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シーズンと体力。

 一時期の最悪の状況は脱したマドリーだが、年末3試合は引き分けが多く、なんとも後味の悪い感じ。バレンシア戦での熱量、クラシコでの守備陣のソリッドさなどポジティブな面もある一方で、攻撃で中核を担っていたアザールの怪我による離脱で圧倒的な火力不足も顕在化した。前半戦の流れを確認したうえで、個人的に気になるところをいくつか述べたい。

前半戦

 まずは簡単に前半戦で起こったことなどを夏から少々確認。

 夏の移籍市場ではロドリゴ、ミリトン、メンディ、アザール、アレオラが加入。特にアザールはニューギャラクティコとして迎えられ注目の的に。プレシーズンではアセンシオを失い、負けが続く。早くから今シーズンを不安視するような記事も。開幕戦はクロースのゴラッソなどで完勝するものの、その後のバジャドリード戦ではマルセロ、クロースが不甲斐なく、3連覇メンバーの限界を感じる部分もあった。CL初戦のPSG戦では相手のゴールネットを2度揺らしたものの完敗。ジダンの解任論まで出てくる始末だった。しかし、PSG戦後のセビージャ戦では相手に枠内シュートを1本も打たせないという完璧な守備をみせる。守備の安定はチームに安心感をもたらす。メンバーにも変化が…右WGではロドリゴの起用が増え、中盤ではフェデリコ・バルベルデが台頭。アザールも徐々にコンディションを上げ(痩せて)チームの状態は上向き。チームのバランスが良くなったように見える。負けた場合、非常に危うい状況に陥る危険性のあったガラタサライ戦も乗り越え、その後は大量得点の試合も。

 守備を安定させ、個と個を結びつけてバランスの良いチームづくりを行ったジダンの手腕は見事だったが、スタメンとサブの間でのクオリティの差も顕在化。PSG戦でアザールが負傷してから攻撃陣は尻窄み。マルセロの負傷も重なり左サイドでの打開力が低下。メンディも守備では貢献を見せるも、最後のクオリティの不足感は否めず…結果的に右サイドでの攻撃に偏りが見られ、これがカルバハルへの極度の依存につながる。それら全ての流れからの年末の3試合という印象。 

中盤の層

 よくぞここまでこの中盤の層で前半戦を終えることができたなと思うと同時に、層の薄さは不安要素。フェデの台頭やカゼミロの安心感、クロースのゲームメイク、モドリッチの要所での活躍。シーズン最初にトップ下ながら献身的に守備をしてくれたハメス。何とかやりくりして年末を迎えられた。ただ、実質的には中盤は4枚。各個人の疲労度は高いように思う。特にフェデは存在感を発揮する代わりに疲労も蓄積している。中盤の構成が変わってからチャンスの質、数ともにプラスの方向に向かってはいるもののシーズンをこの中盤だけで乗り越えられるかというと疑問。冬にカゼミロの控え、もしくは中盤のスタメンと遜色ないレベルのインサイドハーフを連れてきたいところ。(ジダンさん、頼むze…まずは放出からだな…)

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守備陣の奮闘

 クルトワの安定感、カルバハルのハイレベルな仕事。ヴァランも調子を上げてきており、ミリトンもフィット。メンディは攻撃面では物足りない部分はあるものの守備面でマルセロを上回るものを見せている。個人的に気になるのはラモス。クラシコで素晴らしいクリアを見せたように重要なシーンでの集中力は素晴らしいものがあるが、バックパスのミスや不要な飛びこみなど例年に増して差が激しい。良くも悪くも彼の図抜けた能力に大きな舞台で頼ることは必至。彼が昨シーズンのアヤックスとの1stレグのような傑出したパフォーマンスを出せるかどうかが重要だ。(打算的なイエローはダメです😡)もう1つ気になることがあるとすれば、右SB。オドリオソラがカルバハルのバックアッパーを満足にこなせない状況はチームにとっての負担。ナチョが復帰したのは朗報だが…

イスコシステムと決定力不足

 PSG戦でいきなり使われたイスコシステム。PSG戦ではうまく機能したものの、その後の試合では徐々に下降線。クラシコはイスコシステムというよりはイスコにアザールの役割をやらせた印象。スペースが広がる強豪との試合では彼のキープやターンが効いてくるが、引いた相手を崩すことができないジレンマ。あくまでアザールがいない間のオプションか…ここからジダンがアザール復帰後にどうしていくのか見守りたい。

 決定力不足という言葉はその単語だけで物事を片付けられるようにみえるが、実に多くの要素が絡んでいるように感じる。チャンスの質、疲労、メンバーのバランス。今のマドリーは負傷者の離脱がチャンスの質、疲労の蓄積量に関わっている。アザール、マルセロの2人は左サイドの攻撃を奏でていた重要な選手であり、彼らの離脱がそのままチームに響いていることは言うまでもない。アザールの離脱の穴を埋めるためにスタメン起用されているイスコやヴィニシウスは共にアザールと比べると大きく見劣りする。アザールが今まで1人でこなしていたプレーに対し、イスコやヴィニシウスをサポートするべくベンゼマがアザールがいた時よりも多くの仕事をこなしていることも大きく影響している。ベンゼマのプレー自体はさらに成熟しているのは間違いないが無理がきくような歳ではない。疲労は溜まってしまう。控えとして獲得されたヨビッチはポストプレーもこなすことができ高度なシュート技術を持ち合わせているものの、孤立しがち。(ジダンもまだモ◯タロールを任せるのには早いかな…と思ってそう。)どこかできっかけをつかむことができるといいのだが…

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 唯一、シーズンを戦う上で嬉しいことはジダンがすでにこの段階でチームの最適解を見つけていること。怪我している主力が復帰したときにジダンの真価が問われる。(前も言った気がする…)

 一方で、アザール、マルセロが復帰すれば…と誰もが思うのは、彼らの疲労度を軽減するときに使われるサブの選手のクオリティが足りないことを暗に示しているともいえる。オサスナ戦のようなターンオーバーができるようになるとチームもシーズンを戦えるようになるのではないだろうか。勿論、怪我のような運要素の部分も大きく関わってくる。その中で、どれだけうまくやりくりしながら仕上げていけるかが重要だ。(息子といわれるルーカスがいないのが意外にきついのかなぁと思ったり…)


 マドリーには未来がある(確信)。ロドリゴ、フェデ、ミリトン、メンディ、ヨビッチ...ほかにもレンタル先で活躍している選手たち。ただ、あくまで今の、今シーズンの結果を求めたい。

昨シーズンの二の舞などごめんだ

 

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