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ベトナムで、高速鉄道の貨客兼用は合理的。

アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年11月10日に、ベトナムの新聞「VNエクスプレス(VnExpress/Vietnam Express)」は2022年11月09日に、ベトナムで2030年代初頭の一部開業を目指す、首都ハノイから南部ホーチミン市を結ぶ南北高速鉄道を旅客・貨物兼用とする新たな計画案に、専門家の間でおおむね支持する声が広がっていると報告した。

ベトナムは海岸線に沿って縦長の国であり、貨客兼用とすることで経済効果が高まるとともに、地場企業が整備工事に参画できる余地が広がると期待される。

計画投資省と運輸省が合意した最新案は、設計最高時速を250km、実際の運行時速を180~225kmに設定している。完成時には7分半間隔で運行し、1日当たり270本が南北間を行き来する計画で、年間の旅客数は1億6,300万人、運搬貨物は6,500万トンを見込む。総投資額は US$648億(約9兆4,000億円)になる。

運輸省は当初、US$587億を投じて最高時速320kmの旅客専用列車を整備する案を示していたが、貨客兼用を提唱する計投省の意向に歩み寄り、貨物列車の運行に合わせて最高時速を抑えた。

新たな案についてラ・ゴック・クエ元運輸次官は、「貨客兼用とすることで物流コストが節減できる。時速300kmを超えても乗客しか乗らない列車は、力の持ち腐れになる。」と支持した。ラ・ゴック・クエ元運輸次官によれば、旅客と貨物輸送で鉄道が占める比率は現在は1.5%にとどまる。トラック輸送への依存度が高いことで、物流コストが周辺国の2倍の水準に高止まりする要因になっているという。

PDI(THE PLANNING AND DEVELOPMENT INSTITUTE/計画開発研究所)のダン・フイ・ドン(Dang Huy Dong)所長も、貨客兼用により経済合理性が高まるとみている。空路によるハノイ―ホーチミン市間の移動は、フライト前後も含めれば5~6時間かかるため、最高時速225キロで運行する高速鉄道との差は大きくない。高速鉄道の運賃を格安航空券の75%、貨物料金は航空貨物の40%程度に抑えれば、航空輸送に対して競争力を持つことができるという。

新たな計画案では、全線開通時の高速鉄道の収益は、駅ビルなどの不動産収入も加えれば年110億米ドルに達し、政府の補助が必要なくなると見込まれている。

ラ・ゴック・クエ元運輸次官は、設計最高時速を250キロに抑えることによりベトナム企業の整備工事への参画の道が開けると期待している。300キロを超える当初案は高度な技術が求められるため、「外国企業に依存せざるを得なくなる」と指摘する。

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