ディアブロIVの値段はスーファミを連想させるか

最近『ディアブロIV』で弱体化パッチが入ったなどと話題になっているようですが、先月発売されたばかりだったんですね。

最近のテレビゲームは発表されてからの制作スパンが尋常ではなく長いのが普通で、『ディアブロIV』の話題もずいぶん昔に出ていた気がするのですが、筆者はてっきり数年前には発売されているのかと思っていました。

筆者自身は20年ほど前にPlayStationで日本語化された初代を遊んだくちであり、実は名作とされるIIなどは最近になって遊んだという典型的なJRPG世代なのですが、PlayStation 3でも発売されたIIIは世評は芳しくなかったようですし筆者自身も客観的にみて名作とはいいがたいとは評価しているわけですが個人的にはそれなりに楽しめたので、IVに対してはIやIIを超えることはないとしてもいちおう期待はしていたわけです。

あ、そうそう。

ディアブロを知らない人のために簡潔な説明を加えましょう。

ディアブロとは

初代『ディアブロ』は商業的な成功をおさめた最初期のMORPG(ざっくりいえばオンラインゲーム)の一つであり、その後今日にいたるまで続き拡大しつつあるオンラインゲーム市場の先駆けとなった作品ともいえるわけですが、その続編である『ディアブロII』(2000年)が一般には最高傑作であるとされており、その続編である『ディアブロIII』(2012年)は長い時間をかけたわりには凡作であるとして賛否が分かれたという経緯があります。

ただしオンラインゲームは作品であるというよりもサービスであるという特徴があるため、IIIに対する批判は時間の経過とともにある程度の称賛に変化していったといえるでしょう。

そういった経緯もあってかIVに対する期待も大きく、発売と同時に大きな売り上げを達成したということのようです。

ちなみに日本市場においては先述のとおり初代がPlayStation向けソフトとしてローカライズされており、2000年代にかけては事実上唯一の家庭用ゲーム機向けのディアブロとして機能していました。
筆者は典型的なPlayStationユーザーであったので、ディアブロというと真っ先にこれが思い浮かぶのは今日にいたってもまったく変わっていません。

続編にして世界的には最高傑作とされているIIは日本ではカプコンが販売代理店となるかたちで2000年に発売されたようですが、いかんせん当時の日本におけるオンラインゲームやパソコンゲーム市場のマイナーさも手伝ってか大きな知名度を獲得したとはいえないようです。

しかし2010年代以降の洋ゲーの本格的な普及にともない日本においてもディアブロはいつしか主流のRPGの一つとして語られるようになったといえるでしょう。

もちろん日本といえば『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』のような国産RPGの主戦場であり、2000年代にかけてはその独擅場であったといっていいわけですが、ディアブロの普及はかつての国産RPGの相対化を感じさせますし、またRPGというジャンル自体が洋ゲーにさかのぼるという歴史的経緯を連想させるようでもあります。

もちろん国民的RPGに熱狂したこともある世代としては少しさみしい話だなとは感じてしまう部分ではありますが。

スーファミ時代もゲームソフトは高額であった

その期待された『ディアブロIV』ではありますが、日本においてはその販売価格に驚く層も少なからずいるようです。

基本となるスタンダードエディションは定価が9,800円とのことであり、デラックスエディションは12,600円、アルティメットエディションにいたっては14,000円もするとのことで、PlayStation登場以降の安価なゲームに慣れた層にとっては驚くような価格であるといえるかもしれません。

ちなみに2000年代以降のゲーム市場しか知らない極めて若い世代に当時のゲームソフトの販売価格を説明すると、実はスーパーファミコン末期のゲームソフトの販売価格も14,000円程度はしていた記憶があります。

筆者も当時は子供だったので記憶はあいまいなのですが、とりわけスクウェアのゲームソフトは値段が高かった記憶があり、『ファイナルファンタジーVI』や『聖剣伝説3』などは1万円を超えていた記憶があります。

ちなみに話はそれますが、『聖剣伝説3』は当時中古の価格も長期間にわたり高騰していた記憶があり、PlayStationの時代になっても長らくゲーム屋さんのチラシに載りつづけていた記憶があります。

これは背景としては当時の任天堂の殿様商売を象徴していた初心会の存在などもかかわっていたようですが、この話はここで深掘りしてもしょうがないでしょう。

とにかくその後ゲームソフトの価格は1万円を切るのが普通になり、マニア向けのデラックスパックなどが例外的に1万円を超えていた、という感じでしょうか。

基本的に筆者はゲームソフトの販売価格は1万円を切るのが妥当なラインだとは思っていて、スーファミ時代は今考えてみても異常な時代だったんだなとは思うわけですが、最近のゲームソフトはまさにそれを連想させる価格設定になりつつあるようです。

ただし、当時のゲームと今のゲームは概念ごと違っているといっても過言ではないほどにかかる労力もコストも桁違いのものになっていますから、現在においては1万円を超える価格は妥当なものともいえますし、一つのゲームにプレイヤーが費やす時間を考えればむしろ安いとすらいえるでしょう。

当時は一週間もてばいいゲームにみな数千円を支払ってだれも文句は言っていなかったわけですから、今のゲーム開発者は1万円を超えただけで批判されて大変だなとは思いますね(笑)。

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