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インドで、日本の企業が牛糞尿由来エネの調査事業に乗り出した。

アジア経済ニュースNNA ASIAは2023年11月21日に、日本の産業ガス大手のエア・ウォーターはインドでバイオエネルギー事業に乗り出すと報告した。

私は、ネパールや中国で牛糞尿由来発電を紹介したことがある。

家畜糞尿由来のバイオメタンの生産・供給に向けた調査事業として、NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organisation/新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する脱炭素化・エネルギー転換に関する国際実証事業に採択された。牛の飼育頭数が世界有数のインドで、脱炭素化に貢献するバイオエネルギーのサプライチェーン(供給網)構築を目指すと伝えいる。

ただし、牛のゲップと屁には大量のCO2が排出される。以前オーストラリアで牛のゲップと屁に対して反対運動が起こったことがある。

その時考えられたのは、牛のゲップと屁を採集し、エネルギーにすると言うことであったが、その後については聞いていない。

2023年10月13日に、実証の実現性や普及可能性を検証する「実証要件適合性等調査」の実施予定先に決まった。
2023年度のインド案件としては初の採択となる。

活用されていない家畜のふん尿や農業・食品廃棄物を原料に、自社技術を活用してバイオガスからバイオメタンを精製する。

バイオメタンは液化天然ガス(LNG)の代替燃料として、調理や工場稼働向け、CNG(Compressed Natural Gas/圧縮天然ガス)車の燃料として供給することを想定している。

エア・ウォーターの担当者によると、インドの牛の飼育頭数は3億頭とされ、ふん尿由来のバイオメタン生産における潜在性が高い。インドには同社の産業ガス事業の基盤があることに加え、CNG車の普及によるバイオメタンの需要も想定できることから、インドでのバイオメタンのサプライチェーン構築に向けた調査事業の実施を決めた。

エア・ウォーターは北海道十勝地方で乳牛のふん尿由来のバイオメタンを生産・供給する実証事業を展開しており、2024年04月以降の事業化を目指している。
北海道には乳牛82万頭がいるとされ、仮に全てのふん尿を活用した場合、北海道のLNG需要の約半分をまかなうことができるポテンシャルがあるという。

■事業化、最短で29年度

インドへの技術移転に向けた調査事業費として、NEDOが最大2,000万円を拠出する。2023年12月以降に実際に調査を開始し、来年9月末で終了する。審査を経て認められれば、実証前調査に進む。その後の審査を経て、26年4月以降に実証研究を実施。最短で29年度以降に事業化を目指す。

12月以降に開始する調査では、バイオマス関連の可能性を探る。具体的には、原料の入手可能性や現地の利用状況、ニーズなどを複数の地域で調査すると言う。

構築を目指すサプライチェーンは地産地消型。牛のふん尿は安定して入手できることから、主な原料と想定している。農業廃棄物も原料に活用できるため、農家の多い農村部での事業のポテンシャルが高いとみている。

インドで家畜ふん尿は堆肥や固形燃料として活用されているが、メタン発酵技術を使用することで堆肥化と比較して温室効果ガスを約8割削減できる。稲わらを原料とすれば大気汚染の原因となっている野焼きの削減に、食品廃棄物を原料とすればごみ・水質汚濁の低減に貢献することも期待できる。原料となる家畜ふん尿を酪農家から購入することで農村部での副収入を創出することも可能だ。

事業化が実現すれば、インド全土の複数地域でサプライチェーンを構築することを想定する。エア・ウォーターの担当者は「なんとしても事業化したい」と意気込みを語った。

経済成長が進むインドは、エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出で世界第3位でもあり、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が進んでいる。農業大国であることから、バイオマスの活用にも積極的だ。今年インドで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では2023年09月09日に、インドとシンガポール、バングラディシュ、イタリア、米国、ブラジル、アルゼンチン、モーリシャス、UAEが主導する「GBA(Global Biofuel Alliance/国際バイオ燃料同盟)」が始動した。各国と連携してバイオ燃料の生産と使用を推進していくと伝えている。

東京農工大学の澁澤栄教授の研究グループは、モンゴルやチベットでは牛の糞が大切な燃料であり、それを科学的に処理することが可能になったと話している。

2023年04月14日---テキサス州の酪農場の爆発で18,000頭の牛が死んだ。
2019年06月11日---稲わらからバイオガス、フィリピンで世界初の施設開所へ。
2018年12月13日---バイオガス発電による電力を固定価格でドールに供給する。
2018年05月08日---台湾の漢翔、中央畜牧場とバイオガス発電で。
2017年09月25日---台湾で、食品残渣利用のバイオガス発電所を6年で3カ所を計画。
2016年05月23日---豆腐作りから、再生可能エネルギーのバイオガスを開発!
2016年04月14日---中米コスタリカで、食肉処理場のふん・臓物からクリーンガス。
2015年11月03日---国連、途上国の衛生改善とインフラで、人間の排せつ物発電を提唱。
2013年12月19日---高松で、うどん発電を開始。
2013年10月25日---人的廃物をエネルギーに変えるトイレ・システム。
2012年08月29日---TOTOが排せつ物で動く「トイレバイク ネオ」を披露!
2012年06月25日---中国の鶏糞電力を供給する鶏経済学!
2011年12月02日---ネパール、雌牛糞生物ガス専門知識を外国へ輸出!
2006年10月24日---レストランなどで残った食べ物を再利用し、エネルギーに再転換する実験Biogas Energy Projectを発表。
2006年03月03日---東京農工大学の澁澤栄教授の研究グループは、牛糞と複数の金属触媒を入れた容器に30気圧の圧力をかけ、摂氏300度まで加熱した状態に置き、牛糞100gあたり約1.2gのガソリンを作ることに成功した。
2004年09月04日---宇宙空間などで作業する宇宙飛行士のは排泄物を食べ、それをエネルギーにして飛び立ち、宇宙で悪臭とともに廃棄する完全自立型糞尿処理ロボットを開発。

https://products.awi.co.jp/ja/industrial
https://www.g20.org/ja/media-resources/press-releases/september-2023/gba/

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