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20/6/22リーガ第30節レアル・ソシエダ戦(A)

ベティスには負けたが、バルサには負けなかったマドリーは今、首位である。同勝ち点数だが、順位表で上にいるのはマドリーだ。もちろん、残りの8試合で入れ替わりがある可能性は十分にある。それでも勝点では並び、順位では上に位置できているという事実はマドリーにとって大きなアドバンテージとなるはずだ。

とはいえ、今日の試合は完璧な内容ではなかった。チャンスを作り、危険なシュートでゴールを脅かしたのはソシエダの方だったし、ヤヌザイのシュートがゴールになっていたら今頃首位にいるのはバルサだっただろう。しかし、マドリーはマドリーの戦いをした。内容が悪くても、完璧なプレーをしなくても勝利をもぎ取り、勝ち点3を得たのはマドリーである。

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今日の試合では中二日の試合ということもあり、アザール、モドリッチが休養。ヴィニシウスとフェデが代わりに出場した。左SBはマルセロ。そしてハメスが戻ってきた。コンディションが上がりきってはいないフェデはまだしも、試合勘が抜けているであろうハメスが重要なこの1戦で使われたのは驚きだった。

REVIEW

攻撃時のマドリーはポジションを高く取る相手の右SB(ゴロサベル)の背後を狙う攻撃を選択。ショートカウンターでうまくヴィニシウスにつなぐ攻撃を構築。守備時は4141を選択し、サイドのハメスやヴィニシウスも自陣の深い位置で守備をした。堅い守備で攻撃を阻止し、ヴィニシウスにフリーでボールを受けさせることで効果的に相手の守備を崩そうとしたものの前半は膠着。ヴィニシウス以外に、フェデのショートカウンターなどもあったが、決定的なものには至らなかった。

前半はカゼミロの素晴らしさが凝縮されていた。相手の前に立ちはだかり、攻撃をシャットアウト。攻撃ではサイドにパスを散らすだけでなく、動きながらボールに絡み相手のプレスをいとも簡単に剥がして見せた。ヴィニシウスがアウトサイドで放ったシュートまでの過程もカゼミロが作り出したようなものだ。それ以外にも有給休暇を申請するなど、やりたい放題。前半の主役となった。

先発起用されたハメスはワンタッチで何度か攻撃を演出する場面もあったが、基本的には守備に奔走。キック精度が高くミドルシュートもあるハメスを知っている者からすると物足りない面は大いにあるものの、何ヶ月も試合に出ていないことも考慮してあげるべきだろう。攻撃の中心として起用してコンディション不良を顕著にさせるよりも、まずは走り屋として運動量を担保させる役割としてジダンは起用したのかもしれない。

後半はヴィニシウスの走力の素晴らしさが目立った。相手の足が止まる中、懸命にプレスバックから裏抜けのランニングまでこなし、常にシュートの手前までは相手にとって危険な存在であり続け、PK獲得に至るドリブルなど結果も残した。(もちろん決めて欲しいのだが…)決定力の課題は依然あるものの、他の選手にはない圧倒的なアジリティはこれからも武器となるはずだ。

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ラモスの負傷で代役として出場したミリトン以外の残りの4人の交代枠は特に機能したとも言い難く、とりあえず枠を消化。試合の展開的に交代選手を入れるタイミングが難しかった面はあるだろうが、アセンシオを入れてマルセロは外すなどなんだかよくわからない交代が多かった。ラモスと代わりで入ったミリトンはどうしてもヴァランとのコンビであるとタイプが似通ってしまう部分はあり、また本調子の彼のレベルではないものの及第点のパフォーマンスだった。

ただ、上記にあげた選手よりも個人的に気になるのはクルトワである。VARについての彼の発言ではない。明らかに彼のフィードが良くなっているのだ。前の試合でも何度か美しい縦パスが通ったシーンがあり、まぐれだろうと思っていたが、今日はヴィニシウスへの長いフィードなども通してしまうからもう手が付けられない。本人も気持ち良くなって、何度かロングフィードを蹴っていた。もしこれからさらに彼のフィード能力が上がれば、もう一段上のレベルのGKとなるかもしれない。もちろんまずはこれからの8試合を失点せずに、サモラ賞を獲得して欲しいのは言わずもがなだが、彼のフィード能力が上がれば、ヴィニシウスへのロングフィードのように局面を一気に変えることができる。今後も彼の言動だけでなく、フィードに注目していきたい。

マドリーの選手は全体的にコンディションが上向いている兆候があり、出ずっぱりのカルバハルのコンディションだけが不安要素だ。クロスの質や走力はさほど落ちていないが、ロングパスの精度だけかなり落ちているように見受けられる。それでも、アザールを休ませ、モドリッチやアセンシオの出場時間を調整した状態で試合を終えられたのはポジティブなことだろう。ベンゼマの得点に繋がるまでのフェデのプレーはフェデのこれからのさらなる飛躍を予感させた。試合内容は思惑通りに進まなかったかもしれないが、勝ち点3を獲得できたことは今後のリーグ戦を戦う上で非常に大きい。

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CGが変に作動することだってあるのだ。まして、フットボールをプレーするのは人間だ。完璧な試合展開は難しいし、完璧なプレーを1試合通してし続けることはほぼ不可能だ。もし、個人レベルで完璧なプレーをしても、チームが勝たないことには意味がない。本来のレベルからすると物足りない選手はいたものの、それでもマドリーは勝ち点を得て、首位に立ったのだ。これからは文字通りの総力戦だ。バルサと同勝ち点にならび、さらにタイトルレースは白熱してきた。残すところ8試合だ。


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