてはならないツールです。しかし、いつの間にか「無駄な会議」の方が多くなりました。

このモヤモヤを解消して、参加者全員を巻き込んで楽しい会議にするために、アバナードの活動の一つであるDigital Innovation Studioでは小さなトライをしてみました。

2時間の短い時間で、会議を活性化するためにすぐ使える手法を体験する会、題して『会議力向上勉強会』を企画しました。社内で何度かトライアル開催して、アップデートを重ねてきた内容を、今日はここでご紹介したいと思います。

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会議活性化のためにすぐ使える小さな手法を実際に体験

もちろん、会議力は2時間の短い勉強会に参加すればすぐ上達できるものではありません。2時間後に参加者は凄腕の司会者になることも目指していません。
タイトルで「ファシリテーション力」ではなく、「会議力」を使った理由もここにあります。

ファシリテーションとは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。

(出典:日本ファシリテーション協会

ファシリテーションを聞くと、複雑で総合的なスキルが必須、たくさんの実践が必要なのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも会議力向上勉強会では小さな手法を学び、次の会議ですぐ取り入れてみると、会議を盛り上げることができます。どんな会議でも、どんな立場で参加しても、誰でもすぐ実践できる。そんなことを目指しています。

そのため、今回は勉強会と名付けましたが、一方的に教える講義ではありません。参加者と一緒に手法を体験して、効果を実感して、そして各手法はどんなポイントがあって、どんな場面で使えるかを解説する流れにしています。

『会議力向上勉強会』のプログラム

この2時間のプログラムでは「リベレーティングストラクチャー」(* クリエイティブ・コモンズ・ライセンスBY-NC-SA:ページ下部注釈参照)という、グループで効果的に議論を進めるためのツール集からいくつかピックアップしてアレンジした手法と、デザイン思考でよく使う手法を合わせて、5つの手法を用意しています。

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1. 場を温めて、お互いを知る手法:クイックアイスブレイク *
会議のアイスブレイクとして使える、一つの質問をして、参加者にそれぞれにチャットに答えを書いてもらって、合図に合わせて一斉に送信する手法です。

2. 発想を逆転して行動に繋げる:トゥリーズ *
現状理解やアイデア発散に使える、あえて「失敗する方法」から考えて、普段ない視点からアイデアを出す手法です。

3. 全員を巻き込んで認識を共有:1-2-4-all *
大人数の会議でも全員が均等に発言できる、個人の意見を2人チーム、4人チーム、最後は全員に共有する手法です。

4. 今すぐアクションに繋げる:15%ソリューション *
時間ばかりかかって何も決まらない会議で特に有効な、小さくてもすぐ取れるアクションを出す手法です。

5. 短時間で広い視点のインプットを得る:ポジティブ、ネガティブ、ポテンシャル
短時間で大量のアイデアを集めたいときに有用な、三つの視点から発想を広げる手法です。

勉強会では用意したお題に沿って、5つの手法をこの順番で解説を混ぜて一通り実施します。

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(画像:勉強会の最後にExcelの共同編集機能を利用して、「ポジティブ、ネガティブ、ポテンシャル」で参加者からフィードバックをもらう時の様子)

お気づきかもしれませんが、トゥリーズで現状理解して、1-2-4-allで重要なポイントを抽出し、15%ソリューションで抽出したポイントに対してアクションを書き出すという流れは、デザイン思考のアプローチで活用される流れと同じです。

この勉強会を実施するもう一つの理由もここにあります。市場が求めるものが多様化し、変化のスピードも速い時代では、ソリューションから考えるとすぐ時代に流され、ニーズに対応できなくなります。課題を自ら発見して、小さなことからアジャイルに対応していく力はとても大事になってきます。そしてこれは全員が身につけるべきスキルだと思います。勉強会を通して体験して、日々の会議で課題は何かを理解し、共感することを意識するだけでも変わります。

最後に

モヤモヤからスタートした小さなトライ『会議力向上勉強会』を社内で実施して、参加者から「実務で使える手法を学べたので実践していきたい」「特別なツールなどは不要なので気軽に今後活用できそう」「実際に体験することと、やったことに対する解説があることでより理解が深まった」などのポジティブなフィードバックをたくさんいただきました。日々の業務での違和感を無視せず、ちゃんと向き合ってトライしてみることは自分だけではなく社内の業務改善にも繋がることを改めて実感しました。

また改善点もたくさん見えてきましたので、今後はこのプログラムをアップデートして、社内広範囲での展開や社外向けの実施も検討しています。新しい手法を取り入れて第二弾も企画中です。

ご興味があればぜひコメント、もしくはこちらにお問い合わせください。


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* リベレーティングストラクチャーの手法は、クリエイティブ・コモンズライセンスと著作者の帰属を明らかにして、活用が可能です。

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Keith McCandless & Henri Lipmanowicz
www.liberatingstructures.com

*「クイックアイスブレイク」(は茶め茶会・Mad Tea Party)「トゥリーズ」(TRIZ)「1-2-4-all」「15%ソリューション」はリベレーティングストラクチャーのメニューを活用した手法です。

* リベレーティングストラクチャーホームページ(英語):www.liberatingstructures.com

* リベレーティングストラクチャーに関する日本語での解説として「図解 組織を変えるファシリテーターの道具箱 働きがいと成果を両立させるパワーツール50」を参考にしています。

* Excelは、米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。

* その他、記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。


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