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[体験] ACM SIGGRAPH 2009 見学聴講

投稿2009.08.14 (ほぼ10年前)

(個人的特記事項) 今月上旬(米国時間8月2日から7日)に開催されたACM Siggraph 2009での論文発表や講演などで、特に、個人的に目に付いたものを、以下、ご紹介。

 ACM (Association for Computing Machinery)は米国のコンピュータ関係の学会であり、Siggraphは、その中で、コンピュータグラフィクスとインタラクティブに焦点を当てたSIG(Special Interest Group)で、1967年の発足になる。このACM Siggraphの会議は、1974年に第1回が開催された。現代では、毎年、7月から8月の間で、国際会議(5日間)を開催している。今年は、8月上旬に、ACM Siggraph 2009が、ニューオリンズのコンベンションセンタで開催された。また、昨年の12月には、アジア地区版の国際会議(3日間)も開催されるようになった。昨年、この第1回目(ACM Siggraph Asia 2008)が、シンガポールで開催された。第2回目は、今年12月に、日本の新横浜で開催予定になっている。ちなみに、私は、1998年頃から、今のところ、毎年、米国開催を、見学聴講している(1999年からACM会員)。また、昨年のシンガポール開催も見学聴講した。コンピュータグラフィクスの進歩は、今の映画のほとんどが、実写と区別の付かない映像を実現しているとことからも、実感するだろう。大まかには、1999年から2000年の間に、煙や液体などの流体の表現が、ほぼ確立され、映画に必要な最低限の表現が揃った。現在は、更に、品質を向上させている。リアルタイム表示に関しても、グラフィックカードなどのハードウェアが、同時期に、大きく性能を向上している。また、現在でも、まだ、色々、解決されない色々な課題や、新しい映像メディアへの挑戦もあり、日夜、3DCG技術者や大学の先生や学生が、アイディアや工夫を考え、日々、チャレンジしている状況。その成果は、何と言っても、最新作の映画やアニメに観ることができるので、身近な技術でもある。また、各国に支部があり、シーグラフ東京が、日本支部になっている。その活動の一環として、国際会議終了後、国内向けに報告会などの実施も行っている。

 この5日間の合計で、53件(全体の一部)の発表や講演、上映会、イベントを聴講見学しました。今回、特に印象に残っているものは、下記になります。

【デジタル・セルアニメ制作分野】(3Dモデルからセル画風の画像を生成する技術(事例:、1998年のディズニーアニメ「ムーラン」)は確立しているものの、原画相当を2D上で簡便にモデリングする手法(手描き並み)については、まだまだ現象論のフェーズ)

★Painting With Polygons (Talks: Painterly Lighting)
これは、ディズニーの背景画像へのこだわりだね。大まかには、映画「BOLT」では、ペイント風の背景を採用。そのための3DCGテクニックの紹介。

★A Visibility Algorithm for Converting 3D Meshes into Editable 2D Vector Graphics (Papers: Vector Graphics and Point Distributions)
概要としては、レンダリングの時に、奥行き方向で分けて出力できるオブジェクトやその部分を、レイヤを分けて出力することで、ある程度の編集を可能とする技術。例えば、トラースを前後で分けることで、その穴に棒を通した画像を作ることもできる。Autodesk MayaのAdobe Illustretor EPSファイル出力でサポートされると楽しくなるかな。

★Local Layering (Papers: Vector Graphics and Point Distributions)
これは、2D形状編集のレベルで、棒を通したドーナツを作成すための技術。Adobe Illustraorで使えると便利かも。でも、巻き付く表現が、まだ、出来ないのが、残念。前の発表とコラボすると可能になるのかしら?

【フォトレタッチ分野】(これは、質を問うと、奥が深い)

★Coordinates for Instant Image Cloning (Papers: Visual, Cut, Paste, and Search)
Adobe Photoshopで使えるようにならないものか。

【ゲーム分野】(最近では、ECO(ビジネス的な生態学)まで考える時代になったようだ)

★The Art History of Games (Panels)
ATARIのゲーム機の紹介から始まって、シューティングゲーム分野が議論から抜けてるた感が、、、、と気になった。事後だが、代表電子メールアドレスへ、日本の事例として、上海アリス系の弾幕シューティングゲームを紹介する電子メール(最後に添付)を送ってみた。

【拡張現実感分野】(まだ、センサデバイスやディスプレイがひよっ子なので、なかなか、実用性がついてきてない)

High-Tech Chocolate: Exploring Mobile and 3D Applications for Factories (Talks:Sensing and Display)
iPhoneによるチョコレート工場の遠隔制御の他、仮想現実感(VR)や拡張現実感(AR)まで駆使しているのが凄い! でも、何でって感じもした? 構成情報管理のデータ構造に関しての議論するセッションが合っても良いかと感じた。この工場では、MySQLでデータベース管理をしていると一言の説明のみ。あと、補足として、拡張現実感も提案されてから大分経つもので、機械修理作業で、実写の合わせて、マニュアルを表示させるというアイディアが発して、アイディアだけなら腐る程ある分野と思っても良いだろう。最近のニーズでは、データセンタ内の測定温度分布などから気流をシミュレーションしてその可視化結果を実写に合わせて、作業者へ見せる。これによって。熱溜まりの解消作業に利用するなどなど。何と言っても、現在の課題は、リアルタイム(ディスプレースキャンレートの2倍は欲しく、例えば、60分の1秒単位ぐらい)前提で、センサ、入力やディスプレイなど、用途にあったウェアラブルなデバイスが登場してこないことにあろう。まあ、今回の講演は、iPhoneでARが話題になっていたことと、その仕様の範囲(虫眼鏡を覗き込む程度)で、実現が可能な線で出来てたものだろうが、それを実践してみせた社長さんが、なんとも凄い。

【Pixar RenderManユーザ会】(個人的にユーザなのでピックアップ)

★RenderMan 15, RenderMan foe Maya 4.0, RenderMan Studio 3.0のリリース日程(秋頃)。RenderMan 15から、サーバ1台スレッド数無制限にライセンス緩和。x86のSMPサーバメーカには、大分、朗報って感じだ。なんとか、クラスタよりも、コストメリットが出るように、インテルやAMDも頑張ってって感じ。
Pixarスタジオ(現在、Disneyの一部署)が長年、CG映像制作に使い培ってきたレンダンリングソフトウェア。最初は、トランスピュータをベースにした並列処理装置であったが、途中から、sgi向けのソフトウェア製品となり、現在に至っては、MacOSX, Win, LinuxのOSで動作するマルチプラットフォームになっている。ちなみに、私は、1997年頃(RenderMan 3.1 for sgi IRIX)からのユーザやってます。
★あと、テクスチャ画像などための新しいファイル形式のサポートもあるようだ。これは、ディズニー側の制作からの要望でできたものらしい。でも、マルチレイヤなファイル形式との違いは。何だろうか? Photoshopで直接、いじれると嬉しいのだが。

【ニューオリンズの風景】(10年前のACM Siggraph 2000の開催がニューオリンズ(10年前の風景)だったので、2回目の訪問)

町並みは、10年前と比べて、ほとんど変わっていない雰囲気でした。でも、10年前の写真で見比べると、この10年で、ビルの外装(建て変わっているのかも)が変わっていたり、見つからない場所があったり、路面電車の古い車両(深緑色の車両)や馬車が見当たらなかったりしました。

【余談】

To: The Art History of Games
Subject: My questions for the panel discussion in Siggraph 2009

Dears,

Thank you for the panel discussions in ACM Siggraph 2009, “The Art History of Games”, in 6th, Aug. I am a fun of games from a table tennis, an invader video games. Currently, I like to play massive shooting games with easy mode, and an online game, “GungHo Emil Chronicle Online”. Sorry, I send my questions and messages for the discussion by e-mail, because I can speak English very little.
As my questions and messages, I would like to know why you don’t pick up a kind of a shooting game. I think that a shooting game have a little history from Invader and Galaxian games. However, in the current game package market, major game makers don’t almost release any shooting game, because the business had become to too small or into a long tail market.
So, I would like to introduce an interesting one of the current shooting games in Japan. Massive shooting game by Team Shanghai Alice ( http://www16.big.or.jp/~zun/ ) is famous in Japanese OTAKU market. And I think that they have many art parts of original and unique music and unique visual effects for 2D ( http://the.nerd.jp/blogs/digip/archives/photo/07092301.jpg ). While, I feel very little bad that you can’t have find them, because the site is only in Japanese language.
Major makers have continued to release their game products in category with big business. Where market do new games out of the category go? In Japanese, they have come to OTAKU market as Akihabara game shops, comic market (a major flea market) and so on. Otherwise, many legacy shooting games have been ported as such a mobile application as NTT Docomo i-Appli, and so on, and menus of Wii Console.
So, I think that you should study Japanese market history and eco for games, also.

Thank you.

【余談の余談】

 帰りの飛行機の座席で、一緒になったのは、大分肥満の外人夫婦。通路側を取っていたので、助かったが、、、、手すりを上げていないと苦しい体型(多分、BMI>30)では、追徴金を徴収して、3座席で2人にする方が良いのでは? まずは、グリーン・ニューディール政策で、肥満を減らすことにすれば、その分、食料も消費も減り、移動時の燃料の消費も減り、全く地球に優しいことばかりだと感じた。


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