チョベリグは浜崎あゆみか?

先日マクドナルドのテレビCMで池田エライザという女優を起用した内容のものが放送されていたようですが、筆者は最近テレビを観ないのでネットでかじる程度に観ただけです。

それでも強烈に感じる違和感。

池田のギャル自体も筆者には違和感ありありだったのですが、一番違和感を抱いたのは起用された楽曲。

「チョベリグ」といった言葉にあわせるように浜崎あゆみの「Boys & Girls」が流されていたわけですが、たしかにこの楽曲は「平成の歌姫」ともてはやされた浜崎の代表曲の一つには違いないのだけれども、時代が少しずれていないか? という疑問が。

当時は筆者も子供だったので記憶はあいまいなのですが、それでも浜崎が活躍しはじめた頃にはザ・平成は消えつつあった記憶が。

それで気になって調べてみると、やはりというかなんというか、チョベリバ・チョベリグが流行したのは96年ごろのことであり、当時の流行語大賞にもランクインしたそうな。

また当時は安室奈美恵がアムラーといった流行語とともにはやっており、どちらかというとチョベリグは安室と結び付けられる言葉だという印象が筆者にはあったわけです。

ちなみに浜崎がデビューした98年というのは小室ファミリーが流行としては完全に終焉しつつあった時期であり、同年に開催された第40回日本レコード大賞においてはglobeの「wanna Be A Dreammaker」が大賞を受賞したことに冷ややかな声が寄せられた記憶もあります。

当時まだその一員であった安室も小室色からの脱却を図りつつあった時期であり、浜崎の台頭というのは、当時ライバルと目された宇多田ヒカルの台頭とともに小室時代の終焉を告げる出来事として記憶に残されているわけです(ちなみに小室自身が宇多田の歌詞に衝撃をうけて自分の時代の終わりを悟ったと発言したことはファンならば知っていることでしょう)。

その浜崎の(しかも99年に発売された)楽曲とアムラー時代の流行語であるチョベリグが共存させられるということは、当時を知る人々にとっては違和感しかないでしょう。
まったく違うベクトルの話なのですから。

ただし、全ての人間がそのように感じていたというわけではないようであり、人間の記憶というのはあいまいであるばかりでなく現在の自分にとって都合のいいように無意識に書き換えられてしまうものですから、CMの内容を妥当なものとして受け取る層も存在しているようです。

ただし、上記の経緯からも明らかなように、細かな部分をみていけば時系列的にはむちゃくちゃなCMだということがわかるわけです。

さて、そこまで考えたうえでCMを担当した人間はどういう意図でこのような設定にしたのかということにも考えがおよんだわけですが、それでも答えは出なかったので、いくつかありうる話を考えてみました。

一つは担当者がひじょうに若く平成を知らない世代であるということです。
知らないからネットから平成の情報をかき集めた結果としてあのようなCMになったという可能性です。

もう一つはゴリゴリの平成世代であるものの、時系列や細かいことを気にしない性格の担当者であるという可能性です。

もう一つは意識的に時系列を無視して、平成という概念のもとに一つにまとめあげたという可能性です。

もう一つはチョベリグが最初からアムラー世代の言葉だということをわかっていて、安室奈美恵に楽曲利用のオファーをかけたものの、断られて浜崎に流れ着いたという可能性です。
これは楽曲制作の現場において作曲者がどの歌手に依頼するかといった場面でもままある話のようなので、可能性としてはありうるでしょう。

そしてもう一つの可能性としては、今世間から浜崎が嫌われているという背景を知っていて、話題づくりのためにあえて浜崎にオファーしたというものです。
ようするに意図的に違和感を演出したということであり、だれもがアムラーを連想するはずのチョベリグを浜崎にぶつけたということです。

実際にこのCMはいい意味でもわるい意味でも議論を呼び起こしているので、この可能性が事実であるのなら担当者の意図どおりだったということなのでしょうが、仮にそれが事実なら策士にもほどがあるでしょう。

どの可能性が事実に近いのかはわかりませんが、いずれにせよ話題にはなったわけですから担当者の勝利といっていいのでしょう。

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