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20/6/19 バレンシア戦(H) おかえり

レアル・マドリードは想像を超える。特に今シーズンのバレンシア戦は今節を含め、格別な試合をして見せた。第17節でのバレンシア戦では最後のCKでのクルトワのヘッドからベンゼマの得点により引き分けに持ち込んだ。スーパーカップではクロースの直接CKやモドリッチのアウトサイドでのシュートなど技巧を見せて大勝した。そして、今節、それらの試合をも超えるドラマティックな試合を見せた。

REVIEW

マドリーは前節起用されたマルセロにかえてメンディ、ロドリゴにかえてフェデが起用された。

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前半にアザールが放ったシレッセンの股下を狙ったシュートなど決定的なものもあったが、マドリーの攻撃は膠着。枠内にはいくもののミドルシュートはことごとくシレッセンの真正面に飛んでいった。クロースとモドリッチの巧みなゲームメイクは素晴らしかったものの、中央に人数が集中して選手のポジションが被り窮屈になるシーンが見られた。実際、中央で密集したところでのフェデのパスミスからバレンシアに決定的なゴールチャンスを作られるなど危ない場面もあった。バレンシアのディフェンスはソリッドでマドリーがなかなかチャンスを創出できない時間が続いた。

フェデは機を見て右サイドに開いたりと最低限のプレーは見せたが、カルバハルとともにコンディションはまだ万全ではなく、ヴァランの守備対応も軽率なシーンが見られるなど不安要素はあった。それでも、モドリッチやベンゼマ、ラモスといった選手の調子の良さが見られたのはポジティブな要素だ。

後半ではサイドチェンジなどで相手の陣形を崩そうとマドリーは試みるものの、決定機には至らず、時間が過ぎていく。決定的だったのはラモスが自陣でボール回収をし、そのままオーバラップをしてペナルティエリア手前でフリーになったシーンだ。前半もそうであったが、マドリーは受け手と出し手しかおらず、三人目の動きで相手を撹乱する選手がいなかったために決定的なシーンを作り出すことができなかった。そんな中、待望の1点目はラモスのディフェンスから生まれる。ラモスのディフェンスでこぼれたボールをアザールが運び、モドリッチとのワンツーからリターンを受けてラストパスをだし、最後はベンゼマがゴールに流し込んだ。しかし、1点をとったもののその先も手詰まり状態で、なかなか崩せない展開が続いた。

帰還

主役は遅れてやってくる。そんなシナリオは漫画やアニメで見るものだと思っていたが、流石はエンタメクラブのレアル・マドリードだ。壮大なシナリオを描き、そして実現させた。

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ジダンと笑いながら会話をした40秒後に遅れてやってきた主役はゴールを奪って見せた。マルコ・アセンシオ。長い長いリハビリを終えた彼がようやく戻ってきたのである。復帰した場所はベルナベウではなかったが、アルフレッド・ディステファノで彼はチームに余裕を与える追加点を決めた。

思えば、18-19シーズンにクリスティアーノが抜けた穴を埋めることを期待され、結果的にリーガではシーズン1ゴール。チームの成績も芳しくなかった。失格の烙印を押されかけたが、残留し、勝負のシーズンとして臨んだ今シーズン。7月24日に行われたアーセナルとのプレシーズンマッチで素晴らしいゴールを決めたのは良かったが、その後プレスバック中に突如倒れ込んだ。前十字靭帯断裂。選手生命に関わる大怪我だ。ユニフォームを噛み締め、悔し涙を流しながら担架で運ばれていった彼を覚えている人も多いだろう。後日、手術をして見事手術成功。そこから、彼は長い長いリハビリ生活を始めた。左足が痩せ細ったアセンシオをSNSを通して目にした人も多いのではないだろうか。マドリー公式の投稿などでアセンシオのリハビリ状況がどこまで進んでいるのかは把握することができたが、その過程で彼がどのくらいの努力をし、苦しい思いをしてきたのかは知りえない。ただ、一つ言えることは、ここから先の方がリハビリ期間より彼にとっては長くなるはずだということだ。

コロナの影響で今シーズンが中断されていたためにアセンシオのプレーを見ることができたわけだが、その一方で彼は再度自分の価値を証明しないといけない。そんな中で、1Gに加えて、ベンゼマの超絶技巧による素晴らしいシュートをアシスト。復帰戦を1G1Aで終え、見事この試合のMOMになった。十分すぎる内容だ。復帰初戦で数字を残せたのは素晴らしいことだ。復帰してから間もないため、派手なスプリントをするシーンは少なく、ロングシュートを打つシーンもなかったが、それでも数字を残せたのは自信に繋がるはずだ。ヴィニシウスのクロスにも最大速はセーブしているようには見えたが、入り込んでいくなどゴールへの積極性を見せており、少し意識が変わったところはあるのかもしれない。

これから先、サイド起用をされていくのかそれとも中央で使われていくのかは分からないが、いずれにせよアセンシオが再びマドリーに戻り、そして復帰後初戦で1G1Aという十分な成績を残した。このことはこれからのマドリーへの期待感を増幅させるものだろう。個人的にはマドリーの得点力不足の解消のためにもアセンシオが2トップの一角で使われセカンドストライカーとして起用されることを密かに期待しているが果たしてどうなるだろうか。

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アセンシオの復帰だけではない。ベンゼマのゴラッソや、モドリッチの復活などこれから先に向けてのポジティブな要素が多い。特にモドリッチは前節運動量に難があると判断されたのかフェデと併用することによってフェデで運動量を担保。このことにより、モドリッチがより自由を謳歌して攻撃のタクトをふるえるようになった。本職でないフェデをサイドで使うのは少しもったいないが、調子が良く出場機会を確保させる必要のあるモドリッチを使うためのジダンなりの策だろう。バスケスがいれば、さらに良かったのかもしれない。

どちらにせよ、勝ち点3を得て、バルサを追走できていることは大きなことだ。次節はアウェーでのソシエダ戦だ。中2日の試合となり、コンディション調整が難しい試合だ。絶対に落とせない試合をどのようにジダンが迎えるのか注目だ。







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