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「ディグディガ」元ネタ紹介:18.5話

これは、漫画「ディグインザディガー」18.5話公開に際して、原作の栄免建設と漫画担当の駒澤が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。

前半:栄免建設(原作)

◆DJ O-TACK「A-BOY BREAKS」

アニメ、テレビの声ネタなどが収録されたバトルブレイクス。

バトルブレイクス(バトブレ)はDJのスクラッチネタや2枚づかいに使えるビートのループが収録されたレコード。普通のDJのパフォーマンスで使えるのはもちろん、後述のDMCではDJ同士での技術や声ネタの煽りなどで戦う
Battle DJ部門があったりと、現在のようにデータでのプレイが難しかった頃では重宝された品だ。

なかでも、作中に登場した犬が描かれたスクラッチのDJ Qbert監修の「SUPER SEAL BREAKS」や、Shing02の「Pearl Harbor」のBeat提供などで知られるDJ $hin監修の日本語バトルブレイクスシリーズなどが有名。

本作ではA-Boy、つまり秋葉系をテーマにしたブレイクスとなり、有名なアニメやゲーム、バラエティの声ネタが収録されている。しかし発売が2000年台のようでそもそもA-Boyという言葉も死語になりつつあるし、ジャケに「萌」という字が使われていたり、裏面に(;´Д`)ハァハァという絵文字が登場したりと、懐かしい感じの「オタク感」を楽しめる。

アニメのネタも所謂国民的アニメからの収録なので今のヲタクに刺さるかはわからないが、それでも一般的に知られている声が聞こえるので、現在のクラブでも使用することかできると思う。現在はPCDJが発達したため、お手軽に自分でサンプリング、編集して好きな声ネタでスクラッチできてしまうが、今でこそこういうレコードを現場でプレイしたらなかなかに目立ったプレイができると思う。

◆DMC(Disco Mix Club)

1985年から開催されているDJの世界大会。

世界で最も有名なDJの世界大会。スクラッチ、ジャグリング、ルーティンの構成などで競う。一般的にクラブDJはクラブでジャンルによるが1時間前後など楽曲を絶え間なくプレイし観客を楽しませるが、こちらは数分間の間でDJの様々なテクニックを用いてパフォーマンスを行うため、バトルDJなんて呼ばれ方もしている。

昔はアナログのみであったが、SeratoなどのPCDJが普及し、現在ではそちらを用いたパフォーマンスが一般的。ちなみに、Hiphopの枠を超えてメジャーシーンでも活躍しているCreepy Nutsのメンバー・DJ 松永は2019年バトル部門の世界チャンピオンである。

他にもDJ RENAがわずか12歳という若さで世界チャンピオンになるなど、日本代表も多くの輝かしい成績を残している。

印象的なプレイといえば2002年、少ないレコードで様々なジャンルのBeatをプレイするというパフォーマンスでシングル部門日本人初優勝を飾ったDJ KENTAROが挙げられるだろう。今回の投稿タイトルである「NO WALL BETWEEN THE MUSIC」はこのとき最後に用いられた声ネタからきている。まさに音楽に壁がないことを表現した素晴らしいパフォーマンスは必見。

DJ KENTAROはビートメイカーとしても活動しており、2007年には名門≪Ninja Tune≫からアルバム「ENTER」をリリースしている。個人的にはかなり気に入ってる1枚なので是非チェックしてほしい。

漫画内でも登場したが、2012年にシングル部門優勝するDJ 威蔵の2005年のパフォーマンスも圧巻。後半はLinkin Park & Jay-Z「Numb/Encore」を用いているが、このように再生スピードを変え、2枚のレコードを用いて別の曲の夜に作り替えてしまうのもバトルDJの楽しみだ。

現在著名なプロデューサーがDMC出場者であったりするのも面白い。
Fool's Gold主催、A-Trakは15歳の若さで優勝。

アリアナグランデのプロデュースなど日本でも多大な人気を誇るCashmere Catは、DJ finalという名義でノルウェー代表で出演している。

90年台はなかなかに狂ったプレイも見られて面白い。特に1991年のDj Q BertとDJ Davidのパフォーマンスは、今やったら炎上間違いなしでは?(当時でも怒られてないのかなこれ)

正直まだまだ載せていないユニークなプレイも数多くあるので、お時間ある方は是非チェックしてみては。

後半:駒澤零(漫画)

◆下川直哉 - Pure3 Feel Classics Naoya Shimokawa

ゲーム制作会社・アクアプラスの代表取締役兼作曲家、下川直哉が手がけたゲーム・アニメ音楽をクラシックアレンジしたコンピレーションの第3弾。

ゲーム『ToHeart』の名曲「Feeling Heart」や、アニメ『うたわれるもの』の「キミガタメ」など、収録されているすべてが元ボーカル曲である。ジャケットはアクアプラスの原画家、カワタヒサシ描き下ろし。

ちなみにこのシリーズの第1弾は「Pure AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS」、第2弾は「Pure2 Ultimate Cool Japan Jazz」と、プロデューサー下川直哉の楽曲をインストゥルメンタルアレンジで収録することをコンセプトにしている。

下川直哉は山口県出身のゲームクリエイターであり、アクアプラスを立ち上げた人物。Leaf・AQUAPLUSブランドのコンピュータゲームのプロデューサーとして活動しつつ、その多くの作品の音楽を担当している。近年はプロデュース業に注力した作品が多いが、アニメ版『WHITE ALBUM2』『うたわれるもの 偽りの仮面』では音楽監督を担当している。

ちなみにLP盤は、2017年4月26日にSACD Hybrid盤が発売されたことを記念して作られた重量盤2枚組。シリアルナンバー入りの限定生産でAQUAPLUS ONLINE SHOP及びディスクユニオンでのみ販売された。

リリース元のF.I.X.RECORDSのサイトでは発売時、下川直哉による全曲解説を読むことができたが、現在は閲覧不可能となっている。

◆Uztama - 風が凪ぐ

だから4コマの背景に描いても潰れるんだって(学ばない人)!

今夏リリースされたUztamaくんの2ndアルバム。事前にシングルカットされていた「陽炎」をはじめ、客演に先日hirihiriとのEPをリリースしたばかりのlilbesh ramko、SoundCloudを中心に耳のはやいリスナーの注目を集めつつあるa r u k a.など気鋭の面々を迎えリリースされた作品。

爽やかで清涼感溢れる歌モノは本人も公言しているようにそれこそGalileo GalileiやThe 1975からの影響を感じさせ、それに近年の重層的なコーラスワークが絡んでシンプルながら最高の1枚。ていうかこれも好きだけど1枚目のEchoesが好きなので、もっと聴かれてくれ……。

◆松下誠 - First Light

松下誠が1981年に発表した1stアルバム。
シティポップの名盤中の名盤である。先日毛塚先生の漫画アシスタントをしていた時、かかってたラジオでShazamした。

AORが好きな人は是非一回聴いてみてほしい。表題作「First Light」がもう文句なしの名曲で、それこそドライブ中にでも聴くと舞い上がってしまいそうな、ザ・80年代を感じさせる一曲。
作者の松下は松田聖子、SMAP/KinKi Kidsなど大物アーティストのサポートからジャズ、フュージョンまでスタジオミュージシャンとして幅広い経歴を持つ人物。主にギタリスト、アレンジャー仕事が多い。

ちなみに本作の初版は、山下達郎を大ヒットさせたスマイルカンパニー、ジャニーズの小杉理宇造が仕切る≪RVC AIR RECORDS≫から1981年に発表され、彼の独立後に設立した≪moon records≫の最初の作品でもあるそう。

◆bo ningen - BO NINGEN

ロンドン在住の日本人4人で結成されたバンド、BO NINGEN(棒人間) の1stアルバム。ファズとリヴァーヴを目いっぱい効かせたギターと浮遊感一杯に宙を漂うメロディ、あえてとばかりに日本語で歌われる歌詞。その中毒性の高いサウンドは海外での評価も高く、多くのメディアが絶賛している。

これは2010年、そんなデビューアルバムを「再構築」として、全く同じ素材/サウンドを使用して新たにリミックスしたLP2枚組だ。Remixはノイズ界のレジェンドMerzbow。しかも中身は真っ赤なカラーヴァイナル。マジでかっこいいんだよこれが…。

今回のプレイリストはこちら。

以上、ディグディガ18.5話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!


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