ホワイトムース-06

近未来建築診断士 播磨

ホワイトムース-06

遠藤氏はため息をつきながら指をふる。
ホワイトボードモニターに帳簿が出た。
確かに微増している。
「ちなみに、こっちが利用者数」
隣に折れ線グラフが並ぶ。
月々の利用者を示すその線は、わずかな上下動を描いていた。
増えてもいなければ、減ってもいない。
「ウチはご存知の通りカプセルホテルなんでね。お客が増えないと、電気代が増える事はないはずなんですよ」
成る程。売り上げと電気代を比較しておかしいと気付いた。
そのおかげか、上がり始めてからそこまで時間が経っていない。
グラフを見ると、電気代が上がり始めたのは2ヶ月ほど前からとなる。
「外壁にコンセントがあって、そこから盗まれるって事もないですね」
「無いねぇ」
二人で監視カメラを見る。
外壁側にコンセントはない。清掃はロボットに任せているので、そもそもコンセントの必要性は薄いのだ。
やっぱり建物、それも目に見えない部分に原因がある。
漏電の疑いは強かった。

【続く】

サポートなど頂いた日には画面の前で五体投地いたします。