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「ディグディガ」元ネタ紹介:第8話

これは、漫画「ディグインザディガー」第8話公開に際して、原作の栄免建設と漫画の駒澤零(と、たまにゲスト)が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。

原作担当:栄免建設

◆CFCF - The Colours Of Life

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CFCFは、カナダはモントリオールを拠点に活動するエレクトロニックミュージシャン。2015年にリリースされた本作は、80年代のイージーリスニングやニューエイジに影響を受けた作品で、音のチープさが特徴。楽曲がシームレスに繋がっているため、アルバムを通してミニマルに展開してゆくのが非常に心地よい。Dip in the Pool・木村達司とのコラボ曲も収録。

CFCF自体を知ったのは「Liquid Colours」(2019) で、そちらはジャングル的な要素もあったりするのですが、本作の続編にあたるそう。

ちなみに、実はディグディガ第1話取材時、Howie Lee「Mù Chè Shān Chū」と同時に購入した、もう一つの第1話候補の作品だったりします。

◆くもみのレコードボックス

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無印良品の、A4サイズ用収納ボックス。幅32cmという大きさがレコードを収納してくれと言わんばかりのサイズ感。10cmの奥行きだとジャンルごとの小分けや、レコードいっぱい入れても持ち運びができるので重宝してます(15cmの方だと移動するには重いです)。購入は下記から。

レコクリン(diskunion)/ レコードクリーニングクロス(NAGAOKA)

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どちらも最寄りのタワーレコードで購入。日本のレコードショップの代表格、ディスクユニオンの公式クリーナー。ユニオンのクリーニングクロスもあるのですが置いてなかったので、レコード針で有名なNAGAOKAのクリーニングクロスを購入。漫画を書いてる段階では発売されてなかったのですが、10月30日に「レコード初心者にもお勧めのスプレークリーニングセットCLSET1」という製品が出た模様。広報アカウントの方にも漫画に反応いただいていて、びっくりしました。

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◆キングギドラ - 見まわそう ・ 大掃除

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日本語ラップシーンにおける重要グループ、キングギドラ(現KGDR)の3rdシングル。メンバーは、ZEEBRA、K DUB SHINE、DJ OASISの3名。同年1996年にリリースされた「空からの力」は日本語ラップにおける押韻を完成させたとまで言われる。今とZEEBRAの声が違いすぎてびっくりするかも。

『大掃除』はT.A.K THE RHYMEHEADを客演に迎えた作品で、ZEEBRAの甘い押韻からなるMCに、K DUB SHINEによる同音異義語を使い数値を数えていくリリックが妙。歌い出しが「この年末!」なので年末のDJでちょくちょくかけています。押韻だけではないK DUB SHINEのリリシストな一面にも注目。

◆V recording

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ドラムンベースの名門レーベル。1993年に創立されて以来、数々のクラシックをリリース、2021年現在でも精力的なリリースを続けている。

100円レコードコーナーでディグしていた時、V recordingの特徴的なロゴに引き寄せられ、クレジット等見当たらなかったが購入。調べたら、どうも1997年に5枚組でリリースされた「V Classic」のうちの1枚のようだ。

しかもこれ、外の表紙は「Plate 3」なのに、中に入ってるのは「Plate 1」。こういう理由もあり100円コーナーに置いてあったのだろう。しかし、収録曲にはまさかのRoni Size「It's Jazzy」!!!ドラムンベース名曲中の名曲。

◆Yellow Magic Orchestra - BGM

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YMOの5枚目のアルバム。1st「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」や2nd「SOLID STATE SURVIVOR」に比べると雰囲気が暗めで、実験的な作風。個人的に僕は2ndまでの楽曲を聴くことが多いが、アルバムとしては1番好きな作品。

BGMというタイトルの由来は「ちょっと距離を置いて、BGMとして聞いてほしい」という気持ちと、過去作を「BGMのようだ」と批評した評論家への意趣返しだとか。爆発的なヒットはしなかったが、坂本龍一のソロ曲を過激にアレンジした「千のナイフ」や一部でハードコアテクノの祖という評価もある「U・T」、高橋幸宏、細野晴臣がYMO楽曲の中でも特に高く評価し、最近では長谷川白紙のカヴァーした「CUE」などなど多くの名曲を収録。

個人的には、日本のヒップホップ史で「RAP PHENOMENA(ラップ現象)」が語られることがあまり見ないのが気になってる。日本語じゃないからかな…?

◆Yellow Magic Orchestra - TECHNODELIC

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BGMの次作。BGMよりさらに実験的で当時登場したばかりのサンプラーを用いたサンプリングミュージックの重要作。またミニマル方面として評価が高い。ディグディガ6話に登場した「体操」は今作収録。個人的に『BGM』よりも、作業BGMに向いている気がするので、今回こんな表現に。

僕がアルバムの中で一番好きな曲は「LIGHT IN DARKNESS」。

漫画担当:駒澤零

◆National Health - Of Queues and Cures

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なんだかんだ私が表題LPを選んだのは初かもです。原作浸食か?

本作は仙台のvolume1.(ver)というレコード屋に行った際に購入したもの。Eric Dolphyのくだりも実話です。以前仙台で展示をした際に伺ったのですが、気さくかつすごく感性が合う店でかなり好きでした。Sun Raもここで教えてもらったような。

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お店を知ったきっかけは名古屋回で私が紹介したバンド・GUIROのRTで、店主のヤッシーさんはGUIRO好きすぎて仙台ワンマンを企画したりラジオで流したりしてる方。強すぎる。遊びに行ったときにお店の中に音リンピック回でお世話になった岸野雄一さんのサインが飾ってあったのを覚えています。

◆Eric Dolphy - Eric Dolphy in Europe, Vol. 1

机の上が修羅場の写真しかなくてごめんなさい。

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Eric Dolphyは、アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン。卓越した技巧と独特のアドリブフレーズが特徴。それまでクラシックの楽器であったバス・クラリネットを、ジャズのソロ楽器として初めて用いたことで知られる。

LAで生まれ育ったDolphyは13歳でクラリネットの賞を獲得し、次々と頭角を現してゆく。1958年にChico Hamiltonのクインテットに参加したことで人気を博すも、2年ほどで脱退しNYに移り、すでに作曲家として著名になりつつあったCharles Mingusのバンドに参加するようになる。以降もMingusや、John Coltrane、Booker Littleなどと共演しながら莫大な量の演奏をこの世に残した。

また功績として、初めて無伴奏のサックス・ソロを録音したことでも知られる。それまでテナー奏者のColeman HawkinsやSonny Rollinsなど、テナーで無伴奏をやる人間はいたが、アルトサックスで行う人間はいなかった。『Far Cry』での「Tenderly」の演奏や、「Love Me」(『Conversations and Muses』)がこれにあたる。

「In Europe」は、1961年彼がMingusのバンドを離れて数ヶ月ヨーロッパに行った際に録音された作品。採番はvolume.1~3まで存在する。私が購入したのはこのうちの1番。デンマークでリリースされた初回プレス盤はプレミア化しているようで、初回盤にはRVG録音を示す「RVG」の刻印がある。購入時の価格は忘れてしまったが、そんなに高くなかったような…。

◆Louis Cole - Time

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絶対すぐ気づかれるだろ!と思ったら意外と誰も指摘しなくて驚きました…

Louis ColeはLA育ち、超絶技巧のマルチプレイヤー、プロデューサー。ボーカリストGenevieve Artadiとのユニット、Knowerとしての活動でも知られる。本作は2018年、レーベルBrainfeederからリリースされたもので、来日公演も行われた。

Funk、Jazz、Electronicの間を高速で行き来しながら繰り出される唯一無二のポップサウンドが魅力。彼の作品だとこの動画が一番好きです。

◆PLASTICS - FOREVER PLASTICO

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ケースにひびが入って嘆息しているコマの元ネタはPLASTICSでした。裏面にも関わらず気づいた人がいて嬉しかった!ちなみにヒビが入って泣きたくなったのは実体験です。私はCDをよく購入するほうだと思うのですが、CDケースに詰めすぎたり棚に入らなくて積み上げていたら雪崩が起きたりで、定期的に不慮の事故が起きてるような…。広い家があればいいのでしょうか。

PLASTICSは1976年に結成のテクノポップ・バンド。日本におけるテクノポップ黎明期の1970年代末から1980年代初頭にかけて活躍し、P-MODEL、ヒカシューとともに「テクノ御三家」と呼ばれる伝説的バンドである。

メンバーは、イラストレーターの中西俊夫、グラフィックデザイナーの立花ハジメ、スタイリストの佐藤チカを中心に結成。結成当初は素人による仲間内のパーティバンドに過ぎなかったが、上記の3人を残し全員が辞めると、プログレバンド・四人囃子のBa、佐久間正英と、作詞家の島武実が加入し、解散まで続く編成となる。

1979年、英Rough Trade RecordsからSg『Copy / Robot』をリリース。日本でもアルバムを2枚発売し、イギリスのアイランド・レコードと契約する。当時は日本よりもアメリカで注目を集めており、Ramones、Talking Headsと同じ事務所に所属し、海外でツアーを行っていたそう。リズムマシンTR-808を導入し自由度の高いプログラミングを行ったり、初期はリズムボックスを担当していた島がキーボードへ映ったりと演奏の幅を広げ、これからと思われていた1981年に突如解散してしまう。何度か再結成をしているが、現在メンバー5人中3人が既にこの世を去っている。

本作「FOREVER PLASTICO」は1988年にリリースされたベストアルバム。「COPY」「TOP SECRET MAN」と言った代表曲はもちろん、POLYSICS、ピチカート・ファイヴなどもカバーした「GOOD」など、1stと2ndの内容をミックスした内容となっている。ベスト盤なのに、なぜ最後のアルバムとなった3枚目からの収録がないのかというと、3rd『Welcome Back Plastics』は1st、2ndから厳選した10曲を再録音したアルバムだからだろう。

時代を先取りしたパンクでニューウェーヴ色溢れる楽曲は、今聞いても色あせない魅力を放っており、女子大生の駒澤の着信音になるなどしています。

◆きゃりーぱみゅぱみゅ - キャンディーレーサー

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私のTLで最近「きゃりーぱみゅぱみゅの新譜がガバらしいぞ」と話題になっていた新作AL。リードトラックどおり「原点回避」した本作は、持ち前のきゃりーのポテンシャルを活かしながら、サウンドの本気がヤバい。世間的には、どちらかというと派手さだけがフィーチャーされてきた彼女のタレント性について、すごく忠実に寄り添っているアルバムで素晴らしかったです。サウンド面も最近の流行を一通り押さえながら、音楽ファンだけが楽しめるものじゃなくて、ちゃんと丁度いいポップネスへと落とし込まれている。

最近はfemme fatale、平井堅と、"いまのメジャーシーンを牽引するElectronic系の作曲家"というポジションがヤスタカからケンモチヒデフミへと移行しつつあるように感じてましたが、そんな中での貫禄と威厳を見せつけられたような気持ちになりました。勝手に。

そういえばケンモチさんといえば水カン復活しましたね…!

◆岡村靖幸 - 靖幸

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岡村靖幸は1965年生まれ、兵庫県出身のシンガーソングライター。レコード会社にデモテープを持参し、19歳で作曲家として活動開始。渡辺美里のレコーディングの空き時間に踊っていたダンスをプロデューサーに見初められたことで1986年に歌手デビュー。武道館で初ライブを飾る。

2005年に覚醒剤使用で所属事務所と契約終了したのち、何度か再逮捕となるが、2011年「ぶーしゃかLOOP」の無料配信を皮切りに復活。リアレンジアルバム『エチケット』をリリースした後は精力的に活動し、TVアニメ『スペース☆ダンディ』主題歌「ビバナミダ」や Base Ball Bear小出祐介、DAOKOなどのコラボ楽曲などを発表している。自分はこの時期に知りました。

本作『靖幸』は1989年7月14日リリースの3枚目のアルバム。この辺りで、彼の作風とも言えるファンキーでエロティックな世界観が確立したように思える。アルバムはジャケット・歌詞カード共にピンクで統一されており、ジャケット裏面には「Peach」と題して、岡村の呟きと思われるポエム調の雑多なメッセージの羅列がある。「笑っていいとも!」出演時に登場したプロモ盤は、ハート型の特殊仕様CDケースに収納されているそう。欲しい!

このアルバムの曲だと「だいすき」(8thシングル)が一番好きなのですが、漫画を描いた後に(11/7のライブ)で長谷川白紙くんがこの曲のカバーをしていてかなりびっくりしました。しかも岡村靖幸らしさをちょっと泥酔したような歌い方で表現していて、結構ガツンと来てしまった。余談です。

◆パソコン音楽クラブ - See-Voice

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今年10月にリリースされたばかりの、パソコン音楽クラブの3ndアルバム。
弓木英梨乃、川辺素(ミツメ)、ayU tokiO、Tokiyo Ooto(And Summer Club)、unmo、Sagesaka Tomoyuki(isagen)と今までで最も多いゲストボーカルを迎え、収録曲数も最多。

前作『Night Flow』が夜の道を散歩してるうちに朝の陽が差し込んでくるアルバムだとしたら、本作はもっと懐かしく、内省的な気持ちにさせてくれる作品だと思う。タイトルが「Sea(海)」と「See(視る)」をかけていることは公式HPでも語られているが、その名の通り静かな海辺に佇んで、ぼうっと景色を眺めているような錯覚に陥る。パ音の作品は初期から一貫して情景的だとわたしは思うが、本作はその視覚的な豊かさと多くのゲストが与える色がうまく融合し、一本の映画のように結実した作品だと言えるだろう。

解説というか普通にレビューを書いちゃってますが、いいアルバムなのでぜひ一度聴いてみてください。あと何度も言ってる気がしますが、パソコン音楽クラブの存在なしにわたしと栄免さんは出会っていない為、パ音は実質「ディグインザディガー」の生みの親ともいえる存在です。ℒ𝒪𝒱ℰ………

今回のプレイリストはこちら。

以上、ディグディガ9話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!









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