2021.10.30 vsエルチェ

前節のオサスナ戦でのマッチレビューでマルセロのボールに飛び込む選手が増えると引いた相手に対してもチャンスが増えるといった旨の内容を書いたが、まさかマリアーノだとは思っていなかった。試合勘も全くなく、ヴィニシウスにアシストしたシーン以外はエンタメを提供しただけだったが、味方からボールが出ると信じて走ることができているのは大したメンタリティである。さすが何を言われようともマドリーにとどまり続ける男だ。後半見せ場はほとんど訪れなかったが、久しぶりの試合でアシストをしてエンタメ要素も十分提供していくあたり何か異質なものを感じざるをえない。

今節は相手に守備を固められることもなくオープンな試合展開だった。球際の攻防も激しく、結果的には後半のラウールグティの退場でワンサイドの試合展開となったが、エルチェは試合を通して自分たちのゲームプランを徹底。特にルーカスボジェのキープからのカウンターの切れ味は鋭く、後半の最初の15分は苦しめられた。マドリーに目を向けるとやはり2得点をあげたヴィニシウスはもちろんだが、ここ数試合のミリタオの安定感と判断の的確さには目を見張るものがある。加入シーズン以来、その高い身体能力を活かしたカバーリングで快速FWを封じ込め、昨シーズンまでその役割を担っていたヴァランの後釜をしっかりつとめている。さらに、前任者にはなかった前での潰しも果敢に行い、その成功率とショートカウンターの起点となれる足元の技術は大きな武器だ。気分屋の顔も見せるときはあるが、アラバとのCBコンビは素晴らしくマドリーの大きな武器だ。

ポジティブだらけの試合ではなく、カゼミロのミスによる失点は後味悪く(最後の危険なシーンで身を投げ出して阻止したのはさすがだったが)、試合終了時にはマリアーノとカぜミロ両者とも鼻から出血。退場者も出ており、赤に染め上げられた試合となった。また、試合を通してカゼミロだけでなくアラバなども気の抜けたプレーをすることがありその点は要改善。試合内容にとどまらず、今節はロドリゴが負傷交代しており残念である。数字こそ出ていなかったものの好調を維持していており、マドリーの右サイドはほぼこの選手に任されていた部分がある。バスケスは後ろのポジションでの起用が基本となっており、アセンシオもモドリッチへのパス以外は今節でほぼ見せ場がなかったように右サイドでの起用は裏目に出るケースが多い。特にマドリーが攻撃を加速させたいときに前を向けずにボールを戻してしまうことが多く、攻撃を停滞させるケースの方が多い。この過密日程の中で選手たちへの負担も凄まじいものであり、それが祟った形となったのだろう。負傷からまた強くなって戻ってきてもらいたい。

アンチェロッティの傾向からすると、アセンシオをそのまま右サイドで使う、もしくはフェデをサイドに回すなどのことをして対処すると考えるがどうなるだろうか。様々なキャラクターの選手がいるが、実はあまり戦術の幅は広がらなさそうなマドリー。433のフォーメーションの中で組み合わせを変えて味を変えていく形になりそうだ。

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