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イギリスで、グリーン経済移行は£710億の効果を期待。

ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2023年02月01日に、イギリス非営利団体ECIU(Energy Climate Intelligence Unit/エネルギー・クライメート・インテリジェンス・ユニット)が2023年01月31日公表した最新報告書で、グリーン経済(green economy)への移行はイギリス経済に年間£710億のGVA(Gross Value Added粗付加価値)をもたらし、地域間の格差解消にもつながるという見方を明らかにしたと報告した。

この報告書はCBI(Confederation of British Industry/イギリス産業連盟)が委託を受けてまとめたもので、炭素排出量の実質ゼロを目指す「ネットゼロ(Net zero)」経済の規模と、地理的な集中度を分析している。

それによると、ネットゼロ経済への移行により生み出される付加価値はエネルギー部門の2倍に上る。

また移行に関与する企業は2万社を超え、84万人の雇用を支えている。

これら企業の従業員1人当たりのGVAは£11万2,300とイギリス平均の1.7倍で、生産性も高い。さらに、平均賃金は£4万2,600とイギリス平均の£3万3,400を大きく上回った。

一方、ネットゼロ経済への移行に関連したビジネスが集中する地域は、スコットランド(Scotland)、イングランド北東部タインサイド(Tyneside, north-east England)、ハンバーサイド(Humberside)、北西部マージーサイド(North West Merseyside)などで、ロンドン(London)やイングランド南東部(South East England)に比べて地域経済の成長への貢献度も大きい。

報告書は、ネットゼロ経済への移行により、工業の衰退で経済が悪化した地域の再活性化やイギリス経済の生産性向上が見込めると説明。一方で、グリーン技術(Green Technologies)などへの投資拡大で世界的な競争が始まっているとも指摘する。

競争激化に関しては、米国のIRA(Inflation Reduction Act/インフレ抑制法)への懸念がある。同法では気候変動対策分野でUS$3,690億の支援が予定されている。与党・保守党議員で先にネットゼロに関する報告書をまとめたクリス・スキッドモア(Rt Hon Chris Skidmore MP)はこれについて、「イギリスは後れをとっている」と述べた。また最大野党・労働党(Labour Party)や産業界からも、政府に対してIRAに対抗できる支援策を求める声が出ている。

https://eandt.theiet.org/content/articles/2023/01/green-transition-could-bring-71bn-to-the-uk-economy-cbi-finds/
https://eandt.theiet.org/content/articles/2023/01/uk-lagging-behind-rivals-on-green-growth-cbi-warns/
https://eandt.theiet.org/content/articles/2023/01/china-s-total-2022-smartphone-shipments-at-lowest-level-for-10-years/
https://www.businessgreen.com/opinion/4066293/green-growth-propeller-uks-future-competitiveness
https://www.businessgreen.com/news-analysis/4066328/race-net-zero-delivering-gbp71bn-uk-economy
https://www.businessgreen.com/opinion/4066293/green-growth-propeller-uks-future-competitiveness
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/183417/Enabling_the_transition_to_a_Green_Economy__Main_D.pdf

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