見出し画像

【番外編】Workatoイベント in Singapore

2023年10月にシンガポールで開催されたWorkatoのイベントに行って来ました。

Workatoカンファレンスの前半は、Workatoの機能アップデートや事例のお話です。
会場は、「パーク・ロイヤル・コレクション・マリーナ・ベイ」という大きな会場でした。
キーメッセージは、「Rewrite your future 未来を書き換える」でした。
良い言葉ですね。

AUTOMATION MINDSETという書籍も出版したようで、単にITツールの機能だけでなく、経営者や働く人達のマインドセットを変える必要がある的な内容のようです。

午前中は、主にWorkatoの各種新機能や今後の新機能のリリース時期の話が主でした。年間700のアップデートがされているとのことです。
スピード感が素晴らしいですね。

今回の主なアップデートは、下記の通りです。

・Workato×OpenAIなどの生成AIとの協業
・コパイロット機能(各種補機能)も2023年10月にリリース予定
・ワークボットGPT
・ワークフローアプリがリリースされるので、簡単なUI画面はWorkatoでも作れるようになる
・インサイト:各データやデータ加工の処理状況を集計・見える化する機能がリリースされる
・walnutIQ(β版):効率化できる例などを提案してくる機能とのこと。まだまだ高いレベルでは無さそう
・その他アップデート(テストの自動化、データ統合のために大規模データを扱うための機能(ファイルストレージ、SQL変換、コネクターでのストリーミング)、APIプロキシ、暗号化)など

◆Workato×OpenAI

2023年6月にopenAIとWorkatoでパートナーシップを結んだとのことです。さらには、他の生成AIベンチャーとも協業していくとのことです。
生成AIを使って何をするのかという部分ですが、何かしらの連絡が来たものを生成AIでうけて、その後のプロセスにつないで、自動で返信する事を目指すという感じのようです。

例えば、顧客からの発注依頼や従業員からの問合せのメールがどんどん届くのを生成AIにて内容を分類させ、(検証が必要)受注システムのDBかFAQや質問回答用のDB/FAQシステムなどを確認し、顧客や従業員に返信するという感じです。
また、在庫の確認依頼を受けて、生成AIがさばき、Workatoを介して、在庫DBを確認し、在庫数値の返信するような事も視野に入っているとのことです。
はじめのメールや依頼のさばきの部分が、生成AIに任されているので、業務で使えるレベルの精度はなかなかでないでしょうから、選択肢を用意して、選んでいくと、依頼内容がしっかり分類され、後続処理を適切に実行するようになると想定しています。

◆「Copilot」機能

「Copilot」機能も2023年10月にリリース予定で、まだまだ100%の精度ではないので、人間が確認するのが前提とのことでした。

例:購買システムと会計システムでの業務自動化の例
・購買システムでサプライヤの情報が更新された際に、「会計システムに連携したいよ」的なコメントを入力すると、データ連携/加工用のフロー/レシピ案が、「Copilot」機能により、自動で生成される特有の列項目などは正しくマッピングされていない可能性もあるので、データ連携/加工用のフロー/レシピ案を人間が確認していき、確定させていくとのことです。また、「購買チームに連絡して」と記載すると、購買部門に通知するデータ連携/加工用のフロー/レシピ案が自動生成されるとのことです。

実際に、プログラム自体も、「Copilot」で、ある程度は、自動生成される時代なので、Workatoに限らず、今後、各種ツールもいまよりは、構築が楽にはなるでしょうね。
一方で、こういった話をすると、AIに仕事が、、、という話も聞きますが、少し想像力を巡らせれば分かるのですが、
if文が複数重なるような処理って、コパイロットへの入力欄で簡単にお願いできるほどの条件ではないので、「Copilot」をうまく活用するテクニックも必要になってくるでしょうし、「Copilot」へお願いする部分と自分で作った方が速いと部分が共存する感じになりますね。あくまで現時点の仮説ですが。

◆ワークボットGPT

ワークボットGPTも、今後リリース予定とのことです。
ユーザーからの質問に、→GPT(判断)→各システムの結果を返すような事を目指すと。
デモ例であったのは、営業部長さんが、「顧客X社は、クロージングしていますか?」と質問すると、GPTが判断し、Workatoでつないで、セールスフォースのデータを確認して、ワークボットGPTで回答するというようなものでした。
顧客名Xをしっかり入れないと、間違った顧客名で検索され、間違った回答が返ってくるので、入力してもらう所に工夫が必要ですね。

◆ワークフローアプリ

Workatoにて、UIを提供することが可能になります。
いったん承認ワークフロー的なものに特化しているとの事でした。

例として提示されたのは、採用時と入社準備の流れで、ワークフローアプリを使うデモでした。採用チームが採用申請をして、マネージャーが承認するような画面でした。
マネージャーが承認すると、そのデータがIT部門にながれ、PCや携帯の手配準備にはいったり、システムアカウント設定をしたりする業務の効率化例でした。

2017年頃に、RPAでの導入をご支援した際にも、同じような業務効率化例はさんざん顧客に説明していたので、「まだまだそんな課題があるんだなぁ」という感じでした。
また、ワークフローアプリ機能が強化されてくると、「コンポーザルERPにも適用」という流れにもなってきます。
ERPの改修費用は高いし、期間も要するので、もっとクィックにユーザーインターフェースを作っていくという流れです。

◆インサイト

Workatoにて、データであったり、フロー処理件数などを見える化できるようになります。
受発注のプロセスであれば、受注件数、受注済み未対応件数などを把握可能になります。リアルタイムで数値が更新されるとの事です。

パネルディスカッション

パネルディスカッションで登壇者の方が話している内容は、ツールの機能の事とかではなく、どのようにして企業の変革させているという内容でした。

自動化とか、AIとか新しいテクノロジーが色々とあるけど、 結局のところ、「本質的には、広い視野でみる事が重要である」とか「目的から考える事が重要である」とか「AIやツールは、道具だなので、XXX」とか。
こういう話って、この業界に長くいると、よく聞く話であり、かつ、日本のITリテラシーが低いから発生している事象かと思ってましたが、
シンガポールでもこんな感じかぁ、たぶん、グローバルでどこも変わらんなぁと感じました。

オフィスツアー、事例紹介

◆Workatoのシンガポールオフィスや他の企業のオフィスを見学

・Workato自社では、1700以上の自動化フローがある。
・Workato自社もSlack上で各種申請ができる。
・部署毎にユーザーにも、本番環境での修正を許可したり、許可しないように環境や権限を区分している。

◆某航空関連の会社の事例

どういった事例だったかというと、
もともとの課題は、従業員の方々が、各種制度やシステムの使い方の問合せが非効率だったり、実際に、システムを使って申請するにしても、各システム毎のやり方を覚えるのが大変だったり、そもそも、現場で働いている方が多いので、オフィスに戻ってきて、PCで申請するということ自体が工数的にも精神的な負荷としても、大変という話でした。

改善後のイメージは、下記の通りです。

従業員(ユーザー)の方々は、各システムにログインするのではなく、某チャットツールにUIを統一しており、そのチャットツールを活用し、各システムへアクセスできるようにしています。

具体的には、例えば、「人事の休暇申請・承認」や「フライト資格の期限の連絡・確認」や「フライトの福利厚生としての時期連絡」などを従業員(ユーザー)がスマホから、チャットで出来るようにしています。

従業員(ユーザー)の満足度も、かなりあがったようです。
こういった従業員(ユーザー)にとっての非付加価値業務の工数や精神的負荷を下げて、彼らの顧客に集中し、より付加価値を向上できる事が重要なんだという事を改めて再認識しましたし、

そういった仕事を生業にしていたり、そういった事を実現するグローバルSaasツールを活用する事の有難さを再認識しました。

具体的なチャット画面のイメージの説明もありました。従業員には、できるだけ入力を減らして、複数の選択肢を提示する形式にする工夫をしているとのことでした。

印象的だったのは、ご説明頂いたプレゼン資料の冒頭で、「従業員体験が良好であれば、従業員は満足し、仕事に取り組み、効率的に仕事をこなすことができる。その結果、収益も向上する」という事を示す資料(ハーバード・ビジネス・レビュー記事)が提示されたことです。

「従業員の体験の満足度を上げていく。なぜならば、ビジネスとは製品やサービス、建物のだけでなく、 ビジネスの中心は人である。企業が人材や働く仕組みに投資・改善し、大切にすることで、多大なリターンが期待できる。 」という考え方を大切にしているとお話されていました。

何のために効率化するのか、効率化の目的は、仕事に取り組みをよりストレスフリ-にする(従業員体験/満足度の向上)→顧客の満足度を向上させる仕事にフォーカスできる という事であり、この事を真剣に目指しているという熱意が伝わりました。

こういう考え方を大切に引き続き、顧客のデジタル化やデータ分析をご支援していきたいと思います。