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第2節 ベティス戦2020/9/27

昨シーズンのリーガ王者であるマドリーはソシエダの守備に苦しみ、結局ゴールが奪えないまま開幕戦を0-0で終えた。シーズンの滑り出しとしてはなかなか渋いスタートとはなったが、コンディションが万全じゃない選手もおり最低限の結果をもぎ取ったというところだろうか。ウーデゴールが起用されるなど新鮮さはあったものの試合内容の新鮮さはなく、マドリーの攻撃は停滞。相変わらず守備は固かったものの同じく堅い守備を構築したソシエダを崩す術は持ち合わせていなかった。

そんな前節の内容を踏まえてなのか、今節はヨビッチとベンゼマの2トップを採用。以下のメンバーがスタメンとなった。ウーデゴールも2試合連続の起用となる。マルセロが背中に痛みを覚えたためチームには帯同しなかった。

今節でやはり気になるのはヨビッチだ。移籍市場もあと1週間程度となりマドリーは人員整理に動いている。ジダンはスカッドに満足しているとは言っているものの移籍の噂は絶えない。ベイルやハメスを放出することができたため、今度は頭数の多いCFの人員整理に動いている。(マジョラルがセリエ方面、ヨビッチはブンデス期への帰還の噂が出ている。マリアーノはベンフィカへのレンタルの噂が出ていたが本人の意思により残留が濃厚)このようなこともあり今節のヨビッチのスタメンはヨビッチにとってはマドリーにアピールするための場であり、マドリーにとっては他クラブへとアピールする場であったということができるかもしれない。(↓相変わらずプレスをかわすのがうまいジダンの会見)

前節との違いの見られた前半15分

アウェイでプレーするマドリーは前節の退屈なフットボールではなくダイナミックなプレーを展開。クロースがパスワークの起点となりながらボールを回しサイドチェンジを積極的に多用。ワイドに幅を取ることができるようになった。前節は足元で受けることが多くチーム全体が流動的に動くことが少なかったが、今節はスペースでボールを受けるようになったことでチームが活性化した。選手の運動量も多く非常に質の高いフットボールを披露した。フェデは縦横無尽に動き回り本来のフォームを戻した。ベンゼマの素晴らしいドリブルからニアに入って先制点を決めるなど十分な活躍を披露した。しかし、その後の30分はベティスによって支配され、結果的にはセットプレーとウィリアム・カルバリョのゴールにより逆転を許す状況に。(ウィリアム・カルバリョは昨シーズンと打って変わって素晴らしいプレーをこれまで見せており、持ち上がりだけでなくプレス回避でも大きく貢献している。)

1点を決めてからのマドリーはちぐはぐなサッカーだった。昨シーズン同様に先制点を死守する戦いにシフトしようとする者とさらに点を取ろうとする者たちの意思疎通が図れていなかったのか、ミドルゾーンの守備強度が下がり相手に何度も押し込まれる展開となった。最終ラインの強さとクルトワの存在によって厚い守備は見せたものの中盤との連動性は低かった。それがウィリアム・カルバリョの持ち上がりからのゴールを生んだとも言えるだろう。クロースの交代ででたモドリッチはクロースの代わりに無難にゲームメイクは行ったもののロストもあり昨シーズンの再開後ほどのコンディションの良さは感じさせなかった。

期待されたウーデゴールとヨビッチは前半では存在が希薄に。ウーデゴールは後半でイスコと交代となった。ウーデゴールは[4-3-1-2]のトップ下で起用された。スタメン級のプレーはできなかったものの及第点といったところだろうか。リンクマンとして可もなく不可もなくのパフォーマンスであった。イスコがマジョラルが入ってからうまく絡めていたため、ベンゼマ以外に動き出してくれる選手がいればウーデゴールもより輝いたのかもしれない。

後半になってからはマドリーは気のしまった試合展開を見せる。開始早々に相手のオウンゴールで同点。その後もベティスが前がかりになったところを効果的にカウンターを仕掛けるなどしてベティスのゴールを脅かした。しかし、自力で勝ち越しゴールを決めることはできず、恒例のラモスのPKによって勝ち越し。エメルソンの退場によって10人になったベティス相手にチャンスは作ったものの決め切れず、勝利したものの歯痒く感じる人もいるかもしれない。今節は審判の判断が非常に曖昧でありそれらも快勝した感覚がないの影響しているように思う。

ヨビッチ

前半の存在の希薄さは試合勘のなさから来るものではないだろう。後半になってからところどころ顔を出すようにはなりFK獲得に貢献したもののその後は交代。代わりに入ったマジョラルはPK獲得につながるプレーをして見せた。ボールへの絡む度合いの少なさや、絡んでもボールロストにつながるプレーが多く褒められたプレー内容ではなかった。後半になってヨビッチにいい流れが来てた時に交代させられたのはかわいそうではあったものの、そのプレーに至るまでの大半の時間で存在が希薄だったこともありフルでプレーするに値しなかったことも事実なのではないだろうか。介護してもらわないと輝かない選手ではあるだろうが、マドリーの中で序列が低いのであるからただボールを待っているだけでは厳しいものがあるだろう。チームメイトからもパスが来ないことが多く信頼関係を築けていないのもやはり気になる。

新しい形

好感触を受けたのは[4-3-1-2]という新しい選択肢。これが臨時的なものなのかこれからも続けていくものなのかはわからないが、得点不足のマドリーにとって従来のフォーメーションよりはチャンスが作れるのではないか。SBの運動量は欠かせないため、特に右のカルバハルが欠場する場合は厳しいようには感じるが、カゼミロのコンディションやウーデゴールのコンディションが上がればシーズンを戦う上での選択肢になりうるだろう。現状、第二のスコアラーとなれるWGが不足しており3トップにしたところで得点力が変わらないため、2トップにすることでゴール前での怖さを増やすのは合理的な判断のように感じる。

2トップにする場合はWGが主戦場の選手を2トップで争わせるか、17-18シーズンに採用された[4-4-2]でサイドハーフを任せるかのどちらかになるだろう。BBCの時代は終わっており、今のメンツを見てもBBC時代の得点力を3トップで再現するのは不可能と言ってもいい。特に高身長で速く得点力のあるクリスティアーノやベイルはなかなか出てこない類の選手だ。アザールも数字を重ねていくというよりは個としての輝きによってチームに恩恵をもたらすタイプであり、他のWGも年間30ゴールできる選手はいないように思う。

現在のマドリーには明確な攻撃の型というものがない。しかし今節の前半の15分で見せた長いパスを用いながらポジションを入れ替えスペースで選手がボールを受ける戦い方はダイナミックでワクワクさせられた。実際サイドの幅を使い1点目を決め、2点目のオウンゴールを誘発している。フェデのコンディションが良いのが大いに影響していそうであり、彼がコンディションを下げた時に攻撃力をキープできるかが鍵になってくるのではないだろうか。

試合終了後のインタビューにおいてジダン、ラモスが揃って最初の15-20分と後半の内容は良く、1度は逆転されたものの結果的に3点を取り勝ち点3を得ることができたのはチームのメンタリティが良かったからであると述べている。一度気が抜けた後にもう一度締め直して勝ち点3をもぎ取ったマドリーのメンタリティは褒められても良いだろう。(もちろん気を抜かずに2点取られない方が良いのは間違いないが)

兎にも角にもまだ2試合を終えたばかりだ。選手の能力に合わせてチームを作るのがうまいジダン(今節でリーガ100勝を達成)が今後どのようにしてチームを編成するのかは今の段階ではわからないが、シーズンが進むにつれてアイディアが明確になっていくだろう。

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