ハワイ州法は、長年にわたる天文学の行き詰まりを打破する可能性がある。

Nature Briefingは2022年05月14日に、先住民の権利と天文学が衝突してきたマウナケア山(mountain Maunakea,)を、ハワイ先住民を含むグループが管理することになった。

ハワイ州は、世界有数の天文台が立ち並ぶマウナケア山の山頂を管理する新たな方法を確立した。

2022年07月07日にハワイ州知事が署名した法律により、ハワイ大学は望遠鏡が設置されている土地を監督する主な役割から外され、ハワイ先住民を含むより幅広いコミュニティの代表からなる新設団体にその責任を委ねることになった。

マウナケアの望遠鏡の将来をめぐって、お金がないということで、何年も行き詰まっていたハワイの天文学にとって、このシフトは前進の道筋を示すものだと多くの人が期待している。

2015年以降、ハワイ先住民の一部が断続的に山頂への道を封鎖し、主に天文学的発見のための巨大な集光鏡を持つ次世代天文台「TMT(Thirty Meter Telescope/30メートル望遠鏡)」の建設開始を阻止してきた。この座り込みは、先住民にとって神聖な土地でありながら、科学を含む目的で使用されてきた土地の管理について、先住民が発言する権利について幅広い議論を巻き起こした。

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マウナケア山の新しい管理機関は、ハワイ先住民を山の管理方法の決定に参加させ、相互のスチュワードシップと次世代のためにマウナケアを保護することに重点を置く予定である。そのうち1名はハワイ先住民の文化的伝統の実践者であり、もう1名はマウナケアに関連する文化的実践者の子孫でなければならない。また、天文学、教育、土地管理、政治などの分野からも代表者が選出されている。

ハワイ先住民の長老で、マウナケア山での道路封鎖を手伝ってきたノエ・ノエ・ウォン・ウィルソン(Noe Noe Wong-Wilson)は、「私たちは長い間、自分たちの意見を聞いてもらうために戦ってきたのですから」「新しい組織にとても期待している」と話す。

ハワイ大学(University of Hawaii)は1968年以来、マウナケア山頂周辺の土地の大部分を管理している。

天文学に焦点を当てた科学的保護区を運営するために、州から65年間のリース権を与えられている。

マウナケア山頂は標高が4,200mもあり、夜空が安定して暗いため、天体観測には理想的な空模様である。大学は現在、複雑なサブリース、許可、その他の契約を含むすべての管理業務を、2028年07月01日までに新しい当局に移管しなければならない。ハワイ州マノアにあるハワイ大学の天文研究所のダグ・シモンズ所長(Doug Simons, director of the university’s Institute for Astronomy in Manoa, Hawaii.)は、「とてつもなく大きな変化の出番と、それに伴う不確実性があります」と言う。

未来への道

マウナケア山は、文化的慣習や天文学のほか、観光、狩猟、環境科学など、さまざまな目的で利用されている。現在、13の天文台があり、そのうち2つは山への影響を軽減するために廃止の方向で進められている。

この新法は、マウナケア山周辺の行き詰まりを打開するために、州議会下院議長のスコット・サイキ(The new law emerged from a proposal by Scott Saiki)が提案したものである。マウナケアの管理について変更を提案するワーキンググループを立ち上げ、最終的にハワイ大学を第一管理者として外すというプランにつながった。

ハワイ州ワイメアにあるW.M.ケック天文台の渉外担当副所長リッチ・マツダ(Rich Matsuda, associate director of external relations at the W. M. Keck Observatory in Waimea, Hawaii)は、「このグループが成功したのは、相互尊重の枠組みを確立したからだ」と言う。「これまで、文化対科学という図式がよくありました。」「それは誤った二分法であり、攻撃的な考え方です。異なる知識体系やものの見方は、互いに対立する必要はないのです。」

この法律では、天文学はハワイ州の政策であるとしている。「マウナケア山頂に2つの10m望遠鏡を持つケック社のチーフサイエンティスト、ジョン・オメーラ(John O’Meara, chief scientist of Keck, which has two 10-metre telescopes atop Maunakea)は「ハワイ州は天文学が重要であり、州は天文学に投資し、さらに特別な場所であるマウナケアを管理することに投資すると言っているのです。」「楽観的であるべき理由です。」

望遠鏡の運命
まだ多くの段階が残されている。まず、マウナケアの新しい管理当局を構成する人物を特定し、知事が任命する可能性が高い。そして、大学がこれまで監督してきたすべての管理・運営業務を引き継ぐための組織を立ち上げる。また、州議会は、初年度に割り当てられたUS$1400万以上の資金を提供する必要がある。

そして、TMTの問題も残っている。TMTは建設許可を得ているが、山の緊張を考えるとまだ建設には至っていない。2021年11月、米国の天文学・天体物理学分野の資金調達の優先順位を決める10年ごとの調査で、このプロジェクトは前進するよう勧告され、大いに後押しされた。

米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は現在、このプロジェクトに資金を提供するかどうかを検討している。米国、中国、カナダ、インド、日本のパートナーとともに望遠鏡を完全に建設するには、十分な資金がない。

NSFが推定US$8億をかけてTMTに参加することを決定した場合、望遠鏡の少なくとも4分の1の時間が米国内の観測者に開放されることになる。また、望遠鏡の建設がマウナケア山に与える影響について、連邦政府による審査が開始されることになり、作業を開始する前にこれを完了させる必要がある。

少なくともウォン・ウィルソン(Wong-Wilson)にとっては、TMTの議論は今のところ続けることができる。「テーブルから外れるものは何もないのです」と彼女は言う。

doi: https://doi.org/10.1038/d41586-022-01926-2

そういえば、マインツのグーテンベルグ博物館(Gutenberg Museum)、グーテンベルグ協会(Gutenberg Gesellschaft)も、お金がなくなった。そして、全財産の管理権をラインランド・ファルツ州に譲渡することで、再生した。

もちろん、私が所属した学部も、その中に含まれている。

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