見出し画像

エルデンリング第1周目を終えて

我が敬愛するフロムソフトウェア謹製のアクションロールプレイングゲーム「エルデンリング」。
その一周目を完了しました。以下ネタバレと考察前回でお送りするのでご注意ください。

1.総括

面白かったわー! 良いもん見れたわー!!
ただ長い! スタートからエンドまで延べ210時間近くの旅で、まだまだ遊びつくしていない要素もあるようです。この長さ! 物語を追いかけるにはちょっと難があります。

具体例は以下の通り。
はじまりの地であるリムグレイブで出会う魔術師セレン。
彼女にはまともに話ができる「セレン」と、囚われて拷問されている「セレン」の二人のセレンがいます。
おなじエリア内、まぁ多少距離は有りますが十分同じステージと言えるところにこの二人がいることに、当初混乱を極めました。バグか。踏んではいけない何かを踏んでしまったのかと。焦り、落胆までしました。

ところが後のイベントでこれは正常な状態だったことが分かります。
この「後」のタイミングがもうめっちゃ「後」。レベルで表現すると、二人の「セレン」に合うのがレベル20くらいなんですが、真相が分かるのがレベル100になるくらい。

トリガーとなるイベントとの兼ね合いを考えると仕方が無いと言えなくもないですが、もう少しイベントの密度というかヒントが欲しかったところです。

フロムソフトウェアのソウルシリーズ、あるいはソウルシステム系の物語は、アイテムテキストが世界観の多くを語るデザインとなっています。しかし現在生きている人々のことがアイテムテキストにうたわれる機会は稀なので「あれ、こいつ誰だっけ?」となることもしばしば。ボスや伝説の類はアイテムを見に行けば固有名詞や来歴が確認できるだけに、いま生きている人との繋がりはもう少し強いと有難かったですね。

2.システム

従来のソウルシリーズのシステムを踏襲しつつ、新たに加わった「ジャンプ」「戦技」が大きな柱となった印象です。本作の戦闘バランスの基幹はこの2つが担っていると言ってもいいでしょう。

が、私は使いきれませんでした。
なにしろ過去作の続きのつもりで遊ぶもんだから戦闘中に飛びはせず、魔法使いだから戦技も使いませんでした。魔法と戦技が同じパワーソースであるFPを使用するので、魔法の手数=火力の魔法使いの自分はともかく戦技を忌避していました。
さすがにラスボスに挑むころにはジャンプや戦技の使いどころを見極めるくらいにはなっていましたが。

現状のゲームバランスにとりあえず不満はありませんが、あえて挙げるとしたら上記の点です。
とはいえ近接をしない魔法使いに有用な戦技を出すということは遠距離で有効な戦闘スキルを出すということ。下手を打つと接近戦が無用の存在になってしまうかもしれません。それを考えると、仕方ないかなとは思います。

2周目はガチガチの近接戦ビルドで行きたいですね。

3.ステージ

オープンワールドの名に恥じない広さ。と言いたいところですが個人的には広すぎだと感じました。
始まりの地であるリムグレイブやその隣の超難関ステージのケイリッドは隙間がパンパンに詰まっており、前者は飽きさせず後者はもう勘弁してくれと言いたくなる土地でした。
しかし続くリエーニエは泉と崖、丘陵の連続する広大なステージですが、点在する施設やダンジョンのつながりが薄く、見つけづらいという印象。中盤の山場であるアルター高原もリムグレイブの完成度には少し劣ると感じます。最後の領域である巨人の山嶺や聖別雪原は広いばかりで、ストーリーを感じさせる遺物はあるもののゲーム的に面白い部分は希薄でした。

まとめると、自分個人としてはもう少し小さめにまとまっていると嬉しかったかなという所。

4.ストーリー

「氷と炎の歌」の作者J.R.R.マーティンが本作の神話時代の物語を担当したということで、愛憎と欲望が渦巻いていそうな半神達がこれでもかと描かれております。プレイ中は「えっぐ」「やだ……かっこいい……」「ないわー」などの独り言を量産させられました。

個人的な推しは「星砕きのラダーン」。
英雄ラダゴンと魔法使いレナラの息子。重力の魔法の使い手。大剣2刀流を使いこなす巨人。幼い時から一緒だった愛馬と最後の時まで共にいたいと願う繊細な心の持ち主。こんな人が空から降る流星を重力魔法で迎撃したっていうんだから惚れるなっていう方が無理でしょう。

逆に言うとこれ以外の人たちが残虐、非道、愛憎、同性誘拐同衾とひどいプロフィールのオンパレードなので推しようが無いのもありますが……。モーゴットはいったいなんなんだよ……。外なる神の影響受けただけじゃないだろ……。

というわけでデミゴットの人物描写は大満足。大いに楽しませていただきました。

しかしこれで終わらないのがSF巧者のフロム流。そもJ.R.R.マーティンがSFとファンタジーのあいの子のような短編小説を書いている時点で予感はしていましたが、本作は個人的にSFファンタジーだと思っています。

なにしろ本作では、星だの月だの宇宙の暗黒だのが重要なキーワードになっているのです。見上げている空にひかる星が本当に「我々が知っている宇宙の星」で無い可能性はあるにはありますが、それはとりあえず置いておきますが。

上述のラダーン撃破後、彼の存在が押しとどめていただろう流星群が世界に降り注ぐ。
アイテムテキストでたびたび語られる「外なる神」。
作中世界の前史時代に隆盛を極めた文明を滅ぼした「悪意ある流星」。
デススターのような筋がくっきりと刻まれた巨大な月。
太陽がないのに明るい空。
SFとラヴクラフト的宇宙暗黒物語がこの物語世界の端緒になっているのではないかと思われる要素が行間にびっしり詰まっていて、オラ興奮して鼻血が出そうだぞ!

エンディングは3パターンあるようなのですが、今回自分が迎えたエンディングのタイトルがその名も「星の世紀」。これから恒星間宇宙にファンタジー箱舟が旅立っていきそうな余韻のエンドロールでありました。

過去作に同じく、この物語の真相は明らかにならないままでしょう。
ですが良くできた不親切な小説であるところのエルデンリングは、プレイすればするほどこの世界観をはっきり見せてくれると信じています。

ゲームの舞台の狭間の地の外、どうなってるんだろうなぁ。

5.未来へ

アーマードコア6が出るんですよ。
なんか太陽系外惑星らしいんですよ舞台が。
エルデンリングの宇宙ともちょっとくらい、縁がありそうですね?
アーマードコア6の舞台であるルビコン星系第3惑星から見上げた遥か空の星が、ひどく金色に輝いて見えませんか?
楽しみつつ楽しみにしたいと思います。エルデンリングとアーマードコア6を。

我が人生の彩に、金色のエルデンリングの輪が加わりました。

サポートなど頂いた日には画面の前で五体投地いたします。