【生成AI】満足度アンケートを深掘りして、顧客の真意に迫る
OuterBrainのしのつかです。
サービスの改善や、ヘルプデスクの品質向上のためにアンケートを活用することはよくあると思います。
しかし、アンケートを分析していると、顧客やユーザーの意図を正確に汲み取るのが難しいことがしばしばあります。せっかくアンケートに答えてもらっても、「何を伝えたくて書いたのか?」が分からなくてはもったいないです。
そこで、生成AIを活用して一問一答ではなく、回答理由を深掘りするボットを構築してみました。これにより、アンケートから得られるインサイトが増し、より的確な顧客満足度の把握が期待できます!
従来のアンケートの課題
アンケートはサービスなどの改善ポイントを探る上で大きな効果を発揮しますが、従来のフォーム型のアンケートには次のような課題があります。
・ 自由回答の理解が難しい
ユーザーが書いた自由回答の内容が曖昧だったり、感情的な表現が含まれたりすることがよくあります。そのため、意図を読み取るのが難しく、改善に活かすことができません。
・ 回答の深掘りができない
質問とユーザーの回答は一問一答形式であり、あらかじめ決められた質問以外のことは聞き出せません。
生成AIを活用したアンケートの利点
生成AIを活用した満足度アンケートでは、上記の課題を解消し、より深いユーザーのインサイトを引き出すことが可能です。
・ ユーザーの回答に合わせた質問が可能
生成AIを利用することで、あらかじめ決めた質問だけでなく、ユーザーからの回答に合わせて、その場で新しい質問を投げかけることができます。
・ インサイトの掘り下げが可能
生成AIが回答を解析し、回答者の意図や感情を自動で推測してくれるため、アンケート結果の理解が容易になることが期待できます。
満足度アンケートボットの作成
ボットの作成にはDifyというツールを活用します。
Difyとはオープンソースの生成AIアプリ開発プラットフォームです。幅広い用途で使える生成AIアプリをノーコードで作ることができます。
ここでは、このnote記事の満足度をヒアリングするアンケートボットを作成してみます。
1. チャットフローを作成する
Difyにログインし、「最初から作成」をクリックします。
アプリのタイプは「チャットボット」、オーケストレーション方法は「チャットフロー」を選択します。
適当な名前をつけて「作成する」をクリックします。
2. 最初のメッセージを設定する
ユーザーがチャットを開始したら、最初に満足度をヒアリングできるように設定します。
画面右上の「機能」をクリックし、「会話の開始」をオンにします。
「オープナーを書く」をクリックし、最初のメッセージと選択肢を書き込みます。「保存」をクリックすれば、最初のメッセージの設定は完了です。
3. 満足度の理由を尋ねる
先ほど作成した選択肢が選択されたとき、その選択肢を選んだ理由を尋ねられるようにします。
開始ブロックとLLMブロックの間に、IF/ELSEブロックを追加し、添付画像のように設定します。
いずれか一つの条件を満たせば良いので、OR条件であることに注意してください。
追加したIF/ELSEブロックのIFの先に、回答ブロックを追加します。画像のように回答内容を記載すると、満足度の理由を尋ねられます!
4. 理由を深掘りする
満足度の理由が回答されたら、その内容をさらに深堀する質問を投げかけられるようにします。
追加したIF/ELSEブロックのELSEとLLMブロックを繋ぎ、LLMブロックおよび回答ブロックを画像のように設定します。
会話の履歴を活用して質問を生成するため、LLMブロックのメモリをオンにします。
LLMに与えるプロンプトは次のようにしました。
```xml
<instructions>
あなたのタスクは、ブログ投稿の満足度アンケートにおいて、ユーザーが回答した満足度の理由を深堀りするための簡潔な質問を出力することです。以下のステップに従ってください:
1. ユーザーがブログ投稿に対してどのような満足度を示したかを考慮してください。これは、ユーザーが選んだ満足度のレベルを理解するための基礎となります。
2. 次に、その満足度のレベルを選んだ理由についてユーザーに尋ねる質問を考えてください。この質問は、ユーザーがその評価を下した具体的な理由や感想を引き出すことを目指しているべきです。
3. 質問は、ユーザーが自分の意見や感想を詳細に説明するのに十分な開放性を持つべきです。ただし、具体的なポイントについて尋ねることで、ユーザーが回答をより具体的にするのを助けることもできます。
4. 最後に、質問がユーザーに対して尊重と敬意を示していることを確認してください。ユーザーの意見を尊重し、その意図を理解しようとする姿勢を示すことが重要です。
出力にはXMLタグを含めないでください。
</instructions>
<example>
<input>面白かったので満足です。</input>
<output>ありがとうございます。具体的にどのような点を面白いと感じましたか?</output>
</example>
<example>
<input>役に立たなかったので不満です</input>
<output>申し訳ありません。どのような内容の記事を期待していましたか?</output>
</example>
```
5. 回答の終了条件を設定する
このままだと永遠に深堀し続けるボットになってしまい、アンケートとしては適当ではありません。そこで、満足度の理由を1回深掘りしたら、アンケートを終了します。
開始ブロックのすぐ後ろに新たにIF/ELSEブロックを追加します。
会話のラリー数である`sys.dialogue_count`が、2以下である場合はIF/ELSEブロックにつなぎ、そうでない場合はアンケートを終了する文言を回答します。
以上で完成です!
まとめ
満足度アンケートの回答を活用し、顧客やユーザーの本音に迫ることは、サービス改善や、ヘルプデスクの品質向上のために重要です。しかし、従来のアンケート形式では自由回答の解釈や深掘りが難しく、インサイトを十分に引き出せないという課題がありました。
今回紹介した生成AIを活用したアンケートボットでは、上記の課題を克服し、回答者の意図や感情をより深く理解することを目指しています。
回答に対して柔軟に質問を生成し、顧客やユーザーが本当に伝えたいことを引き出すことで、より的確な改善施策やサービス向上につなげることが期待されます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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