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起死回生

カディス戦、シャフタール戦と負けを重ねどんよりとした空気に包まれていたマドリーだったが、土壇場で持ち堪えカンプノウから勝ち点3を持ち帰った。クラシコでの勝利でマドリーはチームの立て直しに成功しただけでなく、バルサを奈落の底へと突き落とした、、、は言い過ぎなのだが、ダメージを与えることはできた。数日前に「毎日さらに悪くなる:マドリーは崩れ落ち、、、そして土曜日にはバルセロナだ」といった悲観的な表紙だったMARCAの今日の表紙は¡SUBIDON!(上昇!)である。チームにとっていかに重要な勝利であったかは、ジダンのインスタグラムの投稿を見るだけでもわかるはずだ。

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チームの状況的に重要な試合であっただけでなく、対戦成績上でも大きな勝利だった。今日の勝利によってマドリーはクラシコの対戦成績で勝ち越し、クラシコ全試合における勝利数を97とした。その上、今回の試合でもメッシに仕事をさせなかった。メッシがクリスティアーノ退団以降クラシコでゴールを決めていないことをいじるような報道も出ており、マドリーには余裕すら生まれている。数日前までは絶望に包まれたマドリーに余裕が生まれているのだから、フットボールとは奇妙なスポーツだ。

試合展開

前半は一進一退の攻防が続いた。マドリーは前半4分に24本のパスをつなぎスピード不足のバルサの最終ラインをフェデの裏抜けとベンゼマの完璧なパスで攻略。フェデがゴール左隅に素晴らしいシュートを突き刺した。しかし、その3分後にはアンスファティがクラシコ最年少ゴール記録を塗り替えるゴールを決めるなど、オープンな試合展開も予想された。しかし、その後はメッシの決定機やベンゼマの決定機などあったもののスコアは動かずに時間が過ぎていった。無観客で昼間に行われたクラシコは独特な空気が立ち込める普段のクラシコと比較すると迫力に欠けていたものの、選手たちは気迫のこもったプレーを見せた。とりわけマドリーは前の2試合の低パフォーマンスを全く感じさせない素晴らしい集中力を見せた。

前半終了間際にはナチョが負傷。交代を余儀なくされ、代役をルーカスバスケスが務めることに。また、後半にゴールを決めたフェデも負傷交代をし、モドリッチが代役を務めた。これらのポジションはもともと層が薄く、特にフェデはスタメンで素晴らしいパフォーマンスを見せていただけに残念な交代となってしまった。後半では VARによりマドリーにPKが与えられる。このVARについては物議を醸しており、クーマンもこのVARの判定には激怒。VARがバルサには恩恵をもたらさないことや、今回の判定によってバルサが崩れたことなどを述べ、さらには今回の判定についてだけでなくヘタフェ戦やセビージャ戦の判定についても言及しておりかなりの不快感を示している。ただし、バルサが大きく崩れたのはこのVARの判定ではなくクーマンの采配によるものだった。

クーマンはアタッカーを大量に投入し、チームのバランスを自ら破壊してしまった。チームのバランスが崩れ攻撃面での怖さも半減。特にアンスファティがいなくなったのはマドリーにとっては大きかったのではないだろうか。さらにアタッカーを入れるためにブスケツやアルバを削ったことで、中盤がすっぽりと空くようになった。その空いたスペースをクロースやモドリッチが自由に使い、アルバのいなくなった右サイドではバスケスが躍動した。マドリーとしてはクーマンの迷采配に助けられた部分もあるが、結果的にモドリッチのダメ押しの得点もあり3−1で完勝した。

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マドリディスモ

クラシコで感じたのはやはりラモスの存在の大きさである。時として彼のキャラクターがマイナスに作用することもあるが、彼が不在の時にマドリーが魂の抜けたチームのようになるのは周知の事実である。単純に守備者としての能力が傑出している上に、リーダーとしての才覚が凄まじい。クリスティアーノがいなくなってもセルヒオ・ラモスvsメッシという構図でも持たせることができるほどの存在なのである。またマドリー の中では唯一前に出て潰すことのできるCBであり誰とコンビを組むにしてもタイプ相性的に必要なのも間違いない。ヴァランやミリタオはカバー型であるし、前で潰すことのできるナチョは怪我がちでやはりラモスに頼らざるを得ない。今シーズンのマドリー の運命を握るのもやはりセルヒオ・ラモスなのだろう。傑出した守備者としての能力とパードナリティでマドリーを今シーズンも引っ張り続けることだろう。

「セルヒオがどういう存在なのか、何を代表しているのか、単に選手ということだけではないということを我々は知っている。ポジティブなのは彼はいつもピッチに立ち、いつでも彼が自分たちのチームにいて欲しいと思っている。彼が誰よりもそうだろうがチームのことを考えると私は嬉しい。」

試合後にジダンは上のようにラモスについて述べている。それほどまでにマドリーにとって大きな存在なのだ。しかし、ラモスがいなくなると難しくなるのは大きな問題である。ラモス、カゼミロ、ベンゼマ、クルトワはジダンにとって特にアンタッチャブルな存在のように見受けられる。しかし、クルトワはともかく他の3人の誰かが欠けたときにも結果を残していけるようなチームを構築する必要はあるだろう。ジダン自体がローテーションによってチームをうまくコントロールしながらチームの一体感を作り出していく監督であるからこそ、控え組の選手のクオリティは重要になってくる。

クラシコでフェデ、ナチョの代役として出てきたモドリッチとバスケスが共に素晴らしいパフォーマンスを披露したのは素晴らしいことだ。特にバスケスに関してはキャリアの中でのベストレベルのパフォーマンスであり、クロース、ラモスへのアシスト未遂、メッシのドリブルを止めるなど攻守において大きな役割を果たした。マドリー 下部組織出身ということもあり、チームへの忠誠心も高い。ラモスがバスケスのクロスを決められなかったときに残念がることもなく、ロングフィードを警戒して自陣へと走って戻っていったのは集中力の高さの証左だろう。このような控えの選手がいるとチームにとっては大きい。ナチョの負傷によりSBとしての先発出場も増えるだろうが、好パフォーマンスを継続して欲しいところだ。

クラシコという壁は越えたが、次にはCLが待っている。前節にシャフタールに負けており、今節は絶対に落とせない。クラシコ勝利の勢いを継続するためにも是が非でも勝利を掴みたいところだ。集中力を発揮し"CLのチーム"たる所以を見せて欲しいものだ。

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