講談社がアマゾンジャパンと直接取引を始めた。

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日本経済新聞 電子版は2021年07月17日に、講談社が、過去に電子書籍を巡り対立した「宿敵」アマゾンジャパンと直接取引を始めたと報告した。

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急速に縮小する紙の出版市場から、アマゾンの流通網を生かして在庫などのコストを圧縮する。

同時に小学館、集英社の大手3社で手を組み、デジタル化に対応した流通システムづくりも進めており、出版業界を守るための「二正面作戦」に乗り出している。

問題は、出版業界の高齢化。

https://time-az.com/main/detail/75206

講談社は「講談社現代新書」「ブルーバックス」「講談社学術文庫」の既刊本について、アマゾンと直接取引を始めた。

直接取引によって、本が届くまでに日数が短くなり消費者の利便性が増すだけでなく、輸送や仲介にかかるコストが削減できるとみている。
それは、独自に路線開発しないと、完全も乗っ取られる路線であり、先行きさらに苦しくなる可能性のほうが高い。

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書籍や雑誌の流通は、取次会社が出版社と書店の間に入る形で配本・返品を担ってきた。

取次、出版、書店が利益を分け合う構造は1940年代から続いていたが、デジタル書籍の登場、スマートフォンやタブレット端末の普及でビジネスモデルが崩れつつある。

出版科学研究所(東京・新宿)の統計によると、2020年の紙の出版物の推定販売金額は約1兆2237億円で、ピークの1996年の半分以下に落ち込む。

市場の縮小で流通コストの負担が重荷になるなか、体力で劣る中小の出版社はアマゾンとの直接取引にかじを切っている。

直接取引をする出版社は20年で3600社以上と、1年間で700社近く増えた。

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直接取引では出版社はアマゾンへ出版物を納入、アマゾンが電子商取引(EC)サイトで購入した消費者に届ける。アマゾンは全国に独自の物流網を持っており、「直接取引は在庫量が適切になり、欠品を補充するためのリードタイムも短くなる」と出版社のコスト削減にもつながる。

ただ従来の流通構造の一翼を担ってきた講談社はアマゾンとの直接取引をしてこなかった。アマゾンが電子書籍の定額読み放題サービスを始めた16年には、直後に講談社の人気作品が突如として読み放題の対象外となり、「配信の一方的な停止に対して強く抗議する」と収益の分配を巡って対立した経緯もある。

インターネット通販が主流となり、書店で売れ残った本を出版社に戻す「返品率」は書籍で3割程度、雑誌では4割程度で高止まりが続く。トラック運転手などの人手不足による物流コスト上昇もあり、取次大手の日販グループホールディングスとトーハンは雑誌返品業務の協業を始めるなど、事業環境の厳しさは増す一方だ。

講談社が過去の対立を水に流し、直接取引に乗り出したのは、従来のビジネスモデルが限界に達している証左ともいえる。

ただ講談社はアマゾンの軍門に下ったわけではない。アマゾンとの直接取引を始める一方で、業界全体の書籍流通のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも乗り出している。

年内にも小学館、集英社に加え、丸紅と連携して共同出資会社を立ち上げる。AI(Artificial Intelligence/人工知能)を用いた効率的な配本や、RFID(無線自動識別)機能を持つICタグを活用した在庫管理システムの構築・書籍推奨サービスなどを提供する。2年後をめどに資本金を100億円規模にし、中小出版社の出版物などの流通も請け負う予定だ。出版主導の取り組みで、従来のビジネスモデルでも稼げる姿を描く。

講談社の20年11月期の単独決算では、電子書籍や版権収入が紙の雑誌や書籍販売を初めて上回った。紙の一段の需要低下は避けられない。グローバルなプラットフォーマーと手を組みつつ、自らが主導権をとって出版業界を支えられるか。難しい戦いが始まっている。

そして、日本の労働者のかなりの割合がアマゾンに管理されるようになることだろう。

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