来たれ、はみ出しもの

突然の思いつきにより同人誌をつくることにしました。今年8月の発行を目指しています。

グループとしての名称は『短詩パーティー Stray Dogs』です。

私を含めた5〜10名程度のメンバーによる短詩型文学作品を掲載する「遊び場」または「実験場」としたいと思います。

発行の費用は私が全額出資する考えでいますが、その分メンバーには何かしらの協力を要請します。

募集する予定のものは下記の通りです。

(1)川柳・短歌・俳句の連作(自由テーマで20句・首構成)
(2)川柳ノワール(恨み・妬み・嫉みをテーマにした川柳連作、10句)
(3)短詩に関するメンバー座談会(橋元含めて4名程度)
(4)エッセイ(テーマあり、2,000字程度)

明確に決まっているのは現状ここまでです。

近々プロのデザイナーである知人に相談する予定です。表紙イラストを手掛けていただく方についても目星をつけており、これから交渉させていただきたいと考えています。

「パーティー」という言葉をあえて持ってきたのは「その場で集まった人々で、わいわいパーティーが出来たらいいな」という思いがあったからです。そして、同人誌の個性にあたるはずのジャンルを、俳句でも短歌でも川柳でもなく「短詩」としたのは、自分達の「遊び方」まで固定したくなかったからです。

そういうわけで、『Stray Dogs』はグループというものよりもっとずっとゆるいつながりでありたいと思っています。

正直なところ、「組織」としてあれこれかっちり決めた方が運営はしやすいのですが、私は昔からこの「組織」というものに強い忌避感を抱いています。

何故か? 人と人との集まりが、団体あるいは場として固定してしまうと、必ず発生する問題があります。「馴れ合い」と「古参の権威化」です。私はこれらが大嫌いなのです。

この10年程の間、私は趣味を通していくつかのコミュニティに出入りしてきました。結論から言うと、私はそれらのいずれにも長居は出来ませんでした。「お前に協調性がないからだろう」と言われればそれきりなのですが、ならばこちらからも言わせてもらうとすると、つまりこういうことです。

「風通しのいいコミュニティなんて全然ないじゃん」

いずこの世界にも「同じものを愛好する者はみな仲間です。我々はあらゆる人を歓迎します」などと言ってコミュニティの間口の広さと自分達の人当たりのよさを強調する人はそれなりに見受けられるのですが、彼らの言い分を真に受けて内部に踏み込んでみると、徐々に居心地の悪さを感じ始めます。

主な原因が上述の2点です。前者は自分も「染まる」ことで無視することも出来なくはないのですが、後者はそれだけでは対処しきれず、やがて大きな問題へと発展します。コミュニティの代表者というものはいかに平等を謳っていても、貢献度が高い古参のことはごく自然に特別視しているものです。内部でトラブルが発生した場合には新参者より古参の言い分を信頼して彼らの意向に沿ったコミュニティ運営を行います。「組織」の維持は「組織」の健全さを保つことより優先されるのです。

「組織」を守るために少数派の意見を封殺し、多数派の希望にのみに応える「運営」とやらが、私は嫌いです。とはいえ、「組織」を守っていくことが大変なことであるというのも理解しています。そもそもの話、私はコミュニティの中心にいたことがほとんどないので、現場の苦労や本音はわかりません。実情を知りもしないであれこれ批判するというのは、はっきり言って見苦しい。私とてすすんで醜い人間でありたいとは思いません。

いつまでも他者に期待ばかりしていないで、自分で楽しいと思える場をつくろうではないか。その思いを強くしたことが、今回のパーティー発足のきっかけになりました。

私はコミュニティというものに対して不信感を募らせながら生きてきたので、自分から堅苦しいことをいちいち取り上げたくないと思っています。

が、自分もある種のコミュニティ(便宜上そう呼びます)を立ち上げる以上、綺麗事だけで凌ぐのはもう不可能です。よって、いくつかの決まりごとくらいは定めます。

『Stray Dogs』はメンバーを固定しません。その都度参加者を募集します。正規メンバーがリーダーしかいないバンドのようなものです。我々はあくまで楽しいことをしたいだけの『野良犬』です。「所属」という制度がない以上、どうか所属意識には囚われないでいただきたいと思います。

私が求める『野良犬』の条件は「自らをはみ出しものだと認識している」こと、もしくは「これまでは他人の言うとおりにおとなしく生きてきたが、これから大いにはみ出していきたいという欲求を抱えている」こと。それだけです。

他の団体や結社に入会していても構いませんし、これまで短詩とは無関係な人生を歩んできた方でも歓迎します。

我こそは『野良犬』だと主張する人は受け入れる考えでいますが、以下のいずれかに該当する方にはオススメ出来ません。きっとあなたを満足させられないからです。

(1)鍛錬の場を求めている方(ここは遊び場ですのでよそをあたってください)
(2)ちやほやされたい方(経歴や実績によって特別扱いはしません、あしからず)
(3)教えたがりの方(自分で自分の場を設けて、そちらでやってください)
(4)創作活動は好きだが他人の作品を読むのは嫌だという方(メンバーの作品を読み合うつもりでいるので、きっと退屈すると思います)
(5)普段の筆名とは別の名義で活動したい方(後ろめたいことがある方とは本気で遊べません)
(6)お金も出せないし手伝えないという方(どなたにも必ず何かしらの方法で関わっていただきますので、ご納得いただけなければ今のうちに回れ右してください)
(7)「コンプラだのポリコレだのいちいち気にしていたら面白いものなんてつくれないよ」と本気で考えている方(居心地の悪い思いをさせる可能性が高いとあらかじめ伝えておきます)

また、以下の行為は禁止とします。

・セクハラ
・パワハラ
・差別
・暴力
・アウティング
・人格否定
・誹謗中傷
・法的に禁止される行為

『Stray Dogs』は「不寛容には不寛容」という姿勢を徹底して貫きます。

『Stray Dogs』は「はみ出しものによるパーティー」ですが、我々『野良犬』は法律を破ってまで自分の欲求を満たそうとする考えは拒絶します。

法を守り、社会の中で今の自分に出来ることをまっとうする。地味であっても穏やかな生活を営む。あらゆる理不尽に屈しない。これこそが人間力を培う方法であると私は信じています。

芸術とは、表現とは、結局は人間がつくりだすものです。堕落した人間が、稀に表社会で重宝されることがありますが、それはあくまで「娯楽」として消費される存在となっただけです。消費される存在は決して尊重はされません。使い潰されておしまいです。

汚いものを詩のモチーフとしたり、荒っぽい言葉を積極的に使用すること自体は否定しませんが、それだけでは少しも芸術とは呼べません。それは「他人と違う視点を持っている」(という認識でいる)自分に酔いしれているだけなのです。そして、自分に酔いしれているうちは決して面白いものはつくれないでしょう。

芸術のために我々がなすべきこと。それはまず「生き延びる」ことです。他者を尊重し、自分と向き合い、堅実な生活を手放さない。一方で、「当たり前」とされていることには常に疑いの目を持つ。生き残るための手段として、我々はこれらのことを徹底していきます。

『野良犬』の間でトラブルが発生した場合、解決のために1000%私が介入します。「個人間のトラブルには介入出来ませーん。自分で勝手にやってね⭐︎」などと抜かして突き放すということは絶対にしません。付き合いの長さや同性であることなどを理由にどちらかに肩入れしたりもしません。出来れば何事もないことを願いますが、どうにもならないことはしばしば起こるものですから、先んじて宣言しておきます。

いい年をした大人の中にさえ、「中立」というものを「問題の当事者に肩入れしない」とか「傍観する」ことだと履き違えている人が散見されます。これは大きな間違いだと私は思います。

たとえばある集団の中でハラスメント問題が発生、露見した場合、当事者間が対等な関係であることはまずあり得ません。必ず上下関係があり、どちらか一方の方が強い力を持ってます。そこで代表なりそれに準ずる立場の人間が「傍観」に徹したらどうなるでしょうか。力の強い方が弱い方を、多くの場合周囲まで巻き込んでまで、力ずくで押さえ込んで勝つのです。

集団の代表的な立ち位置にある人間が「当事者間の問題に関与するわけにはいかない」という意見を表明するのは、つまるところ「面倒事に巻き込まれたくない」という本心を隠すための言い訳でしかありません。私には他者を害してまで守るべきものはないので、ダサい言い訳は一切せず、あらゆる問題に真剣に向き合う覚悟でいます。

私は楽しいことがしたいという、ただそれだけの思いからパーティーを立ち上げることを決意しました。だからといって無責任な立場でいようとは思いません。

『Stray Dogs』は悪意によって結びつきを深めることを否定します。楽しいパーティーを悪口で染めるのはやめましょう。時々、仲間に自分と同じ価値観を強要しようとする人がいますが、私はこうした姿勢も否定します。あなたはあなた、他人は他人です。「◯◯さんと仲良くしないで」などと言って他人の交友関係を縛ったり、気に食わない人間の社会的信用を落とすために悪口を言いふらすといったような無様な真似は、はたして自由を愛する『野良犬』に相応しいものでしょうか? 答えは明白でしょう。

私は年齢・性別・経歴・居住地域を問わず、様々な『野良犬』を歓迎したいと思っていますが、過去に私を含む『野良犬』達を誹謗中傷していた人物や、そうした人物を拒絶することなく受け入れてきた人々は『野良犬』として認めません。

自分を正当化してまで他人を傷つける人はもちろんのこと、理由は何であれ他者の加害性について見て見ぬふりをしてきた人もまた加害者だと思っているからです。どうしてもと言うのならばまずは謝罪。そこからではないでしょうか。

いろいろうるさいことも書き連ねましたが、すべて私の本心です。それでも『Stray Dogs』に興味を示してくれた方、是非ともこのパーティーに加わりたいという方は、私のXアカウント(@digi_hashimoto)へDMをください。一緒に遊びましょう。アイデアも募集しています。

あまりにも参加希望者が集まらない場合は私からパーティーの招待状を送りつけるかもしれません。あしからず。





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