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2021.10.28 オサスナ戦-引いた相手の崩し方

相手を圧倒した中での引き分けほど後味の悪い試合結果はない。特に今回の試合では崩せていないわけではなく、何度か決定的なチャンスは訪れていた。ベンゼマのポストに当てたシーンは圧倒的な個の力によるものだが、特にマルセロが入ってからの時間は飛び込んでおけば…というシーンが何度かあった。しかし、これらの点については今後の連携の向上、認識の共有によって改善はできるはず。悔しい引き分けとはなったものの、ドン引きした相手に対しての攻略方法を見せることができたのは収穫ではないだろうか。リーガでは今節のような試合はこれからもあることは容易に予想できる。その中で勝ち点をこぼさず確実に勝ち点3を得るには今日のような試合を展開し決めるところで決め切る必要性があるだろう。

今節のスタメンはオサスナ相手にはほぼ最適解だったが、ハマっていなかったカマヴィンガが下げられロドリゴが入れられた後半頭がベストな布陣といえるのではないだろうか。前半ではカマヴィンガとアセンシオ両方が左利きで右サイドということもあり、マドリーの左サイドに比べて明らかにぎこちなさが見られた。カマヴィンガ自体もボールを足元で受けてプレーするのが好きなタイプでありリーチの長さからの守備も素晴らしいが、IHよりもアンカーの方が良さが生かされるのではないだろうか。また、IHの場合でもおそらく左のIHであれば、右よりはボールを隠しやすく彼にとってはやりやすいのではないかと思われる。もちろん、左にはクロースがほとんどの試合でいることを考えるとなかなか難しそうではあるが...アンカー起用になった場合は、カゼミロほどシンプルに捌かないので周りが合わせるのに少し苦労しそうではあるものの、カゼミロの負担軽減を含めチームの新たなオプションになると考えられる。

話が逸れたが、ドン引きをしてくる相手に対してはアセンシオなどのトップ下系の選手は有効に働くと考えられる。今節もボールの引き出し役になったりカウンターの起点になったりと随所で持ち味は出せており、フリーにしてミドルシュートを打たせることができれば、チャンスは生み出せていたのではないだろうか。本人自身もかつてのようにポジションに縛られず、自由に動きながらスペースを見つけるなどしており、自身の最適の場所をついに見つけたように思われる。トップ下系の選手はいわゆる間受けがうまく、相手の組織をポジショニングだけで破壊することができるため、アザールやイスコも該当すると言えるだろう。また、右WGでは最近好調のロドリゴが最適だ。彼の縦への突破は分かっていても止められないレベルに成長しており、ゴールへの意識も高くベンゼマに次ぐ第2のストライカーとして振る舞うことも可能だ。クロスの精度も高く、ヴィニシウスとの両翼で相手を撹乱することができる。成長著しいヴィニシウスはカットインだけでなく、縦に抜けてからの左足のクロスも武器になっており、ここにアセンシオやロドリゴ等が入り込んでいくことができればチャンスは増える。この両翼に加え、アザールやベイルが後半から出るなどして変化をつけていけば、相手も対応が難しくなるだろう。出場試合数は相変わらずだが、シーズン序盤に見せたオフザボールの動きなどベイルの意識の改善は見られており、マドリーでのラストシーズンとなることも予想されるため最後にもう一度輝きを見せてもらいたい。

中盤の構成に関しては諸説あるが、クロース、カゼミロ、アセンシオが今のところ良いようにも感じる。スタメンのレベルを落として勝ちたいので、カゼミロに関してはカマヴィンガと変えるのも可能だろうが、クロースは必須。相手を揺さぶるゲームメイクとパンチ力のあるミドルは他のマドリーの中盤の選手にできることではない。モドリッチもできると言えばできるが、休ませたいのが本音だ。フェデがゲームメイクにも関われるようになれば解決する問題であるともいえるが、フェデ自身がその能力を有しているものの他の選手に任せているのであまり期待はできない。

最終ラインの構成は少なくともスタメンは今節のが固いのではないだろうか。マルセロの攻撃性能は未だ健在であるものの、決定力が昔よりは落ちているマドリーにおいてマルセロがチャンスメイクをしたところで逆に相手に空けたスペースを使われるリスクの方が高い。マルセロは相変わらず高い位置を取り、ポジションが被ってしまっている時も多くクロースがビルドアップをやりにくそうにしている場面も散見されたので、マルセロは瞬間的な劇薬として扱うのが吉なように思う。守備対応も抜群の現マドリーのCB陣は高い攻撃性能も持ち合わせており、おそらく前任者たちよりもフィード能力に関しては高い。このロングボールからのロングカウンターも一つの武器になっている。長短織り交ぜながらビルドアップをすることで相手も対応しづらいはずだ。

クルトワは言わずもがな。

今節の試合の内容自体はクロスを上げるしかできないといった硬直した状態であったわけではなく、最終的に決めきれなかったに尽きる。クラシコでの勝利の勢いそのままという風にはいかなかったが、試合内容自体は良かったように思う。ただ、気になる点もあった。これはこの試合に限らず複数の試合で共通していることなのだが、マドリーのCK時のリスク管理が低すぎる。相手に簡単にカウンターを許してしまっている事実からは目を背けられない。今節もあわや失点という場面があった。また、セットプレーをショートコーナーから始めるのが今のマドリーらしいが、全くといって得点の匂いがしない。まだシンプルに上げてミリタオがうまくミートできない方がマシである。10試合を終えて勝ち点21。リーガ随一の攻撃力は誇るが、19-20シーズンの守備の安定感はどこへやら。序盤戦よりは攻守のバランスを見出しているようには感じられるものの、不安な部分は多くある。メンディの帰還でかなり安定するとは思うが、どうなるだろうか。おそらく今シーズンはアトレティコと優勝争いをすることになる。連覇だけはさせたくないものだ。

P.S. ベンゼマ、マルセロが入ったんだからキャプテンマーク渡してあげたらいいのに

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