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属性ごとの動向を探るコホート分析

webマーケティング戦略には、現状把握と分析が重要です。今回の記事では、その指標の一つとなる「コホート分析」という手法について解説します。

コホート分析

コホートは、もともと古代ローマの歩兵隊の単位を指す言葉でしたが、そこから転じて、現在では「集団、グループ」という意味として使われています。
そしてコホート分析とは、年齢や社会的な属性によってユーザーを分類し、「それぞれのグループがどのような行動を取るのか」といった動向を把握するための分析方法を指します。
世代別の消費動向を分析・調査というと一番わかりやすいかもしれません。基本的な年齢や性別での属性分けのほか、「初めて訪問したユーザー」「このリンクからサイトにアクセスしたユーザー」など、ユーザーをどのように分類するかは自ら条件設定できます。

似た特徴を持ったユーザーは同じ行動を取りやすいため、コホート分析からはユーザーの行動傾向について分析でき、将来的にも役立つデータとして活用できます。
様々な属性ごとの行動傾向を把握することは、新しい施策のヒントにもつながりますので、ユニークユーザー数が重要となるメディアサイトなどでもコホート分析は重要視されています。

分析の基本となる3つの効果

どのような要因が消費動向に影響を及ぼしているか、主に3つの効果に分けて分析することができます。

年齢効果

人間の成長過程や加齢に伴って発生する要因が年齢効果です。
長い人生において、様々な経験を経て内面が変化することは当然ですし、家族構成も必ず変化していきます。
10代と50代では、使えるお金や必要な商品はおそらく全く異なりますから、消費動向が全く異なるのも当然です。
このように年齢における影響というのは、かなり大きいものとなっています。

時代効果

高度成長期、バブル期、リーマンショックなど、各年代の社会環境に起因する影響が時代効果です。
新型コロナウイルスのまん延では、世界的に不安定な情勢とステイホームによって経済活動がかなり抑制されました。
このように、コロナ禍が我々の消費動向や行動を大きく変えた一因であったことは記憶に新しいところです。

世代効果

団塊世代、ゆとり世代、最近ではZ世代など、同じ時期に生まれ、同じような社会背景の中で育った人間集団から考えられるグループ分けをしたときに、世代間の認識や価値観の違いが消費動向に影響することを世代効果と言います。
どのような社会環境で育ったかによって、その人の中での「当たり前」が異なりますから、消費行動に関しても世代によるずれがうかがえます。

これらの効果は、コホート分析の根幹となる部分なので、その意味合いに関してしっかりと抑えておくことが大切です。

コホート分析の重要性

コホート分析によって、見込み客の「定着率」(=ユーザー維持率)を予測できることは、以下のように重要な意味を持ちます。

①維持率を向上させる施策のひとつの指標となる

コホート分析で分析できる重要な指標の一つに維持率があります。
「新規に獲得した会員」や「初めてサイトに訪問したユーザー」を時期別に分けておくことで、どれほど顧客を維持できているのかを分析することができます。
例えば「〇か月以上前に会員登録したコホート」よりも「最近会員登録したコホート」のほうが解約率が低いという結果であれば、顧客維持率を向上できていることになります。

商品だけではなく様々な情報があふれかえっている現代、企業が顧客の関心を集め、自社を選んでもらうのは容易なことではありません。
そのため、一般的に新たな顧客を獲得するよりも、既に顧客となっているユーザーの売上を向上させることの方が効率的とされています。
これは、一度顧客になってくれたお客さまはすでに自社に興味を持っている状態であり、リピート購入につながりやすい傾向があるからです。
コホート分析を用いて既存顧客の維持率や定着率を把握することは、重要な指標となるのです。

②キャンペーンの効果を測定できる

コホート分析では、キャンペーンごとの成果を把握することもできます。
キャンペーン別にユーザーあたりの行動や収益が分析できれば、次回のキャンペーンで対策ができ、活かすことができます。
どのキャンペーンにどれほど力を入れればいいかを把握できれば、予算や人員の配分を最適化できます。

③マーケティング施策に役立つ

コホート分析では、ユーザーが離脱するポイントやタイミングを把握することもできます。これは、マーケティング施策を考える際の参考になります。

たとえば、「新規顧客は、獲得◯日後あたりに維持率が低下しはじめる」という事前の動向データが分かっていれば、そのタイミングに合わせて顧客に対し何らかのアクションをとることが可能になります。
また、顧客の減少率を知ることで新規顧客をいつまでに・どれくらい集めればいいのか、そのためには見込み客をいつまでに・どれくらい集めればいいのか、といった分析することもできます。
ユーザーの増加・減少の傾向を把握することは、計画的に新しい施策を考案したり収益の予測を立てたりすることに役立ちます。

まとめ

自社サイトの集客率や売上アップには、継続してサイトを訪問してくれる人を増やすことが必要です。コホート分析を用いてユーザーの動向を正確に把握し、会社やWebサイトへの認知度を維持させるなど、活用してみてはいかがでしょうか。

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