中華ゲームを遊ぶうえで参考になるリチャード・ストールマン

ハニートラップとしての中華ゲーム

最近のゲーム市場は中華ゲームが一大旋風を巻き起こしているわけですが、一時の流行は過ぎ去ったなどとはいわれながらも、停滞する国産ゲーム市場を横目に躍進を続けていることはだれにも否定できないといえるでしょう。

今知られているタイトルとしては、Yostarの『アズールレーン』『雀魂』『アークナイツ』『ブルーアーカイブ』、miHoYoの『原神』『崩壊:スターレイル』、C4gamesの『放置少女』、NetEase Gamesの『Identity V 第五人格』『荒野行動』、Perfect Worldの『パーフェクト ワールド -完美世界-』『幻塔』、Level Infiniteの『勝利の女神:NIKKE』などを挙げることができ、ゲーマーならばいずれのタイトルもなにがしかのかたちで耳にしたことはあるでしょう。

中華ゲームの特徴としては悪びれる様子もなくパクリをおこなうことが挙げられ、『原神』なども当初はそれで批判されていたわけですが、そうした批判を上まわるような完成度をみせつけられたことから、本場であるはずの日本市場においても一定のシェアを獲得してしまったという経緯があります。

この点に関しては元々日本のゲーム市場も『ブレイクアウト』や『スペースインベーダー』のパクリから歴史が始まっていることからひとのことはいえないという側面があることと、時代の流れとして二次創作が一種の主流になってしまっているということが背景としては挙げられるでしょう。

つまり、真に独創的な作品など今の時代にはありえないわけであり、それを逆手にとるかたちで第一線に躍り出たのが中国企業だったということなのでしょう。

また共産党による規制が強いといわれるわりにはお色気要素を前面に出した作品が多いことも顕著な特徴であり、そういった面でも本場といわれる日本市場においても高い支持をうけているようです。

筆者はこれをみていて、ハニートラップという言葉が思い浮かんだわけですが、もしかしたらそうしたこともこうした作風が許容される理由として挙げられるのでしょうか。中国事情に詳しいわけではないのでなんともいえませんが。

そうであるとするならば、日本人は相当にハニートラップに引っかかりやすい国民性であるということが中華ゲームのシェアの高さから証明されてしまったともいえるでしょう。

かくいう筆者もその一人ではあり、2000年代からその手のゲームには一家言がある人間だったのですが、ある理由からなかなか手を出せずにいるわけです。

それは国家情報法という法律の存在でした。

中国国民の逆らえない国家情報法

おそらく一般の日本人には耳馴染みのない国家情報法という中国の法律ですが、これは習近平政権下の2017年6月28日に施行された法律であり、2010年に施行された国防動員法を一歩推し進めるかたちで制定されたものです。

国防動員法は有事に中国国民の強制的動員を可能にするものであり、昨今の世界情勢を予見させる内容だったわけですが、まさにその世界情勢が情報戦の様相を呈していることからも明らかなように諜報活動は重要であり、それを中国国民に強制させるものが国家情報法だったわけです。

これは世界展開している中国企業も無関係ではなく、会社の意思とは無関係に中国政府への情報提供を要求されれば拒否できないわけであり、表立ってはそうした話は出てきませんが、実際には本国において各国で収集した個人情報の提供を政府に対しておこなっているといわれています。

あのHuaweiの孟晩舟副会長がカナダで逮捕されたのが2018年のことであるということを考えれば、その関連性は明らかであるといえるでしょう。

もちろんHuaweiのような企業とは異なりYostarなどのゲーム会社は日本の文化に憧れた人々によって設立されているので、関係者にそのような悪意があるとは考えづらいわけですが、母国との関係がある以上法律とは無関係ではいられないわけであり、また中国のような権威主義的国家においては権威が全てでありますから、ロシアのプーチン大統領と国民の関係をみれば明らかなように、上のいうことに下は従うという関係性が出来上がっているので、当人たちの意思はあってないようなものだといえるでしょう。
そこが民主主義との違いなわけです。

とはいえ、筆者がただのどこにでもいる一個人であったとするならば、中国企業に個人情報を抜かれたからといって何か困ることがあるわけではありません。
たとえ個人情報を抜かれたとしても、最近の中華ゲームは国産ゲームよりも面白そうだから、ゲーマーならば遊ぶでしょう。

しかし、筆者はこのように発言をする立場なわけであり、公人でもなければ準公人でもありませんが、まったくの庶民として振る舞うことも構造上問題があるといえるでしょう。

ある程度の発言をする者としての、ある程度の公的な立ち居振る舞いというのは求められるわけであり、公的な情報が厳重に保護されるように、個人情報もまたある程度は厳重に保護しなければならないわけです。
もちろん論理的にいえばの話であって、個人的にはどうでもいい話なのですが。

それでも中華ゲームを遊んでみたい、という気持ちはすてきれないわけです。今では国産のお色気ゲームは『ファイナルファンタジーVII』しかありませんから。

そこで筆者が参考にしたのが、ハッカーとして出発しながらGNUプロジェクトを立ち上げたリチャード・ストールマンの防衛策だったわけです。

きわめてアナログなストールマンの防衛策

リチャード・ストールマンといわれても、だれだそれは? となるのが普通でしょうし、かくいう筆者も詳しいわけではないのですが、70年代よりマサチューセッツ工科大学でプログラマーとして活動しつつハッカーとしてコピーライトに抵抗する動きをみせ、それを80年代以降GNUプロジェクトとして本格化させた人物であり、いわゆるフリーソフトウェア(フリーウェアとは似て非なる概念)運動の中心人物として知られています。

そのコピーレフトを推し進める運動は昨今のあらゆるネット上の文化に直接的にせよ間接的にせよ影響を与えており、ネット界隈の一種教祖的な人物といっても過言ではないわけですが、日本においてはこれは二次創作などとも連動する話といえ、また中国企業のパクリとも連動する話とはいえるでしょう(もちろん本来のフリーソフトウェアの理念とは乖離していますが)。

そのようにデジタルな文化の最先端にいた人物なわけですが、実は彼は私生活においてはきわめて保守的でアナログなところがみられる人物でもあり、それはハッカーとしていかなる情報も盗もうと思えば盗むことができるという立場にいたからかもしれません。

個人情報保護の観点から彼は携帯電話やパソコンを使うことに忌避感があるといい、普段はデジタルから隔離されたきわめてアナログな生活をしているといわれています。

筆者はそこまで徹底してはいませんが、そうした生き方は参考になる部分はあり、たとえばパソコンはスマホよりもセキュリティー対策が弱いという理由で情報収集には用いていませんし、なるべくゲームもパソコンやスマホではなくPlayStationなどの家庭用ゲーム機で遊ぶようにしています。

またゲームを遊ぶ時に必要となるメールアドレスをなるべく捨てアドにしたり頻繁にメアド自体を変更したりもしています。

これらは本当に情報を守りたいからそうしているのではなく、筆者の場合には姿勢を示すためにやっているだけであって、実際のところはどうでもいいのですが。

話はそれましたが、中華ゲームを遊ぶために、つまりハニートラップに引っかかるためにどうすればいいのかと考えた結果として、中華ゲーム専用のパソコンとスマホを用意すればいいという結論にいたったわけです。

プレーンな状態のパソコンやスマホに、最低限の個人情報、捨てアドだけを入れて、それに中華ゲームを入れるわけです。

そうすれば全ての情報が盗み放題というわけで、持ってけ泥棒状態のパソコンやスマホであれば安心して中華ゲームも遊べるという算段です。

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